ハートレー第2彗星

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ハートレー第2彗星
103P/Hartley
彗星
周期彗星の一覧 / 非周期彗星の一覧
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EPOXIミッションにおいて
撮影されたハートレー第2彗星
発見
発見者  マルコム・ハートレー
発見日  1986年3月15日
符号・別名  1985 V = 1986c =
103P/1986 E2 =
1991 XV = 1991t =
103P/1991 N1
軌道要素 - IAUNASA
元期 2010年9月17日 (JD 2,455,456.5)[1]
離心率 (e)  0.695
近日点距離 (q)  1.059 AU
軌道長半径 (a)  3.473 AU
遠日点距離 (Q)  5.883 AU
公転周期 (P)  6.47
軌道傾斜角 (i)  13.62°
近日点引数 (ω)  181.20°
昇交点黄経 (Ω)  219.76°
前回近日点通過  2010年10月28日[1]
次回近日点通過  2017年4月20日[1]

ハートレー第2彗星(ハートレーだい2すいせい、103P/Hartley)またはハートレイ第2彗星は、約6.5年周期で太陽に接近する木星族の短周期彗星である[1]

1986年にマルコム・ハートレーオーストラリアサイディング・スプリング天文台にあるUKシュミット望遠鏡にて発見した[1]。直径は1.2から1.6キロメートル (0.75から0.99mi)[1][2]と推測されている。探査機ディープ・インパクトの延長ミッションであるEPOXI(エポキシ)計画の一環としてフライバイの対象になり[3]、同探査機は2010年11月4日にハートレー第2彗星に700キロメートル (430 mi)まで近づいた[4]

特性[編集]

2008年のスピッツァー宇宙望遠鏡による観測では、彗星のの半径は 0.57 ± 0.08 km、アルベドは0.028である[4]。彗星の質量は最大で 3×1011 kg と推定される[4]。彗星は将来、壊滅的な粉砕や核の崩壊が起こらず、現在の質量の減り方が維持されれば、27世紀までに100回出現するはずである[4]

2010年の接近の際にアレシボ天文台レーダーにて観測した結果、彗星の核は非常に細長く、18時間で回転していることがわかった。エポキシ計画のプロジェクトマネージャーのティム・ラーソンは、彗星の核について「ボウリングのピンとピクルスの間のような形だ」と表現している[5]

地球の軌道の近傍を通過したにもかかわらず、これを起源とする流星群については未だに観測されていない。しかし、将来的には観測される可能性がある。ハートレー第2彗星の直近の接近の際に出たチリの帯は地球の軌道付近を行き来する。そして1979年に出たチリの帯が、2062年もしくは2068年に観測されると予想されている[6]

2011年ハーシェル宇宙望遠鏡による彗星本体及びコマの観測の結果、彗星の水素同位体比が地球の海水における水素の比率と非常に近いことが判明し、地球の水の由来について一石を投じている[7]

2010年の接近[編集]

彗星は2010年10月1日カシオペヤ座のNGC281の近くを通過した。10月7日の新月の夜から10月14日までの間に、ペルセウス座二重星団散開星団)の近くを通過した。10月20日に地球に0.12AUまで近づき[8]10月28日近日点を通過した[1]。この接近により、月の光に邪魔されなければ、11月上旬までは真夜中にぎょしゃ座の散開星団群の近くで見えたであろう[9][10]。その際には双眼鏡を使用すれば観測の助けになったであろう。

ディープ・インパクトのフライバイ[編集]

2005年にテンペル第1彗星を撮影した探査機ディープ・インパクトは、今度はハートレー第2彗星の観測に利用された。元々の計画ではボーティン彗星 (85P/Boethin) をフライバイする予定であったが、ボーティン彗星は1986年以降観測されたことがなく、フライバイをするために必要な精度で軌道を計算できなかった。NASAは探査機の目標をハートレー第2彗星に切り替え、2010年11月4日にフライバイして撮影を行った[11]

将来[編集]

2010年の近日点通過後、重力以外の力が加わらなければ、次は2017年4月20日に近日点を通過すると計算されている[12]

日本語での読み方[編集]

"Hartley"の日本語表記にはハートレーのほか、「ハートリー」、「ハートレイ」がある。英語での発音に最も近いのは2番目だとされるが、彗星に関しては一般的に1番目または3番目が用いられている。国立天文台のウェブサイトでは3番目の「ハートレイ」[13]、日本のマスコミや科学雑誌ナショナルジオグラフィックの日本語版サイトではなどでは1番目の「ハートレー」が用いられている[14][15]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g JPL Small-Body Database Browser: 103P/Hartley 2”. Jet Propulsion Laboratory (2010-10-24 last obs). 2011年1月14日閲覧。
  2. ^ EPOXI Mission Status, NASA/University of Maryland, December 2, 2007.
  3. ^ Tune, Lee; Steigerwald, Bill; Hautaluoma, Grey; Agle, D.C. (2007年12月13日). “Deep Impact Extended Mission Heads for Comet Hartley 2”. メリーランド大学カレッジパーク校. http://www.newsdesk.umd.edu/scitech/release.cfm?ArticleID=1564 2009年8月7日閲覧。 
  4. ^ a b c d Lisse, C. M.; Fernandez; Reach; Bauer; A'Hearn; Farnham; et al. (2009). “Spitzer Space Telescope Observations of the Nucleus of Comet 103P/Hartley 2”. American Astronomical Society, DPS meeting #41, #20.08 121: 968–975. http://authors.library.caltech.edu/15882 2010年2月23日閲覧。.  (arxiv)
  5. ^ "Space Radar Provides a Taste of Comet Hartley 2"アメリカ航空宇宙局、2010年10月28日。
  6. ^ P. Jenniskens, 2006. "Meteor Showers and their Parent Comets", Cambridge University Press, p. 688.
  7. ^ 地球の水は彗星から? 彗星の中に地球と同じ組成の水を発見アストロアーツ、2011年10月6日、
  8. ^ JPL Close-Approach Data: 103P/Hartley 2” (2008-06-04 last obs). 2010年2月23日閲覧。
  9. ^ Jonathan Shanklin. “Comet Prospects for 2010”. British Astronomical Association (Comet Section). 2009年2月25日閲覧。
  10. ^ 2010 Phases of the Moon”. U.S. Naval Observatory. 2010年10月18日閲覧。
  11. ^ EPOXI Mission Status, NASA/University of Maryland, December 2, 2007.
  12. ^ Donald K. Yeomans and Alan B. Chamberlin. “Horizons Ephemeris”. JPL Solar System Dynamics. 2010年2月23日閲覧。
  13. ^ ハートレイ彗星の情報:国立天文台” (日本語). 国立天文台. 2011年8月8日閲覧。
  14. ^ “NASAが撮影成功 ハートレー彗星” (日本語). 毎日新聞. (2010年11月6日). http://mainichi.jp/select/wadai/graph/CometHartley2/ 2011年8月8日閲覧。 
  15. ^ ハートレー第2彗星:今夜最接近” (日本語). ナショナルジオグラフィック. 2011年8月8日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]


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