ハーバー・ボッシュ法

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ハーバー・ボッシュ法は、を主体とした触媒上で水素窒素を500℃、1000気圧付近の超臨界流体状態で直接反応させ、N2 + 3H2 → 2NH3 の反応によってアンモニアを生産する方法である[1]。窒素を含む化合物を生産する際の最も基本となる過程であり、化学工業にとって極めて重要な手法である。最近は単にハーバー法と呼ばれる。

フリッツ・ハーバーらは鉄鉱石酸化鉄を主体とし、酸化アルミニウム酸化カリウムを含む)を用いた。このとき注意すべきことは、酸化鉄を触媒として装填するが、実際に反応しているのは水素によって還元されて生じた単体金属鉄であることである。酸化アルミニウムは還元されず担体として鉄の単体が振動により折りたたまれるのを防ぎ、酸化カリウムは塩基として鉄に電子を供与して触媒能力を高めている。

フリッツ・ハーバーカール・ボッシュによるこの方法は、「水と石炭と空気とからパンを作る方法」とも言われた。小麦の育成には窒素分を含む肥料の十分な供給が不可欠で、やせた氷河地形で、土壌が未発達の土地が多いドイツでは、小麦の栽培は困難で、主要な穀物生産は硝石などの海外産窒素肥料の輸入によるか、やせた土壌に強いライ麦に頼る、あるいは穀物の代替品として新大陸産のジャガイモに頼らざるを得なかった。

本法によるアンモニア合成法の開発以降、生物体としてのヒトバイオマスを従来よりもはるかに多い量で保障するだけの窒素化合物が世界中の農地生態系に供給され、世界の人口は急速に増加した。現在では地球の生態系において最大の窒素固定源となっている。

しかし、同時に爆薬の原料の硝酸を大量に製造、供給できるようになり、その後の戦争が長引く要因を作った。例として、この方法でドイツは、第一次世界大戦で使用した火薬の原料の窒素化合物の全てを国内で調達できた(火薬等、参照)。

さらに、農地生態系から直接間接双方の様々な形で、他の生態系に窒素化合物が大量に流出しており、地球全体の生態系への窒素化合物の過剰供給をも引き起こしている。この現象は、地球規模の環境破壊の一端を成しているのではないかとする懸念も生じている[2]

[編集] 脚注

  1. ^ 「超臨界流体のはなし」 日刊工業新聞 ISBN4-526-05708-8 p21
  2. ^ 世界の人口を養う“窒素”の光と影:日経サイエンス 1997年12月号