ハード (アダルトゲームブランド)

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HARD(ハード)は株式会社ログのアダルトゲームブランド[1]。後に同社から独立し、会社組織化したため雑誌などでは「ハード社」とブランドがそのまま社名として語られた[2]

概要[編集]

1985年12月に創業した株式会社LOG(ログ)はマイコン関連機器「ボイスボックス」[3]やグラフィックツール用ユーティリティ『アプリケット88』シリーズ等の開発を行う企業であったが、1986年、社内でアダルトゲーム部門を立ち上げ、ブランド名を”HARD”と名付けた。

前期は『パソコン通信CG写真集』を出す尊辺友が看板絵師としてキャラクターデザイン・原画を担当し、ナンパを題材としたアドベンチャーゲーム口説き方教えます』シリーズ、風俗店経営SLG『ソープランドストーリー』シリーズ[4]、フォトシミュレーションを謳った『美少女写真館』シリーズなどを展開、当時としては珍しい高画質の描写やアニメーションが好評を博する。

しかし、本来三部作を予定した『トリロジー -九鬼妖華真伝-』が難航する一方、同時期発売された安価な紙芝居路線の『はっちゃけあやよさん』が売れたことで[5]、同シリーズ二作目の移植版から原画・デザインを担当していた長岡建蔵が新たに社長に就任、以後は長岡の指揮のもと、不条理ギャク・パロディ色の強い個性的な作品を展開していくことになる[6][7]

1992年9月にはログから有限会社ハードとして独立。長岡時代には、歌手であるさっぽろももこの企画による『ようこそシネマハウスへ』という高い評価を受ける映画制作シミュレーションゲームを制作したが[8]、売上は芳しくなく、1995年の『吉永サユリがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』という迷走気味の作品を最後に解散状態となった[6]

以後は1999年のあやよさんシリーズ10周年として発売されたWindows版総集編を除いて活動はなかったが、2015年にハード社広報部の再結成され、2017年に株式会社 三月うさぎの森、同人サークルProjectRepadarsの協力により初の公式サイトを公開し、あやよさんシリーズの復刻などに向けて活動していた[9]

2021年8月26日、HARDが所有しているゲームタイトル全般の知的財産権を、株式会社三月うさぎの森内支店でゲーム部門を担当するBEEPが取得したと発表された[10]

作品[編集]


脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ 「株式会社ログ(ブランド名:HARD)から1989年~1990年に発売されたPCアダルトソフト「はっちゃけあやよさん」」公益社団法人著作権情報センター CRIC
  2. ^ "企業沿革"|HARD公式サイト
  3. ^ ADPCMを使った発声機器。当時JASTが先行してジャストサウンドを発売していたが、ボイスボックスは有名声優起用を売りとした。対応ソフトウェアは『一石にかける青春』のみ。
  4. ^ 『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』 p.59
  5. ^ 『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』 p.60
  6. ^ a b 宮本直毅 『エロゲー文化研究概論』 pp.74-75
  7. ^ 伝説のエロゲー『ようこそシネマハウスへ』が復刻へ──80人以上のキャラクターが生きる「ものづくりと滅びの世界」は、なぜ熱狂的な信者を生み出したのか? | 電ファミニコゲーマー
  8. ^ 『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』 p.111
  9. ^ 解散がインターネット普及前であったため、公式サイトはなかった。
  10. ^ BEEP、「はっちゃけあやよさん」シリーズ開発元「HARD」の知的財産権を取得”. ゲーム&ウオッチ. 2021年9月18日閲覧。

参考文献[編集]

  • パソコン美少女ゲーム研究会 『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』 ぶんか社 2000年9月
  • 宮本直毅 『エロゲー文化研究概論』 総合科学出版 2013年2月14日 pp.74-75
  • ほしのえみこ 「第二回 グラフィックのお姉さま」『お姉さまの逆襲 1』 エンターブレイン 2006年8月7日 pp.8-11
  • THE HARD DICTIONARY AYAYO'S ENCYCLOPEDIA』 2018年9月28日 三月うさぎの森

関連項目[編集]

外部リンク[編集]