ハーン=コルモゴロフの定理

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数学の分野におけるハーン=コルモゴロフの定理(ハーン=コルモゴロフのていり、: Hahn-Kolmogorov theorem)とは、非負の値を取る有限加法的関数(無限大もあり得る)がある「真実の」測度へと拡張されるような場合について述べた定理である。オーストラリア数学者ハンス・ハーンと、ロシアソビエト)の数学者アンドレイ・コルモゴロフの名にちなむ。

定理の内容[編集]

\Sigma_0集合 X部分集合代数とする。関数

\mu_0\colon \Sigma_0 \to\mathbb{R}\cup \{\infty\}

有限加法的であるとする。すなわち

\mu_0(\bigcup_{n=1}^N A_n)=\sum_{n=1}^N \mu_0(A_n)

が任意の正の整数 N および \Sigma_0 内の任意の互いに素な集合 A_1, A_2, \dots, A_N に対して成り立つものとする。

また、この関数はより強いシグマ加法性も満たすものとする。すなわち、

 \mu_0(\bigcup_{n=1}^\infty A_n) = \sum_{n=1}^\infty \mu_0(A_n)

が、\cup_{n=1}^\infty A_n\in \Sigma_0 を満たすような \Sigma_0 内の任意の互いに素な元の族 \{A_n:n\in \mathbb{N}\} に対して成り立つものとする(それらのような二つの性質を満たす関数 \mu_0前測度として知られている)。このとき \mu_0 は、\Sigma_0 により生成されるシグマ代数 \Sigma 上で定義されるある測度へと拡張される。すなわち、\Sigma_0 への制限\mu_0 と一致するようなある測度

\mu\colon\Sigma\to \mathbb{R}\cup\{\infty\}

が存在する。

\mu_0\sigma-有限であるなら、この拡張は一意である。

拡張の非一意性[編集]

\mu_0\sigma-有限でないなら、上述のような拡張は必ずしも一意ではない。たとえその拡張自身が \sigma-有限であっても、その一意性は保証されない。

そのような一例を挙げる:

a, b \in \mathbb{Q} に対し、[a,b) の形で表される任意の \mathbb{Q} の部分集合を有理閉開区間と呼ぶことにする。

X\mathbb{Q}\cap[0,1) とし、\Sigma_0 を、\mathbb{Q}\cap[0,1) に含まれるすべての有理閉開区間の有限な合併から成る代数とする。実際そのような \Sigma_0 が代数であることは簡単に証明することが出来る。また、\Sigma_0 に含まれるすべての空でない集合は無限大であることも、簡単に分かる。

\mu_0 を、\Sigma_0 に定義される集合計数関数 (\#) とする。\mu_0\Sigma_0 内において有限加法的かつ \sigma-加法的であることは明らかである。\Sigma_0 に含まれるすべての空でない集合は無限大であるため、すべての空でない集合 A\in\Sigma_0 に対して \mu_0(A)=+\infty が成り立つ。

\Sigma を、\Sigma_0 によって生成される \sigma-代数とする。\SigmaX の部分集合のボレル \sigma-代数であり、\#2\#\Sigma 上定義される測度で、それらはいずれも \mu_0 の拡張であることが分かる。

解説[編集]

この定理は、シグマ加法性が簡単に確かめられるような小さい集合代数上で測度を定義してから、あるシグマ代数へのその拡張を行うという手法を可能にするという点において、優れている。この定理の証明は、自明では無い。なぜならばこの定理では、\mu_0 をある集合代数からより大きいこともあり得るシグマ代数へと拡張し、しかも(\mu_0\sigma-有限であるなら)その拡張は一意であり、また元の関数のシグマ加法性も満たされている必要があるためである。

関連項目[編集]