ハクウンボク

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ハクウンボク
ハクウンボク
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : ビワモドキ亜綱 Dilleniidae
: カキノキ目 Ebenales
: エゴノキ科 Styracaceae
: エゴノキ属 Styrax
: ハクウンボク S. obassia
学名
Styrax obassia Siebold et Zucc. (1839)[1]
和名
ハクウンボク(白雲木)

ハクウンボク(白雲木[2]学名: Styrax obassia )はエゴノキ科エゴノキ属落葉小高木[3][4]。別名、オオバヂシャ[2][5]オオバジシャ[1]

名称[編集]

和名「ハクウンボク」(白雲木)は、白い花が美しく群がって咲く様子を白雲に見立てたことに由来する[2][5][3][4]

分布と生育環境[編集]

日本朝鮮半島中国に分布する[6][4]。日本では、北海道本州四国九州に分布する[2]。山地にふつうに見られ、落葉樹林に生育する[6][5]

特徴[編集]

落葉広葉樹高木で、樹高は6 - 15メートル (m) に達する[2]

樹皮は灰白色から暗灰褐色で、はじめは滑らかであるが古くなると縦に浅く裂け目が入る[2][7]は、新枝では緑色で細かい星状毛が生えるが、2年枝になると表皮が縦に割れ、はがれ落ちると暗褐紫色になる[2]

互生し、葉身は長さ10 - 25センチメートル (cm) 、幅6 - 20 cmと大型になり、円形状楕円形、倒卵形から広倒卵形で[2]、先端は短く尾状にとがり[5]、基部は円形または広いくさび形になり、縁には先端がとがった微細な歯牙状の鋸歯がある。葉の裏面には星状毛が密生し、灰白色になる。葉柄は長さ1 - 2 cmになる[3][4]。秋は黄葉する。黄色一色に染まった葉のほか、葉脈に沿って緑色が残っていたり、葉縁にそって褐色がかるなど多彩な模様が見られる[5]。落葉した葉はすぐに乾燥して丸まって縮れる[8]

花期は5 - 6月で[6][2]がよく目立つ[7]。本年枝の先に、長さ10 - 20 cmになる総状花序をだして垂れ下がり、白色のを20個ほど下向きにつける[2]花柄は長さ7 - 10ミリメートル (mm) ある。はコップ状になり、縁に5歯があり、星状毛が密生する。花冠は直径20 mmほどで5深裂し、花冠裂片は花冠筒部より長い[2]雄蕊は10個あり、花冠筒部に着生し、花糸は無毛。花柱は1個あり、雄蕊より長く、花冠よりは短い[3][4]

果期は9月ごろ[2]果実蒴果で直径1.4 - 1.7 cmの楕円状球形になり[2]、先端はややとがり、果実の表皮に星状毛が密生する。種子は1個あり、熟すと果皮が縦に裂け、褐色になった種子とともに果実が落ち、杯状の萼が残る[3][4]

冬芽は葉柄の基部に包まれる葉柄内芽で、落葉すると黄褐色の毛に覆われた裸芽が見える[7]。枝先に仮頂芽をつけ、枝に側芽が互生する[7]。冬芽は仮頂芽も側芽も、ともに副芽を下につける[7]。葉痕はO字形で冬芽を取り囲み、維管束痕が多数並ぶ[7]

利用[編集]

植栽用途として、庭木、公園木とされ、寺院などによく植栽される[6]。花は茶花に使われる[6]。また、材は器具材[5]、くり物、ろくろ細工、将棋の駒[6]マッチの軸[5]などに利用され、種子からはハクウンボク油をとる[3][4]

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • 亀田龍吉『落ち葉の呼び名事典』世界文化社、2014年10月5日、104 - 105頁。ISBN 978-4-418-14424-2 
  • 佐竹義輔ほか 編『日本の野生植物 木本Ⅱ』平凡社、1989年2月。ISBN 4-582-53505-4 
  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、65頁。ISBN 978-4-416-61438-9 
  • 西田尚道監修 学習研究社編『日本の樹木』 5巻、学習研究社〈増補改訂 ベストフィールド図鑑〉、2009年8月4日、73頁。ISBN 978-4-05-403844-8 
  • 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、58頁。ISBN 4-522-21557-6 
  • 茂木透 写真、石井英美ほか、高橋秀男・勝山輝男 監修『樹に咲く花:合弁花・単子葉・裸子植物』山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑 5〉、2001年7月。ISBN 4-635-07005-0