バンカラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内, 検索

バンカラばんから蛮殻蛮カラ)とは、ハイカラ(西洋風の身なりや生活様式)をもじった語である。明治期に、粗野や野蛮をハイカラに対するアンチテーゼとして創出されたもの。一般的には言動などが荒々しいさま、またあえてそのように振る舞う人をいう。夏目漱石の『彼岸過迄』の中の一節にも登場する語である。

目次

[編集] 概要

典型的な様式としては弊衣破帽がある。これは、着古し擦り切れた学生服(=弊衣)・マント学帽(=破帽)・高下駄、腰に提げた手拭いなどを特徴とするスタイルで、第一高等学校を中心とした旧制高等学校の生徒が流行の発端である。粗末な衣装によって「表面の姿形に惑わされず真理を追究」という姿勢を表現したものとされている。また、ハイカラのアンチテーゼとしてのバンカラは武士道にも通じ、「単に外見の容姿のみに留まらず、同時に内面の精神的なものも含めた行動様式全般」とも理解されていた。つまり外見に無頓着な体裁とそれを正当化するための動機が複合した文化であると言え、単に粗末・粗野なだけの恰好をバンカラと呼ぶわけではない。

[編集] 形骸化と衰退

しかしながら、主観的論理としてはとにかく、その内面性が追いつかず、単に粗野(非紳士的)にして卑であるに過ぎないといった「バンカラの形骸化」は早くから指摘されており、幾度となく弊衣破帽を排する教育方針をとる学校が現れた。これらの学校の多くは、英国式の紳士教育を以てバンカラを排することを是とした(苦学生の清貧と故意を見分けていた)。また戦時期には、国家統制の面から弊衣破帽を排する学校も出現した。

戦後、衣料品の質が向上するにおよび、最早自然形成された弊衣破帽は望むべくもなく、着古しにより自然に弊衣破帽が生成されるのを待たず人為的に衣服を傷めて着用する者や、古着を求める者が横行し、単なる服飾流行となった。そもそも戦前は衣料品の質が悪く、毎日のように着ているうち否応なく衣服が傷んだという歴史的事情もある。

[編集] 変遷

近年は「カラ」の誤記も散見されるように、少年漫画における不良少年、特に番長の記号(弊衣破帽は喧嘩に明け暮れる結果と誤解)に変質し、また西日本・東日本地区の一部の高校・大学の応援団の「伝統」にその名残を残すのみである。なお代わって勃興した非行少年・少女を中心とした変形学生服の文化は、むしろ学校の校則(服装規定)への反抗を記号化したもの(=服装の乱れ)であり、バンカラの後継文化と看做すことは困難である。

[編集] 岩手県とバンカラ

バンカラ文化の健在が顕著なのが、北東北地方、とりわけ岩手県である。

気質としてのバンカラを貫いている学校の多くは戦前から続く旧制中学だが、戦後新設校でバンカラを取り入れたところもある。岩手県においてバンカラは、県を代表する誇りとされており、盛岡一高に代表される多くの学校に現存している。バンカラを貫けるかどうかが、その高校および学生に対しての県内一般社会からの信用基準になっている。

バンカラには自主性・主体性・学力・体力・気力が必要な素養とされており、岩手県内においてはバンカラは模範生とほぼ同義語とされている。実際、進学・就職を問わず、バンカラ校は良好な実績を維持し続けている。よって学業優秀でなかったり、逆に勉強は出来ても課外活動において高い成果を生み出せない学校・生徒らが単に真似だけするのは恥ずかしいこととされる。

全県的に応援歌練習・壮行式・野球応援などはバンカラな進行に準じているが、求められる水準の高いバンカラの維持は難しいとされている。大学応援団に指導を受けるなどの対策も講じられるが、それでも維持できないことは少なくない。一度バンカラの仕組みが崩れると、その学校はあらゆる面で凋落していく傾向にある。その仕組みの建て直しに苦労するが、水沢高のような生徒の自主的な取り組みでバンカラを復活させた例も存在する。

ただし、最近では応援団リーダーのなり手(立候補者)が著しい減少傾向にあり(全校で3名以下のような状況もある)、十分な応援活動が展開できないこと(各高校の年間行事、公欠の取得状況にもよる)、応援団リーダーの不足を下級生等の補助にゆだねているような傾向にあり、必ずしもバンカラな応援を展開しているとはいい難い。とりわけ野球応援については、バンカラ応援団リーダー以上に、野球部下級生による派手でただ騒がしいだけのような応援(いわゆる「声出し」や相手チームへの野次)ばかりが目立つ傾向にあり、バンカラ応援が浸透しているとはいえないような状況が見受けられる。

[編集] 応援団がバンカラと称される高校

[編集] 旧制中学

[編集] 旧制高等女学校

[編集] 戦後新設校

[編集] 題材としている作品

[編集] 関連項目


個人用ツール
名前空間
変種
操作
案内
ヘルプ
ツールボックス