バール (飲食店)

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バールまたはバルbar)は、イタリアスペインなどの南ヨーロッパで軽食喫茶店酒場(バー)のことを指す。

イタリア[編集]

タバッキを兼ねている店にある看板。単色の中に白抜きで大文字のTを模したマーク。両脇には認定あるいは許可票と見られるマークがある。茶色の看板の店の方は“塩とタバコ”。また「トトカルチョ」の看板が追加されており、サッカーくじが買える店である表示も出ている。青い看板の店の方は“タバコ 収入印紙 切手”。
ローマの老舗バールのタッツア・ドーロ

バールbar)は軽食喫茶店を指す。食事にも重点をおいたリストランテ・バールから、コーヒー中心のカフェ・バール、 アイスクリーム中心のジェラテリア・バールなど様々なものがある。イタリアで単に「カフェ」というと、ではなくコーヒーそのもの、一般的には「エスプレッソ」を指す。

基本的にカウンターで立ち飲みするスタイルの喫茶店であり、バリスタエスプレッソカプチーノなどを作って提供する。朝食代わりにしたり仕事帰りなどに気軽に立ち寄って一杯飲んでいく。軽食パニーノ)や夏場ならジェラートなどが用意されている店も多い。さらに公衆電話トイレを備えるため休憩所としても利用される。

中には、路線バス市内電車地下鉄切符などを扱う所もある。さらにはトトカルチョなどのくじ煙草を売るタバッキや、他の商店を兼ねている店も多い。

語源は英語のバーBar)に由来するが、バーの様に酒類だけではなくコーヒー類を飲んだり、地域の情報交換場所として使用されている。そのため、英語や日本語で用いられるバーと同種の店舗だと考えるのは誤解となる。古くは男性のみが集まる場所であったが、女性の社会進出に伴い女性単独での利用も当たり前となった。

バリスタの中でも特に酒類やカクテルに精通する者をバールマンと呼ぶ。食前酒の時間帯には簡単なおつまみが無料で提供されることが多く、近年ではブュッフェ形式の豪華なサービスも人気がある。

ちなみに、テーブル席には別メニューの高い料金をとる場合が多いが、食事など長時間の利用やテラスの眺望などを楽しむ客で賑わう。

日本には1999年頃からイタリア系資本のセガフレード・ザネッティがバールのチェーン展開を行っている。

なお、イタリア語版ウィキペディアでは、日本語版の井戸端、またカフェに相当する意見交換場所がバールと名付けられている。

スペイン[編集]

スペインのバルbar)は、喫茶店と居酒屋食堂コンビニエンスストアが一緒になったような飲食店を指す[1]

朝はコーヒーを、昼には食事とビールワインを提供し、夜はタパスピンチョスアヒージョといった小皿料理とを提供する店が多い。飲食だけでなく、電話を借りる、店内のスロットマシンで遊ぶなど日常生活の延長線上にもあるとも言える[1]

日本[編集]

日本においても、タパス、ピンチョス、アヒージョとビール、ワインを供する「スペインバル」を名乗る店があり、2005年頃から増加している[2]

また、「○○バル」などの形で、バル形式の飲食店や業態を指す言葉としても用いられ、「スペインバル」「イタリアンバル」「中華バル」「和食バル」など国や文化だけでなく、「肉バル」「焼鳥バル」「魚介バル」「餃子バル」「泡バル」など、店のメイン料理を指す場合もある[要出典]

出典・脚注[編集]

  1. ^ a b 東京カレンダー (2015年9月26日). “スペイン人親子シェフに聞いた「ここが変だよ日本のバル」”. 2017年5月31日閲覧。
  2. ^ Hanako』2005年9/28号(マガジンハウス)銀座特集「銀座のスペインバルは、いま最高潮」

関連項目[編集]