パラサイト・シングル

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パラサイト・シングル(Parasite single)とは、「学卒後もなお親と同居し、基礎的生活条件を親に依存している未婚者を言う」と定義されている。学卒後は親に依存していなくても、学卒前までに親や祖父母等から過剰な贈与や財産分与(相続を除く、ただし親・兄弟の配慮で本来の相続分を大きく越える額をもらった場合は含む)を受けた場合もこれに含まれる。(『パラサイト・シングルの時代』p11)。

単に「パラサイト」と呼ばれることもあり、「パラサイトする」などと動詞化して用いられることもある。当時東京学芸大学助教授であった山田昌弘によって提唱された造語概念であり、パラサイトは「寄生虫」、シングルは「独身」の意味である。若者バッシングをするときに使用する言葉の一種としても知られている。瀬名秀明の小説「パラサイト・イヴ」(1995年)によって既に世間に広まっていた「パラサイト」という言葉を含んでいることから、急速に認知され広まった。

概説[編集]

従来、女性では無職単身者は家事手伝いなどと呼ばれ、特に問題視されていなかった。しかし、人口の高齢化に伴う相対的賃金労働者数の減少から税収不足が予測され、賃金労働に従事していない家事手伝い(や専業主婦)は、納税していない生産年齢人口と見られるようになった。これらの非納税群は、男女雇用機会均等法等の法律によって納税群への移行が促されることとなる。また、少子化が生産年齢人口全体の減少に繋がるのみならず、消費者の減少、すなわち国内マーケットの縮小にも繋がるため、特に女性の非雇用者を賃金労働者とすることは、早急に対処しなくてはならない政策課題となった。

他方、戦後の核家族化によって世帯数が増加し、それに伴って住宅産業が発展したが、住宅産業は公共事業並みに経済への波及効果があることから、晩婚化で親との同居期間が長くなって世帯数増の鈍化が起きることは不景気を助長すると考えられた。

このような政治・経済の面から、また早いうちにアパート暮らしをはじめる欧米の少年少女の例を挙げる形で、生産年齢に達した男女の親との同居は問題視され、また、それに呼応するように、ウーマンリブ世代の発言力が高まり、女性の経済的自立を是とする意識が強まることになった。

以上のような社会的背景の下に「パラサイト・シングル」という言葉が生まれた。

要因[編集]

高度経済成長期には、農村部から都市部に人口が移動(移住)すること(都市化)によって労働力が充当され、日本の産業発展は達成された。しかし移住の時代が終わり、都市で生活する者が多くを占めるようになった現在では、都市での大家族化(2世代・3世代居住)や、同じ都市内での親族の分散集住が進んでいる。また、高度経済成長期のような都市の劣悪で狭小な住宅事情は、マイホームブームで親子の同居が充分可能な住居へ移行したため、わざわざ大金をはたいて子の世代が独り暮らしをする必要もなかった。

山田によると、パラサイト・シングルはサラリーマン社会特有の現象で、日本と同じようなパラサイト・シングルは韓国イタリアスペイン等で多く発生しているという。しかし、日本では農村部にも親と同居する独身者は多数存在する。就業のために子の世代が移住しなくてもよい、または進んで移住しない社会、もしくは収入に対して住居費が高い社会でパラサイト・シングルが発生するのであって、「サラリーマン社会特有の現象」とは言えない。 結婚に関する問題については結婚#結婚年齢を参照。

各国の状況[編集]

日本[編集]

福井商工会議所の調査によると、「とても満足」「やや満足」を合わせて73.8%のパラサイト・シングルが現状に満足しており、男性は 「とても満足」(5.1%)と「やや満足」(56.4%)を合わせて61.5%、女性は「とても満足」が22.9%、「やや満足」(55.2%)を合わせて78.1%と、男性よりも女性の方が満足度が高くなっている。これには、女性の実家への依存に対して批判的でない日本社会のあり方が根底にあるとの意見もある(一卵性母娘 実家依存症を参照)。 ちなみに、2000年総務省「国勢調査」によれば、親族と同居する20代・30代の未婚者は、男性が約651.2万人、女性が約568.6万人である。

アメリカ[編集]

イタリア[編集]

中国[編集]

関連書籍[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]