ハーツ

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ハーツ (Hearts) は、52枚のトランプ一組を用いて行うトリックテイキングゲームの一種で、トリックでは特定のカードを取ることを避けるのが目標となる。通常は4人のプレイヤーで行うゲームであるが、3人や5人(またはそれ以上)で行うバリアントも存在する。Microsoft Windows付属アプリケーションとしても知られている。Xbox360のXboxLiveアーケードにてHardwood Heartsがダウンロード配信されている。 ハーツの別名として「ブラック・マリア」とも呼ばれることがある。

目次

[編集] ハーツのルール

[編集] 準備

ハーツに必要なのは以下のとおり。

  • プレイヤー(通常4人。4人以外で行うバリアントも存在する)
  • トランプ1組
  • 紙と鉛筆(得点の記録に使用)

トランプは通常、ジョーカーを除く52枚を使用する。コントラクトブリッジ同様、カードの強さは上から順にA→K→Q→J→10→9→8→7→6→5→4→3→2である。切り札となるスートは存在しない。

[編集] 勝利条件

ハーツの目標はポイントを取らないようにすることである。あるプレイヤーの合計得点が事前に決めておいた値(通常100ポイント)以上になるまでゲームを続け、最小得点のプレイヤーの勝利となる。

[編集] ゲームの手順

ハーツはラウンド単位でプレイする。各ラウンドで、配札、カードの交換、トリックのプレイ、得点の計算を行う。ゲーム終了までのラウンド数に上限はない。

[編集] 配札

ディーラーは52枚のカードをすべて配る。誰がディーラーかはゲームには影響しないが、通常、ディーラーはラウンドごとに時計回りに交代する。

[編集] カードの交換

各プレイヤーは、手札から任意の3枚のカードをほかのプレイヤーに渡し(「パス」)、代わりにほかのプレイヤーから3枚のカードを受け取る。交換するカードは、受け取るカードを見る前に選ばなければならない。

カードの交換は4ラウンドごとに以下のように行う。

  • ラウンド1、5、9、…:左側のプレイヤーに渡す。
  • ラウンド2、6、10、…:右側のプレイヤーに渡す。
  • ラウンド3、7、11、…:対面のプレイヤーに渡す。
  • ラウンド4、8、12、…:ホールド。カードの交換は行わない。

[編集] トリック

各トリックは切り札のない通常のトリックテイキングゲームである。つまり、

  1. プレイヤーの1人が手札からカードを1枚出す(「リードする」という)。
  2. その後、時計回りに各プレイヤーが手札からカードを1枚場に出す。ただし、可能な限りリードされたスートと同じスートのカードを出さなければならない(「マストフォロー」)。
  3. リードされたスートで最も強いカードを出したプレイヤーがそのトリックの勝者で、すべてのカードを獲得する。

ラウンドの最初のトリックでは、カードの交換の後で2♣を持っているプレイヤーが2♣をリードする。トリックの勝者が次のトリックのリードを行い、手札がなくなるまでこの手順を繰り返す。

ハートのカードすべてとQ♠は「ペナルティ・カード」であるため、トリックではこれらのカードを取らないようにプレイするのが望ましい。

[編集] 紳士協定

ハーツには「紳士協定」としてのルールがいくつかある。主にペナルティ・カードのプレイに関するルールである。主要なルールには以下のものがある。

  1. ペナルティ・カードがプレイされるまで(または、手札がハートだけになるまで)は、ハートのカードをリードすることができない。ペナルティ・カードをプレイすることを「ハートをブレークする」といい、通常はスペードのリードに対してQ♠を出すか、リードのスートがない場合にハートのカードを出す場合に発生する。
  2. ラウンドの最初のトリックではペナルティ・カードをプレイすることはできない。ただし、手札がすべてペナルティ・カードの場合は例外である(まずありえない状況であるが)。
  3. Q♠を持っているプレイヤーがQ♠を出すことができる場合、トリックに勝てるカードを出さない限りQ♠を出さなければならない(たとえば、リードがA♠である場合や、リードのスートのカードを持っていない場合など)。
  4. 特定のカード(通常は2♣かQ♠)を交換できないことにしているグループもある。

2番目のルールは比較的最近追加されたもので、3番目のルールは今日ではあまり使われていない。以上のルールはハーツをプレイするグループごとに決めるものである。ゲームを始める前に、どのルールを使うのか確認しておくといいだろう。

  1. レートアップの権利

ムーンが2連続で起きた時、していない二人(もしくは三人)にはレートをアップする権利が生じる。 通常は倍~三倍程度。常識の範囲内でとどめよう。 また、負けた時は早めに金を返すのは礼儀というか当然である。

[編集] 得点の計算

ラウンドの最後に、プレイヤーが獲得したカードにしたがってペナルティ・ポイントを計算する。ハートのカードを獲得したプレイヤーは1枚につき1ポイント、Q♠の場合は13ポイントが加算される。したがって、ラウンドごとに合計26ポイントが割りふられることになる。ただし、あるプレイヤーがペナルティ・カードをすべて獲得した場合(「シュート・ザ・ムーン」、「ゴーイング・フォー・コントロール」、あるいは単に「ランニング・ハーツ」という)、そのプレイヤーのポイントは加算されず、ほかのプレイヤー全員が26ポイント加算される。もしくは、自分の合計得点を26ポイント減らすことを認める場合もある。こうしても得点差は変わらないが、ゲームが終了するのを遅らせることができる。

最後に合計得点をチェックし、ゲームの終了条件を満たしたプレイヤーがいなければ次のラウンドを始める。

[編集] バリアント

ハーツは長い歴史を持ち、北アメリカで広くプレイされているため、ハーツには非常に多くのバリアント・ルールが存在する。 インターネット上では何百種類ものバリアントが紹介されている。

ここでは、その中でも代表的なバリアントを解説する。 バリアントにはゲームのプレイ方法を変えるものと、ゲームのルール自体は変えず、得点の計算方法だけを変えるものがある。 基本的なルールは同じでも、得点の計算方法が変わることで、全く違ったゲームになることもある。

[編集] オープニング・リード

最初のトリックでは2♣を持っているプレイヤーに戦略の自由度がないため、2♣の代わりに、ディーラーを基準にしてオープニング・リードを行うプレイヤーを決める方式の方が好まれることもある。 この方式では、ディーラーの左側のプレイヤーがオープニング・リードを行い、戦略を考えて自由に最初に出すカードを選ぶことができる(ペナルティ・カード以外)。 このバリアントを使う場合は、ディーラーの順序をしっかりと記録しておく必要がある。

[編集] カードの交換

[編集] 分割パス

このバリアントでは、カードを交換する際、ホールドの前に「分割パス」という交換方法を追加する(通常は左側、右側、対面、分割、ホールドの順)。 「分割パス」のカード交換では、ほかの3人のプレイヤーに1枚ずつカードを渡す。

[編集] ディーラーの選択

カードの交換方法のバリアントには、ディーラーがそのラウンドの交換方法を決める方式もある。 交換するカードの枚数には上限を決めることが多いが、ディーラーはカードの交換方法を型にはまることなく自由に決めてよい(「左側に2枚、右側に1枚」など)。 ただし、ディーラーは自分の手札を見る前に交換方法を決めなければならない。

[編集] 3人用ルール

3人用ルールには、あらかじめ3♣か2♦を除いておいて、17枚のカードを配るという方式と、以下で説明する変則ルールを用いるバリアントがある。 どのバリアントを使うにしても、対面のプレイヤーとカードを交換することはなくなる。

[編集] キティ・ハーツ

ディーラーは、52枚のカードをよく切ってすべて配る。 ただし、その際にカードを1枚裏向きにしてテーブルの中央に置く。 このカードを「キティ」といい、各プレイヤーは17枚のカードを受け取る。 最初のトリック(または、最初にペナルティ・カードの出たトリック)の勝者はキティも獲得し、そのプレイヤーだけがキティが何か見ることができる。 このルールでは、状況によってはキティのカードを取ることにもメリットがあるため、オープニング・リードでは2♣を出す必要はない。 オープニング・リードについては何らかのバリアント・ルールを使用する。

[編集] ハイロー・ジョーカー・ハーツ

このバリアントでは、2枚のジョーカーを加えた54枚のカードを使用する。 カードは各プレイヤーに18枚ずつ配り、キティは存在しない。 ジョーカーはハートとして扱う。 ただし、最初に出たジョーカーは「ハイ」で、Aより強い。 2番目に出たジョーカーは「ロー」で、2より弱い。 得点に関しては、ハートのカードが計15枚になるため、Q♠の得点を15点に上げることが多い。 実際にどうするかは、「紳士協定」ルールと同様にゲームの開始前に決めておく。 このバリアントは、「ハロー・ハーツ」ともいう。

[編集] 5人用ルール

3♣と2♦のカードを除き、各プレイヤーに10枚のカードを配る。 カードの交換の順序は、左隣、右隣、左側2人目、右側2人目、ホールドの順に行う。 もしくは、3人用ルールと同様に2枚のキティを使うこともできる。 この場合、最初のトリックの勝者がキティを2枚とも取る方式と、最初と2回目のトリックの勝者が1枚ずつ取る方式がある。

[編集] キャンセレーション・ハーツ

これは大人数用(6人以上)のバリアントである。 このバリアントではトランプを2組使用し、ペナルティ・ポイントは合計52ポイントになる。 1回のトリックで同じカードが出された場合、2枚とも「キャンセル」され、トリックの勝敗には影響しない。 リードされたスートのカードで、キャンセルされなかったカードのうち最も強いカードが勝つ。 リードされたスートのカードがすべてキャンセルされた場合は、そのトリックのリードをしたプレイヤーが次のトリックでもリードし、そのトリックの勝者が前回のトリックのカードも獲得する。 カードがキャンセルされるのはトリックの勝敗を決める場合だけで、キャンセルされたカードにもペナルティ・ポイントは発生する。

手札は、各プレイヤーに均等に配る。 カードの交換方法は人数に合わせて変える必要がある。 残ったカードは表向きにして置いておき、最初のトリックの勝者がそのカードも獲得する。 たとえば、7人のプレイヤーで2組のトランプ(104枚)を使う場合、各プレイヤーは14枚の手札を受け取り、残りの6枚は表向きにして残しておく。

シュート・ザ・ムーンを達成した場合は、他のプレイヤーの得点に52ポイント加算する。 しかし、キャンセレーション・ハーツではこれは滅多に起きない。

プレーヤーの数が11人以上になると、トランプは3組必要になってくる。 キャンセルのルールは同様に適用されるが、同じカードが3枚とも1回のトリックで出された場合は、最初の2枚だけがキャンセルされ、3枚目は有効となる。 トランプを3組使う場合は、シュート・ザ・ムーンの得点は78ポイントになり、通常はこれでゲームが終了するか、終了に大きく近づくことになる。 しかし、シュート・ザ・ムーンは2組のトランプを使う場合よりもさらに起きにくくなる。 4組以上のトランプを使用する場合にも同様にキャンセルのルールを適用することはできるが、それほど多くの枚数が必要になることはあまりないだろう。

[編集] 得点のバリアント

[編集] オムニバス

これは非常に人気のあるバリアントで、使用頻度も高い。 このバリアントではJ♦はボーナス・カードで、-10ポイントの価値がある。 そのため、プレイヤーはトリックでこのカードを取ろうとする。 しかし、普通はシュート・ザ・ムーンを達成する際には必要ではない。 また、ボーナス・カードを10♦としているルールもある。 オムニバス・ハーツでは得点の増加速度が遅くなるため、通常はゲームの終了条件の得点は61ポイントか75ポイントに下げられる。

1度もトリックを取らなかったプレイヤーに-5ポイントのボーナスを与えるというバリアントもある。

[編集] ターゲット・スコア

これは、合計得点が特定の値ちょうどになった場合にボーナスを得るというバリアントである。 あるプレイヤーの得点がちょうど50になった場合は0に、100になった場合は50に減らされる。

[編集] クラブの10

10♣もペナルティ・カードで、10♣を獲得したプレイヤーはそのラウンドのポイントが2倍になる。オムニバスのルールを使用している場合、10♣はそのプレイヤーが獲得したカードに応じてペナルティにもボーナスにもなりうる。このルールは今日ではあまり使われていない。

[編集] シュート・ザ・サン

トリックをすべて獲得した場合、ボーナスは通常の26ポイントの倍の52ポイントになる。

[編集] スポット・ハーツ

これは、強いハートほどペナルティ・ポイントも大きくなるというバリアントである。 具体的には、各ハートはその数字と同じポイントになる(2♥ = 2、…、K♥ = 13、A♥ = 14)。 Q♠は25ポイントのペナルティになる。 これによって、各ラウンドで計129ポイントが割りふられることになり、通常は誰かの得点が500ポイント以上になるまでゲームを続ける。 「シュート・ザ・ムーン」については、ボーナスを全カードのポイントの合計値にするか、単にこのルールは使用しない。 また、ポイントを2♥ = 2、…、10♥ = 10、J♥ = 10、Q♥ = 10、K♥ = 10、A♥ = 15、Q♠ = 25とするバリアントもある。

[編集] 複素数ハーツ

これは、リチャード・ガーフィールドが考案したとされるバリアントである。

複素数ハーツのルールは通常のハーツと同じであるが、得点計算には複素数を使用する。 カードの得点は、ハートは1枚につき1ポイント、Q♠は 13i ポイント、J♦は-10ポイントとなる。 10♣を獲得したプレイヤーは、そのラウンドの得点に 2i をかける。 最初に得点の絶対値が100を超えたプレイヤーが敗者となる。 勝者は、この時点で得点の絶対値が最小のプレイヤーである。 なお、複素数 a + bi の絶対値は\sqrt{a^2 + b^2}である。

この方式では、J♦が常にボーナス・カードになるとは限らないし、ペナルティ・カードも常に有害とも限らない。 たとえば、10♣とQ♠を同時に獲得すると-26ポイントになり、ペナルティ・ポイントを減らすことができるかもしれない。 同様に、合計得点の実部がマイナスになったプレイヤーにとってはJ♦はペナルティ・カードになるし、ハートのカードがボーナス・カードになる。 また、ペナルティ・ポイントの虚部を打ち消すにはJ♦と10♣を同時に獲得するしかない(この場合、 − 20i ポイントになる)。 そのため、Q♠は特に危険である。

複素数ハーツでの「シュート・ザ・ムーン」のルールにはさまざまなものがある。 そのうちのひとつは、「シュート・ザ・ムーン」を達成したプレイヤーが \pm 13 \pm 13i の符号を決め、各プレイヤーの得点に加えることができるというものである。

[編集] 関連リンク