パウリ行列
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
パウリ行列(ぱうりぎょうれつ)とは、下に挙げる3つの2×2複素行列の組みのことである。
(シグマ)で表記されることが多い。量子力学のスピン角運動量や、部分偏極状態の記述方法に関連が深い。



添字は数学では1, 2, 3が使われるが物理学ではx, y, zが使われる。また、座標系によって添字と3つの行列の対応が違ったり、あるいは符号が違ったり、さらには一見全く違って見えることもあるが、本質的な性質は変わらない。
これに単位行列を含めた4つの行列をパウリ行列と呼ぶこともある。

目次 |
基本的な性質 [編集]
パウリ行列
のトレース(Tr)と行列式(det)は次のとおり。


ちなみに、
(単位行列)では
,
である。
パウリ行列の積 [編集]
パウリ行列の積については
が成り立つ。これは定義から直接計算すればわかる。これをまとめて
と書くことができる。これより交換関係と反交換関係は
となる。
複素行列の実係数展開 [編集]
任意の2×2複素行列はパウリ行列(単位行列を含めた4つの行列)の線形結合で書ける。このとき係数は一般に複素数である。
また、任意の2×2エルミート行列をパウリ行列の線形結合で書いたとき、係数は実数になる。
部分偏極状態を表現するコヒーレンス行列はエルミート行列であるが、これをパウリ行列で展開した係数を要素とするベクトル(実ベクトル)はストークスベクトルと呼ばれる。ストークスベクトルは、ある種の射影空間であるポアンカレ球の座標系を作る。




![[ \sigma_i, \sigma_j ] = 2i \epsilon_{ijk} \sigma_k \,](http://upload.wikimedia.org/math/0/d/d/0dd70bd47daeb4a03c793097cf7c812e.png)
