パトリック・マカウ
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2011年ベルリンマラソンゴール直後のマカウ
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| 選手情報 | |||||||||||||||||||||
| フルネーム | Patrick Makau Musyoki | ||||||||||||||||||||
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| 種目 | 長距離走, マラソン | ||||||||||||||||||||
| 所属 | アディダス | ||||||||||||||||||||
| 生年月日 | 1985年3月2日(28歳) | ||||||||||||||||||||
| 自己ベスト | 3000m:7分54秒50(2007年) 10km:27分27秒(2007年) ハーフマラソン:58分52秒(2009年) マラソン:2時間3分38秒(2011年、世界記録) |
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パトリック・マカウ(Patrick Makau Musyoki、1985年3月2日 - )は、ケニア東部州出身のマラソン選手[1]。2011年のベルリンマラソンで2時間03分38秒を記録し男子マラソンの世界新記録を樹立した[2]。ハーフマラソンの自己記録58分52秒は世界歴代5位の記録[3]。ポッソスポーツと代理人契約を結んでいる[4]。
目次 |
経歴[編集]
少年期[編集]
マカウは、ケニア東部州マチャコス郊外にあるマニャンザーニ村の貧しい農家の二男として生まれる[5]。マカウの少年時代から村には水道やガスはなく、1km以上も歩かなければ水を汲むことすらできないという環境で育った[6]。親の収入は月におよそ10ドル程度で、その日に食べるものや着る衣服にも困るような貧しい生活であった[7]。本人は後に、マラソンを走っていてつらくなったときでもこの時代の苦しい生活を思い出すことでさらにエネルギーがわいてくると語っている[8]。マカウが陸上競技を始めたきっかけはこうした貧困から抜け出すためであった[9]。東アフリカ地域ではマカウのように貧困に苦しむ若者が特別に道具も必要とされないマラソンランナーを志すことはそれほど珍しいことではなく[8]、またマカウにとってもこれが貧困から抜け出すための唯一の手段であった[6]。マカウが本格的に陸上競技に取り組み始めたのは2001年のことである[9]。この年には学校で1500メートル走と5000メートル走の学年代表に選ばれ、翌2002年には東部州の代表に選出された[9]。これ以降マカウは長距離走の年代別国内大会に出場を続けていく[9]。
国際舞台へ[編集]
学校卒業後、20歳になるとマカウはランナーになるため生れた村を出た[6]。その2006年に行われた世界ロードランニング選手権は26位[9]。翌2007年のラアス・アル=ハイマハーフマラソンでは59分13秒を記録して、58分53秒の世界新記録を樹立したサムエル・ワンジルに次ぐ2位[9]。2007年の世界ロードランニング選手権と2008年の世界ハーフマラソン選手権はいずれも2位に入りケニアの団体優勝に貢献した[9]。2008年のCPCデン・ハーグハーフマラソンを勝利し、2009年のラアス・アル=ハイマハーフマラソンは世界歴代2位となる58分52秒を記録して優勝を飾った[10]。
マカウは2009年4月のロッテルダムマラソンで初マラソンの舞台を踏み、2時間06分14秒を記録して4位に入った[11]。初マラソンの記録としては、エバンス・ルットが2003年のシカゴマラソンで記録した2時間05分50秒に次ぐ世界歴代2位の記録であった[12]。
マカウは2010年3月のCPCデン・ハーグハーフマラソンでセカンドベストの59分52秒を記録して優勝した[13]。4月のロッテルダムマラソンは世界歴代4位となる2時間04分48秒を記録して優勝を飾った[14]。ロッテルダムの後、マカウはベルリンに目標を定めた[15]。9月のベルリンマラソンはロッテルダムマラソン2位のジョフリー・ムタイと再戦、マカウはムタイをラストスパートで振り切って2時間05分08秒の記録でワールドマラソンメジャーズの初勝利を飾った[16]。この年のベルリンマラソンは降雨と霧が世界記録の更新を阻止したと言われるものになった[17][18]。
2011年4月のロンドンマラソンでは中間点付近で転倒したにも関わらず走り続け、2時間05分45秒を記録して2位マーティン・レルと僅差の3位に入った[19]。同年5月、マカウは国際マラソンロードレース協会の2010年度年間最優秀選手賞を受賞した[20]。
世界新記録[編集]
2011年9月25日、マカウはベルリンマラソンに出場した。ハイペースの先頭集団でレースを進め、27キロ地点でハイレ・ゲブレセラシェを振り切ると独走に入り、2時間03分38秒の記録で連覇を飾った。同時にゲブレセラシェが保持していた世界記録を21秒更新した[21]。レース前のマカウは、世界記録を更新して記録をケニアに持ち帰りたいという意気込みを語っていた[22]。レース後に次のようなコメントを残した。
| “ |
In the morning my body was not good but after I started the race, it started reacting very well. I started thinking about the record. [22]
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” |
| “ |
At 32 kms I thought I could win the race and even break the world record [...] It was hard to for the last 10 kilometres. [23]
|
” |
「今朝の身体の状態はよくなかったが、走り始めると身体はとてもよく反応し始めた。それから記録を意識し始めた。」「32キロ地点で勝利とそして世界記録の更新さえもが可能だと思った(中略)ラスト10キロは大変だった。」
ロンドンオリンピック代表選考落ち[編集]
2012年開催のロンドンオリンピックマラソン競技ケニア代表3名の枠を巡る争いは熾烈なものとなった[24]。ケニア陸上連盟は2012年1月に代表候補選手6名を発表したが、これらの選手たちの中には世界記録保持者のマカウ以外にも、2011年10月に行われたフランクフルトマラソンにてマカウの持つ世界記録とわずか4秒差と迫る2時間3分42秒という世界第2位の記録をたたき出したウィルソン・キプサング[25]や、さらに世界陸上競技選手権大会で2連覇を達成していたアベル・キルイなど有力な選手たちが含まれており[26]、いかに世界記録保持者たるマカウといえども容易にはオリンピックに出場することができないほどケニア・マラソン勢の層は厚かった[24]。それまで追う立場であったマカウは世界新記録を樹立したことで追われる立場となり、しかも代表選考レースとなるロンドンマラソンは世界新記録を達成したベルリンマラソン以来初めてのレースであったこともあり、当時のマカウを見ていた者の中には代表選考にあたって彼が大きなプレッシャーを感じていたと指摘する者もいる[27]。例えばマカウと同じ練習場を利用していた仲間たちは、それまで以上に厳しい練習を自らに課すマカウを見てオーバーワークになっていないか心配していたという[28]。実際にオーバーワークによるものであったのかは不明であるが、ロンドンマラソンの10日前にマカウはスピード向上のための練習中に太ももの裏側を痛めてしまった[29][30]。マカウは出場はしたものの優勝候補と目されながら途中棄権し、このロンドンマラソンで優勝したキプサング、6位のアベル・キルイ、7位のエマニュエル・ムタイがケニア代表に選出され[31][32]、現役の世界記録保有者がオリンピック代表選考に落選するという結果となった[33]。
優勝歴[編集]
- ザンジバルハーフマラソン - 2005
- タルスス国際ハーフマラソン - 2006
- Von Berlin 25K - 2006, 2007
- ロンドン10K - 2006
- ブリストルハーフマラソン - 2006
- ラホール10K - 2007
- ベルリンハーフマラソン - 2007, 2008
- ラアス・アル=ハイマハーフマラソン - 2008, 2009
- レディングハーフマラソン - 2008
- CPCデン・ハーグハーフマラソン - 2008, 2010
- ロッテルダムハーフマラソン - 2008
- ロッテルダムマラソン - 2010
- ベルリンマラソン - 2010, 2011
自己記録[編集]
| 種目 | 記録 | 場所 | 年月日 | |
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| トラック | 3000m | 7:54.50 | 2007年5月13日 | |
| ロード | ||||
| 10km | 27:27 | 2007年4月1日 | ||
| 15km | 41:30 | 2009年2月20日 | ||
| 20km | 56:13 | 2007年10月14日 | ||
| ハーフマラソン | 58:52 | 2009年2月20日 | ||
| 25km | 1:14:08 | 2006年5月7日 | ||
| 30km | 1:28:52 | 2009年4月5日 | ||
| マラソン | 2:03:38 | 2011年9月25日 | ||
| 単位は : (時間、分) . (秒) IAAF[34]より作成 | ||||
脚注[編集]
- ^ 善家 (2013)、132頁。
- ^ “Athletics-Kenyan Makau breaks world marathon mark”. Reuters. 2011年9月25日閲覧。
- ^ Half Marathon All Time. IAAF. Retrieved on 2011-01-29.
- ^ Von Frank Hellmann (2012-09-05). Weltklassefeld startet in Frankfurt ベルリーナー・ツァイトゥング. 2013年3月19日閲覧
- ^ 善家 (2013)、132-133頁。
- ^ a b c 善家 (2013)、133頁。
- ^ 善家 (2013)、133-134頁。
- ^ a b 善家 (2013)、135頁。
- ^ a b c d e f g “IAAF Focus on Athletes”. Iaaf.org (2012年1月26日). 2013年2月17日閲覧。
- ^ IAAF, February 20, 2009: Makau produces second fastest time ever, Tune clocks national record at RAK Half Marathon - updated
- ^ IAAF, April 5, 2009:Kibet edges Kwambai as both clock 2:04:27 - Rotterdam Marathon report
- ^ Toni Reavis (2011-03-21). Geneti debuts with 2:06 in LA IAAF. 2011年9月26日閲覧
- ^ van Hemert, Wim (2010-03-15). Makau and Wangui win again in The Hague. IAAF. Retrieved on 2010-03-15.
- ^ van Hemert, Wim (2010-04-11). Makau storms 2:04:48 in Rotterdam. IAAF. Retrieved on 2010-04-11.
- ^ Butcher, Pat (2010-09-24). Kenyan cooperation should lead to fast men's marathon "sprint" in Berlin. IAAF. Retrieved on 2010-09-26.
- ^ Butcher, Pat (2010-09-26). Makau and Kebede triumph in rainy Berlin. IAAF. Retrieved on 2010-09-26.
- ^ Pat Butcher (2010-09-27). Makau now the Marathon’s man to beat IAAF. 2011年9月26日閲覧
- ^ Patrick Makau wins Berlin marathon but misses world-record time Reuters the Guardian (2010-09-26). 2011年9月26日閲覧
- ^ Brown, Matthew (2011-04-17). Mutai and Keitany dominate and dazzle in London. IAAF. Retrieved on 2011-04-24.
- ^ Makau named AIMS athlete of year. AIMS/IAAF (2011-05-21). Retrieved on 2011-05-27.
- ^ “Makau stuns with 2:03:38 Marathon World record in Berlin!”. IAAF (2011年9月25日). 2011年9月25日閲覧。
- ^ a b Ronay, Barney (2011年9月25日). “Kenya's Patrick Makau breaks marathon world record in Berlin”. The Guardian 2011年9月25日閲覧。
- ^ Mehaffey, John (2011年9月25日). “Makau dethrones king of the roads”. Reuters 2011年9月25日閲覧。
- ^ a b 善家 (2013)、151-152頁。
- ^ 善家 (2013)、154頁。
- ^ 善家 (2013)、152頁。
- ^ 善家 (2013)、152-153頁。
- ^ 善家 (2013)、153頁。
- ^ 善家 (2013)、157頁。
- ^ “<世界最速のランナーに迫る>男子マラソン「人類は2時間の壁を破れるのか」~ゲブレシラシエ、マカウ、キプサング~”. Number. 文芸春秋社. 2013年2月17日閲覧。
- ^ “Virgin London Marathon 2012 Tracking and Results, top 10” (英語). Virgin London Marathon 2012. 2013年2月17日閲覧。
- ^ “Men's Marathon” (英語). Official site of the London 2012 Olympic and Paralympic Games. 2013年2月17日閲覧。
- ^ 善家 (2013)、159頁。
- ^ athlete profile Patrick Makau Musyoki IAAF. 2011年9月26日閲覧
参考文献[編集]
- 善家賢・NHKスペシャル取材班 『42.195kmの科学 ーマラソン「つま先着地」vs「かかと着地」』 角川書店、2013年2月10日。ISBN 978-4-04-110401-9。
外部リンク[編集]
- パトリック・マカウ - 国際陸上競技連盟のプロフィール(英語)
- World Marathon Majors profile:Patrick Makau
- Patrick Makau Musyoki - POSSOSPORTS-EUROPE
- 走ることは金稼ぎだ。マラソン世界記録保持者パトリック・マカウ
| 先代: |
男子マラソン世界記録保持者 2011/9/25 - |
次代: - |