パラサイト・イヴ

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パラサイト・イヴ』は、瀬名秀明のデビュー作となったホラー小説。第2回日本ホラー小説大賞受賞。

概要[編集]

ミトコンドリア遺伝子の反乱を描いたSFホラー作品である。著者が、大学院博士課程(東北大学薬学部)に在籍する研究者だったことでも話題になった。

著者が大学・大学院生活を送っていた仙台市にある東北大学薬学部や医学部、およびその周辺などが情景として描き出されている。ただし、小説の舞台は明確に仙台市とはなっていない。

単行本と文庫本を合わせた発行部数は100万部を突破している[1]

受賞直後の1995年には「角川ドラマルネッサンス」(ファンタジーワールド内。TBSラジオ)としてラジオドラマ化された。発表直後でもあり、原作に沿った内容だった。ラジオドラマはその後、CDとして発売された。

1997年には実写映画化された。大筋では原作どおりのストーリー展開ではあったが、ラブストーリーの要素が加えられ、ラストの展開が異なるものとなった。

また、1998年にはプレイステーションRPGパラサイト・イヴ』がスクウェアより発売された。ゲームは小説をベースにして舞台をニューヨークへと移し、当時最先端の美麗なCGと音楽が話題となり、ゲームの第1・2作で全世界300万本以上を出荷した[2]。『パラサイト・イヴ2』は1999年に、3作目の『ザ・サード バースデイ』は2010年にスクウェア・エニックスより発売された。

あらすじ[編集]

現代において、高度にが発達して、「遺伝子の支配」から離れたかのように見えるヒト。しかし、太古の昔に存在した利己的遺伝子である「イヴ」が、生物に寄生(パラサイト)して何億年も生き延びていた。

序盤
優秀な生化学者であった永島は、最愛の妻・聖美の事故死という現実を受け入れられず、生前にドナー登録をしていた聖美の肝臓から手に入れた肝細胞に「Eve1」と名付け、ラボにこもりきりになり、人が変わったかのようにEve1を培養し始める。
Eve1は驚くべき早さで増殖し、ついには自力で培養槽を抜けだし、増殖の増進剤を手に入れようとする。そしてその瞬間に偶然居合わせた、永島の教え子の朝倉佐知子の体を乗っ取ってしまう。
中盤
朝倉に乗り移ったEve1は、学会の講演にてミトコンドリアの人間界への進出を宣言し、会場を焼き払い大学へ逃亡。永島はそれを追うが、Eve1に誘惑され、精子を奪われてしまう。
Eve1は、聖美の腎臓を移植された少女・麻理子の体と永島の精子を用いて、「完全な生命体」を誕生させようと画策していた。病院にて麻理子を襲い、受精卵を植え付けることに成功した。
終盤
永島、吉住麻理子の父が駆けつけた時には、既に完全生命体・イヴは生まれ、人々に対する攻撃を始める。身を挺して事態を食い止めんとした永島の犠牲により、イヴは消滅して脅威は去った。
全てが終わった後、研究室から「Eve」のラベルがつけられた試験管が発見され、朝倉は「人の中にミトコンドリアが存在する以上、イヴの反乱がいずれまたどこかで起き得るのではないか」……という懸念を胸に抱きつつ、それを廃棄するのだった。

映画版[編集]

パラサイト・イヴ
監督 落合正幸[3]
脚本 君塚良一
原作 瀬名秀明
製作 小牧次郎
大川裕
堀部徹
製作総指揮 村上光一
川合多喜夫
出演者 三上博史
葉月里緒菜
別所哲也
中嶋朋子
稲垣吾郎
音楽 久石譲
撮影 柴崎幸三
編集 深沢佳文
配給 東宝
公開 日本の旗 1997年2月1日
上映時間 120分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
配給収入 4.9億円[4]
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1997年2月1日東宝系で公開された日本映画。監督は、当時共同テレビのディレクターだった落合正幸
ストーリーの大筋は原作を踏襲しつつも、ホラーというより切ないラブストーリーの要素が強い。また、ラストシーンの展開も原作とは異なる。

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

漫画版[編集]

しかくのにより漫画化された。映画版を中心とした設定だが独自の設定も追加されている。全1巻。

ラジオドラマ版[編集]

1995年10月10日から12月8日TBSラジオファンタジーワールド』内「角川ドラマルネッサンス」(毎週月 - 金、24:00 - 24:10)にて、5 - 10分程のドラマが放送された。全44話。

放送後に『ホラーCDコレクション、パラサイト・イヴ』として発売された。角川書店は書籍流通を使って、ハードカバーを模した装丁のCDブックとして上下巻構成で販売。ミトコンドリアに関する図説やシナリオを掲載したブックレットが付属(ケースの表紙部分に直接糊付される形でくっついている)。ポリスターは既存のCD流通を利用した販路で全2巻を発売。こちらのパッケージは4枚のCDを収納できるタイプのケースを利用していた。角川版上下巻・ポリスター版全2巻共に各巻CD3枚構成で、収録内容も同一である。

  • 角川書店版 - 上巻:平成8年4月25日発行、下巻:平成8年5月24日初版発行
  • ポリスター版 - 第1巻;平成8(1996)年4月25日発売、第2巻:平成8(1996)年5月25日発売

1995 瀬名秀明/角川書店・ポリスター

キャスト[編集]

製作スタッフ[編集]

各話リスト[編集]

  • 第一話「イヴの目覚め」
  • 第二話「脳死判定」
  • 第三話「選ばれた男」
  • 第四話「適合者」
  • 第五話「永遠の命」
  • 第六話「心臓停止」
  • 第七話「腎臓摘出」
  • 第八話「予感」
  • 第九話「遠い記憶」
  • 第十話「移植成功」
  • 第十一話「細胞、EVE」
  • 第十二話「恐怖の足音」
  • 第十三話「悪夢」
  • 第十四話「増殖する魔女」
  • 第十五話「共生」
  • 第十六話「忍びよる影」
  • 第十七話「狂気の愛」
  • 第十八話「恐るべき進化」
  • 第十九話「あやつり人形」
  • 第二十話「宿主殺害」
  • 第二十一話「異常な細胞」
  • 第二十二話「ミトコンドリアの罠」
  • 第二十三話「襲われた女」
  • 第二十四話「奇妙な変化」
  • 第二十五話「冬の嵐」
  • 第二十六話「動く内臓」
  • 第二十七話「新しい女王」
  • 第二十八話「解放の日」
  • 第二十九話「恐るべき演説」
  • 第三十話「最終進化」
  • 第三十一話「イヴの時代へ」
  • 第三十二話「受精卵」
  • 第三十三話「狙われた娘」
  • 第三十四話「地下暴走」
  • 第三十五話「少女の受難」
  • 第三十六話「繁栄への野望」
  • 第三十七話「処女懐胎」
  • 第三十八話「誕生」
  • 第三十九話「イヴの誤算」
  • 第四十話「消滅」
  • 第四十一話「親と子」
  • 第四十二話「最期の賭け」
  • 第四十三話「終結」
  • 第四十四話「果てしない夢」

脚注[編集]

  1. ^ 本の雑誌』2021年3月号、22頁。
  2. ^ https://www.4gamer.net/games/075/G007533/20101025039/
  3. ^ パラサイト・イヴ | 映画 | WOWOWオンライン
  4. ^ 「1997年邦画作品配給収入」『キネマ旬報1998年平成10年)2月下旬号、キネマ旬報社、1998年、168頁。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]