ハウステンボス (列車)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
ハウステンボス
専用塗色車
専用塗色車
運行事業者 九州旅客鉄道(JR九州)
列車種別 特急列車
運行区間 博多駅 - ハウステンボス駅
経由線区 鹿児島本線長崎本線佐世保線大村線
使用車両
(所属区所)
783系電車
南福岡車両区
運行開始日 1992年3月25日
備考 2011年3月12日現在

ハウステンボス (HUIS TEN BOSCH) は、九州旅客鉄道(JR九州)が博多駅 - ハウステンボス駅間を、鹿児島本線長崎本線佐世保線大村線経由で運行する特急列車である。

本項では「ハウステンボス」の前身にあたる、門司港駅 - 佐世保駅間で運行していた特急「オランダ村特急」(オランダむらとっきゅう)についても記述する。

概要[編集]

特急「ハウステンボス」は、長崎県佐世保市針尾島に所在するテーマパークハウステンボスの開業に合わせ、アクセス列車として1992年3月25日に運転を開始した。運転開始に先立つ同年3月10日にハウステンボスの最寄り駅としてハウステンボス駅が開設され、同時に「ハウステンボス」を運行する目的で早岐駅 - ハウステンボス駅間の1区間のみ電化された。大村線に乗り入れる優等列車としては初の特急列車である。

運転区間の線路容量の都合上、運転開始以来臨時列車の一部を除き、博多駅 - 早岐駅間は佐世保駅発着の特急「みどり」に併結して運行されている。一部の列車では博多駅 - 肥前山口駅間で「かもめ」とも併結していたが、2011年3月12日のダイヤ改正をもって「かもめ」との併結運転は終了した。

運行概況[編集]

2013年3月16日のダイヤ改正時点では定期列車は3往復で、この他に毎日運転であるが臨時列車扱いの列車が2往復あり(下表の9・15・20・24号が該当)、平日は5往復で運行されている。土曜・休日や春・夏・冬休み期間は1日8往復に、一部の三連休やゴールデンウィーク、お盆、年末年始などのピーク期には9または10往復に増発される。

下表に記してある列車のうち、91・96号以外の列車は全て「みどり」に併結して運行される。号数は「みどり」に合わせられているため「ハウステンボス」の号数には欠番が生じている。また、臨時列車のうち1・10号については「みどり」の増結編成(佐世保駅発着)として運行される場合がある。

運行日\上下 下り 上り
毎日運転 3・5・9・13・15 12・14・20・22・24
土曜・休日運転 7・11・17 16・18・26
最繁忙期運転 1・91 10・96

また、臨時列車に関しては平日にも、団体専用列車として運行されることがある。この場合、駅や車内の案内では全車指定席として扱われる。

なお5往復運行の日には、この日には運行されない7・11・16・18号の早岐駅 - ハウステンボス駅間のスジを用いて、同区間にシャトル列車「ハウステンボスリレー号」が運行され、早岐駅で「みどり7・11・16・18号」と接続する。車両は「みどり7・16号」に接続する列車はキハ66・67系気動車、「みどり11・18号」に接続する列車は783系電車が充当される。

このほか、1月1日の早朝に、ハウステンボスのカウントダウンイベント向けの臨時列車「ハウステンボスカウントダウン号」が運行される。上り(ハウステンボス駅→博多駅)のみ5本程度の運転で、号数は70号から始まる。

列車番号は、定期列車は号数+6000H、1・10・91・96号以外の臨時列車は号数+7000H、1・10号は号数+9000H、91・96号は9033M・9034Mである。末尾が通常電車列車に用いられる"M"でないのが特徴であるが、末尾がHの列車は全て「みどり」に併結されるため、実際に「○○○○H」の列車番号で運行されるのは早岐駅 - ハウステンボス駅間の1駅間のみである。

停車駅[編集]

博多駅 - 二日市駅 - 鳥栖駅 - 新鳥栖駅 - (吉野ヶ里公園駅) - 佐賀駅 - 肥前山口駅 - 武雄温泉駅 - 有田駅 - 早岐駅 - ハウステンボス駅

使用車両・編成[編集]

2011年3月12日現在の編成図
ハウステンボス
← ハウステンボス
博多 →
1 2 3 4
G
  • 全車禁煙
凡例
G=グリーン車座席指定席
指=普通車座席指定席
自=普通車自由席

南福岡車両区に所属する783系電車(ハイパーサルーン)の「ハウステンボス」用4両編成が充当されている。2011年3月12日ダイヤ改正以降は、2往復以上運行するJR九州管内を走行する在来線電車特急の中では、唯一1形式の車両のみで運行されている。全車両中央の乗降口を境にハウステンボス寄りのA室と博多寄りのB室に分かれており、駅や車内でもそのように案内されている。

1992年3月の運転開始時点は485系電車の3両編成で運行していたが、1両増結して4両編成で運行することもあった(基本編成は8 - 10号車で、増結車は増10号車として運転)。1994年3月より所定でも4両編成の運行となり(7 - 10号車、ただし1995年4月19日までは従来の3両編成で運行することもあった)、同時に外装がそれまでの赤一色から、赤・青・黄・緑の四色を用いたブロックパターンに改められた。485系では1993年から1994年にかけての一部列車を除いて、グリーン車は連結されなかった。

2000年3月11日に全列車783系での運行となり、同時に全列車にグリーン車が連結された。また博多寄り先頭車(当時の10号車)のクハ783系100番台には貫通路が設けられ、それまでは不可能だった「みどり」との併結時の両編成の行き来が可能になった。2011年3月12日からは「かもめ」との併結終了により号車番号がそれまでの7 - 10号車から1 - 4号車に変更されている。

上り列車の佐賀駅→博多駅間では、1号車B室を除く普通車指定席の空席に、自由席特急券で乗車可能の特例が設けられており、ホームや車内でもアナウンスされる。ただし、座席区分上ではあくまで指定席の扱いのため、指定席券を持つ客が乗車してきた場合は席を譲らなければならない。

なお全区間単独運転の91・96号は「みどり」用の783系4両編成で運行されるが[1]、2011年12月23日[2]の運行分よりデラックスグリーン席・グリーン個室を連結した787系電車の6両編成が充当される場合がある。2000年10月から11月にかけて、当時の81・82号が787系4両編成で運行された実績があり、それ以来11年ぶりの787系での運行となっている。「ハウステンボス」用の行先表示器は用意されていないため、方向幕は「臨時」となっている。また、81・82号には1995年と1996年に、「ハウステンボスジェイアール全日空ホテル」の開業、および開業1周年を記念して、「ソニック」(当時は「ソニックにちりん」)用の883系電車が充当されたこともある。なお、883系が「ソニックにちりん」→「ソニック」以外の列車に用いられたのは、ダイヤ改正の前に短期間「にちりん」に充当されたのを除けば、2008年3月14日のダイヤ改正まで他に例がなかった。

ちなみに787系と883系は、いずれも「ハウステンボス81・82号」での運用が、一般旅客列車としての初めての佐世保線での運用となっている。早岐駅 - 佐世保駅間に関しては787系は2004年に「みどり」の臨時列車で初めて一般旅客列車で乗り入れ、2011年からは定期列車でも乗り入れているが、883系は現在まで一般旅客列車での乗り入れ実績はない。

また「ハウステンボスカウントダウン号」は783系4両・5両・8両編成のいずれかで運行されるが、8両で運行する列車はハウステンボス駅→早岐駅間は4両編成での運行となる。

利用状況と競合交通機関[編集]

当列車は名前のとおりハウステンボスへのアクセスが主な目的であるが、ハウステンボスの入場者数が減少傾向にある現在は、国鉄時代と比較して大幅な増発がなされていない「みどり」の補助列車(増結編成)としての役割が強くなっている。土曜・休日やピーク期には混雑も見られるが、平日の午後の下りや午前中 - 昼間の上りではかなりの空席状態になることもある。自由席は「かもめ」「みどり」と同様に佐賀駅での入れ替わりが激しいが、「かもめ」と併結運転していた頃は、3階建て列車では「ハウステンボス」がホームの中央に来るため、上りでは「ハウステンボス」の混雑が特に大きい傾向があった。

また、各地域とハウステンボス駅を結ぶ「2枚きっぷ・4枚きっぷ」は佐世保駅までのものより割高な傾向があるが、これは佐世保駅前に発着する高速バス側の事情によるものが大きい。博多バスターミナル発着の「させぼ号」はハウステンボスまでは乗り入れず(かつては福岡市とハウステンボスを結ぶ高速バス「ハウステンボス号」もあったが利用不振により廃止され、現在は「させぼ号」のうち2往復がハウステンボスに乗り入れる形になっている)、ハウステンボスに乗り入れるものも(「さいかい号」など)佐世保行き便の場合、一旦佐世保駅前の佐世保バスセンターに寄ってからハウステンボスに向かうため、時間的に列車「ハウステンボス」の方が優位になっているのである。

オランダ村特急[編集]

協調運転する「オランダ村特急」と「有明」

特急「オランダ村特急」は、長崎県西彼杵郡西彼町(現在の西海市)に所在する長崎オランダ村(2001年閉園)への観光誘致のため、1988年3月20日小倉駅 - 佐世保駅間で運行を開始した。週末や長期休暇期間中に運行される臨時列車として運行されていた。

1989年3月11日には門司港駅発着に延長されたが、同年4月29日の運転分から下り列車に関しては、485系で運転されていた西鹿児島駅(現在の鹿児島中央駅)行きの特急「有明」と博多駅まで併結運転となった。電車と気動車の併結自体はすでに「雷鳥」と「ゆぅトピア和倉」でなされていたが、「ゆぅトピア和倉」は「雷鳥」との併結時は無動力であったため、電車と気動車の動力協調運転は世界初の事例であった。1990年3月からは併結区間が鳥栖駅までに変更されている。

好評を博したことから1988年の夏季には、本来「オランダ村特急」の車両が運用されない時間を利用して、博多駅 - 佐世保駅間に「臨時オランダ村特急」として1往復追加運行されたこともある(下り「オランダ村特急」→上り「臨時オランダ村特急」→下り「臨時オランダ村特急」→上り「オランダ村特急」の順番で運行)。

1992年3月にハウステンボスが開園されたのに伴い、特急「ハウステンボス」と入れ替わる形で運転を終了した。

停車駅[編集]

門司港駅 - 門司駅 - 小倉駅 - 戸畑駅 - 黒崎駅 - 折尾駅 - 香椎駅 - 博多駅 - 鳥栖駅 - 佐賀駅 - 武雄温泉駅 - 早岐駅 - 佐世保駅

  • 「みどり」が当時から全列車停車していた肥前山口駅と有田駅は通過していた。

使用車両・編成[編集]

1989年4月29日時点の編成図
「有明」「オランダ村特急」
← 西鹿児島・早岐
佐世保/門司港 →
編成 「オランダ村特急」
佐世保駅 - 門司港駅間
「有明」
西鹿児島駅←門司港駅間
号車 1 2 3 4 1 2 3 4 5
座席 P指 指P G
  • 「有明」とは下りのみ、門司港駅→博多駅間で併結運転
  • 「オランダ村特急」は早岐駅で進行方向を変える
座席種類
G=グリーン車座席指定席
指=普通車座席指定席
P=展望車
自=普通車自由席

キハ183系気動車1000番台が使用されていた。当初は3両編成で運行されていたが、「有明」との併結運転開始に合わせて4両編成に増結された。先頭車の車端部は1階はガラス張りの展望車とし、運転席は2階に設けられた。外装は赤・青・白を用いたトリコロール調であった。

「有明」との併結運転時には、当初は右の編成表の通り「オランダ村特急」の佐世保/門司港側に「有明」を連結していた。これはこの時点では協調制御が「オランダ村特急」側からのみ出来る暫定システムで「オランダ村特急」を前にする必要があったためであるが、後に485系側からも協調制御が出来るシステムになり、「オランダ村特急」の早岐側に「有明」を連結するようになった。

なお、「オランダ村特急」の運転区間は全線電化区間にも関わらず気動車が用いられたが、これはキハ183系1000番台が「オランダ村特急」運転日以外も長崎オランダ村のPR車両として九州各地を運行する目的があったためである。

「オランダ村特急」の運行終了後、1000番台は改造の上で久大本線の観光特急「ゆふいんの森」に転用されたが、キハ72系気動車の新製に伴い「ゆふいんの森」からは撤退。外装をかつてのトリコロール調に戻すなどの再改造の上で1999年3月に佐世保駅 - 長崎駅間の特急「シーボルト」として長崎地区に復帰したが、「シーボルト」は利用不振で2003年3月に廃止された後に再々改造され、2004年3月から2011年1月まで「ゆふDX」として再度久大本線で運用(運用途中に外観の塗色変更あり)、さらに2011年6月4日からは4度目の改造を受けて「あそぼーい!」として豊肥本線を走る。

沿革[編集]

  • 1988年昭和63年)3月20日:小倉駅 - 佐世保駅間を鹿児島本線・長崎本線・佐世保線経由で運行する臨時特急「オランダ村特急」運転開始。
  • 1989年平成元年)
    • 3月11日:「オランダ村特急」を門司港駅発着に変更。
    • 4月29日:「オランダ村特急」の下り列車について、485系の特急「有明」と博多駅まで併結運転開始。
  • 1990年(平成2年)3月:下り列車の「有明」との分割駅を鳥栖駅に変更。
1994年3月1日時点の編成図
「みどり」「ハウステンボス」
← 早岐・ハウステンボス
佐世保/博多 →
編成 「ハウステンボス」
HTB駅(※) - 博多駅間
「みどり」
佐世保駅 - 博多駅間
号車 7 8 9 10 11 12 13 14
座席 G
  • ※:ハウステンボス駅の略
  • 博多駅 - 早岐駅間で併結運転、「みどり」は早岐駅で進行方向を変える
  • 「ハウステンボス」は1995年4月19日までサハ481を欠いた3両編成で運行する場合がある
  • 博多駅 - 肥前山口駅間で「かもめ」(1 - 5号車)と併結する場合がある
座席種類
G=グリーン車座席指定席
指=普通車座席指定席
自=普通車自由席
  • 1992年(平成4年)3月25日:ハウステンボス開園とともに「オランダ村特急」に代わり、博多駅 - ハウステンボス駅間を485系電車で運転する特急「ハウステンボス」運転開始。
    • 運転開始当初は時期によって3往復から11往復まで運転本数に差が見られた。また毎日運行の列車も含めて、全列車臨時列車として運行されていた。
    • 号数が80番台の列車を除き、博多駅 - 早岐駅間は「みどり」に併結して運転(一部の列車は博多駅 - 肥前山口駅間で「かもめ」とも併結)。
    • 車両は485系電車3両編成を用いたが、時期によって4両で運行する場合もあった。
    • なお、現在の全列車停車駅のうち、最初期に限り81号のみ有田駅を通過していたが、まもなく全列車停車となった。
  • 1993年(平成5年)
  • 1994年(平成6年)3月1日:編成を7 - 10号車の4両とする(ただし時期によっては3両で運転する場合もあった)。同時に外装を赤一色から、赤・青・黄・緑をブロックパターンに配色した塗装に変更(塗装変更目的は誤乗防止対策から。塗装のコンセプトは「おもちゃの列車」だった)。グリーン車の設定はなくなる。
  • 1995年(平成7年)4月20日:このときのダイヤ改正により、全列車通年4両編成となる。
  • 1996年(平成8年)
    • 3月16日:このときのダイヤ改正により8往復が定期列車となり、同時に臨時列車も含めてエル特急の種別が与えられる。
    • 4月29日:この年より、81・82号は有田陶器市期間中に限り、博多駅 - 早岐駅間で臨時特急の「有田陶器市81・82号」を併結した。
  • 2000年(平成12年)
    • 3月11日:この時のダイヤ改正により、以下のように変更。
      1. 使用車両を783系に変更。同時に全列車にグリーン車を設定(なお、「ハウステンボス」から撤退した車両は「きりしま」「ひゅうが」に転用された)。
      2. 定期列車を4往復に減便。このほかに4 - 5往復の臨時列車を設定する。
      3. 81・82号の「有田陶器市号」併結は終了(「有田陶器市号」は「みどり」の臨時列車として運転されるようになる)。
  • 2001年(平成13年)1月1日:この年から、ハウステンボスのカウントダウンイベント向けに元日の早朝に運転される列車を「ハウステンボスカウントダウン号」の列車名で運行する。
  • 2003年(平成13年)3月15日:このときのダイヤ改正により臨時列車の81号を11号に変更し「みどり」に併結とする。また、この頃から臨時列車のうち1往復がほぼ通年運行となり、平日は実質5往復の運行となる。
  • 2005年(平成15年)3月1日:車内販売の営業を廃止(併結の「みどり」でも同様の処置が取られた)。
  • 2007年(平成19年)3月18日:全車禁煙となる。また、783系に車種変更後、「みどり」と「ハウステンボス」の座席種別は基本的に共通であったが、この改正から下り方先頭車から数えて3両目(「ハウステンボス」は9号車、「みどり」は13号車)は「ハウステンボス」は指定席と自由席が半室ずつ、「みどり」は全室自由席と差異が付けられた。
  • 2008年(平成20年)7月ごろ:エル特急の呼称を中止。
  • 2011年(平成23年)
    • 3月12日:ダイヤ改正により以下のように変更。
      1. 本数を定期列車3往復、臨時扱いの毎日運転の列車を2往復、土曜・休日など運転の列車を3往復、ピーク期運転の列車を1往復とする。また最繁忙期運転の列車の号数を91・92号に変更の上、91・92号は単独運転とする。
      2. 「かもめ」との併結運転を終了。これにより号車番号を全列車1 - 4号車に変更。
    • 10月8日:この日からピーク期運転の列車を2往復とし、最大10往復の運転となる。

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 博多駅に到着した「きらめき5号」(「ハウステンボス」編成+「みどり」編成)を分割して運用。残った「ハウステンボス」編成は別の「みどり」編成と連結し、「ハウステンボス91号」の後に発車する「みどり・ハウステンボス5号」となる。
  2. ^ 当時は96号は92号として運行。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]