バイオメトリック・パスポート
バイオメトリック・パスポート (Biometric Passport) は、生体認証技術を個人情報記録の為に利用したIC旅券である。電子旅券、電子パスポート、ICパスポートなどとも称される。
IC旅券の仕様を定めている国際民間航空機関 (ICAO) では、IC旅券にバイオメトリックデータを記録する際には、顔画像を搭載することを必須事項とし、指紋画像と虹彩画像の搭載を各国の任意事項と定めている。
記録される顔画像は、基本的にパスポートに貼り付けられる顔写真と同じ画像である。 しかし、写真は切り貼りなどの加工により偽造される恐れが有るのに対し、ICチップ内に電子的に記録されている顔画像を書き換えることは技術的に困難とされることから、両者を比較対照することにより、偽造を見破ることができるとされる。
バイオメトリック・パスポートと称してはいるが、実は現在のところは生体認証技術はほとんど用いられておらず、上記の様に電子的に記録された顔画像をディスプレイに表示して係官が目視でチェックしている状況である。パスポートの偽造防止の目的には一定の効果を発揮しているが、本来目指していた生体認証技術を用いた自動的な高精度の本人確認が今後の課題である。ただし、記録が必須となっている顔画像を用いた生体認証は高精度な本人確認をおこなうことが困難とされており、実効的な認証精度を期待するには、オプションとなっている指紋・虹彩あるいはその他の生体情報の利用が必要である。しかし、これらはオプションであるために利用が全く進んでいないのが現状である。たとえば、米国では入国する外国人の両手10指の指紋登録を必須としていたり、日本でも空港の自動化ゲートの利用申請(任意)をおこなうと指紋登録が可能だったりするが、ここで採取された指紋情報は各自のIC旅券の内蔵チップに記録されるのではなく、各国が独自に管理するデータペースに記録されるだけである。もちろん指紋情報の国際間の相互交換はおこなわれていない(一部の犯罪捜査などを除く)ので、ある国で指紋登録していても他国では利用することはできない。たとえば、日本出国時に指紋登録済みの人でも、米国入国時には改めて指紋登録しなければならないし、その逆も同様である。
RFID(32 kb 以上)コンピュータチップに記録され、非接触(近接)通信技術により、記録されたデータの読み取りをおこなう。
RFID規格 (ISO/IEC 14443)、ICカード規格 (ISO/IEC 7816)、IC旅券規格 (ICAO Doc 9303) などにより規格化されている。
日本は2006年3月からICパスポートの交付を開始した。日本のICパスポートでは、ICチップは旅券冊子中央に綴じ込まれた“DO NOT STAMP THIS PAGE(このページにスタンプ捺印をしないこと)”の注意書きのあるプレートに埋め込まれている。外務省によると日本のパスポートのICチップには指紋は記録されていないとしている[1]。
バイオメトリック・パスポートは、欧州、北米、環太平洋地域などでも既に発行されている。
[編集] 脚注・参考資料
- ^ 外務省 IC旅券FAQ 「Q ICチップには何が記録されるのですか。指紋も記録されますか。」