ノー・ニューヨーク

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ノー・ニューヨーク
Various artists の コンピレーション・アルバム
リリース 1978年
録音 ビッグ・アップル・スタジオ
1978年春
ジャンル ノー・ウェーブ
時間 43分46秒
レーベル アンティルス・レコード(en)
プロデュース ブライアン・イーノ
専門評論家によるレビュー
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ノー・ニューヨーク(No New York)は、1978年アンティルス・レコード(enアイランド・レコードのサブレーベル)からリリースされたコンピレーション・アルバムである。プロデューサーはブライアン・イーノ。このアルバムには4組のアーティストしか参加していないが、1970年代後半に発生したジャンルであるノー・ウェーブのきっかけとなったアルバムとして知られる。

背景[編集]

1970年代のニューヨークにおいて、ソーホーにあるアーティスト・スペース(en)というギャラリーで、ロックフェスティバルが4日間開かれた[4]。そのライヴの3日目(金曜日)にDNAザ・コントーションズ(en)が出演、つづく最終日(土曜日)にはマーズ(en)とティーンエイジ・ジーザス・アンド・ザ・ジャークス(en)が出演した[4]。そのライヴの観客の中に、トーキング・ヘッズのセカンドアルバム「モア・ソングス」のマスタリングのためにニューヨークに来ていたブライアン・イーノがいた[4]。イーノはこの4組のバンドに興味を持ち、これらのバンドによるノー・ウェーブのコンピレーションを、自ら監修してリリースする案を思いついた[5]

なお、このライヴの様子はオープンリールで録音されたが、消失して現存しない[6]

製作[編集]

DNAのメンバー、アート・リンゼイ

イーノは4バンドにコンピレーションを作る案を持ちかけ、イーノのアパートでミーティングを行った[7]。当初、アーティスト・スペースでのライヴに出演していた他のバンド、例えばグレン・ブランカ(en)率いるセオリティカル・ガールズ(en)などもコンピレーションに参加する案があったが、イーノや4組のバンドの意向によって、結局参加することはなかった[6]。アルバムの構成は、4バンドが各4曲ずつ、計16曲となった。

ミーティングの後、イーノはアイランド・レコードにコンピレーションの構想を持ち込み、ビッグ・アップル・スタジオ(現:グリーン・ストリート・スタジオ)でレコーディングが行われた[8]。しかしイーノは、プロデュースにおいてあまり手を加えず、各バンドの演奏をできるだけ生のまま活かそうとしていた[8]。そのため演奏にほとんど口を挟まず、時にはレコーディング中に雑誌を読んでいることもあった[8]。レコーディングについて、ザ・コントーションズのメンバー、ジェームス・チャンス(en)は「ザ・コントーションズのトラックは、スタジオ内ですべて演奏し、楽器別に録音もせず、多重録音もなし、ただ演奏を記録しただけだ」と語った[5]

しかし、1979年に行われた「The Studio As Compositional Tool」というレクチャーにおいて、イーノは「『ノー・ニューヨーク』に収録された「ヘレン・フォーズデイル」で、私はギターパートのクリック音にエコーをかけ、全体を通してコンプレッサーで音を圧縮させることで、ヘリコプターのブレードのような響きを出した[9]」と語っている。

リリースと評価[編集]

『ノー・ニューヨーク』は、当初アイランド・レコードからのリリースを検討されていたが、内容が実験的過ぎると判断され、サブレーベルのアンティルス・レコードからリリースされたとされる[8]1978年に『ノー・ニューヨーク』のLP盤は発売されたが、ビルボードチャート(en)にはランクインしなかった[1]。またこのアルバムでは、歌詞がレコードスリーブの内側に印刷されており、歌詞を読むためにはスリーブを破らなければいけなかった[2][3]

このアルバムに対しては、さまざまな評価がなされた。例えば批評家のリチャード・C・ウォールズは、『クリーム・マガジン』(en)の1979年4月号で「このアルバムはNOというゆるぎない声明で、リスナーに新しい思考材料を与える」[7]と好意的に評した。また、1981年9月30日-10月6日発行の『ヴィレッジ・ボイス』では、レスター・バングが「身の毛のよだつノイズミュージックへの正統なガイド」「重要な分岐点」[7]として推薦している。

しかし批判的な意見もあり、1979年4月5日号の『ローリング・ストーン』では、「攻撃的なアンチ・メロディ」「反人道主義」として批評し、特にザ・コントーションズ以外のバンドについて「(ティーンエイジ・ジーザス・アンド・ザ・ジャークスは)全く我慢ならない」、「(マーズは)とりわけ魅力的というわけでもない」、「(DNAは)特にオリジナルというわけでもない」などと厳しく評した[7]

廃盤状態と再発[編集]

『ノー・ニューヨーク』は賛否両論となり、多くのリスナーを刺激したが、後にリリース元のアンティルス・レコードが倒産、マスター音源が消失してしまった[8]。その後しばらく同盤が入手しづらい状態になり、ニューヨークのレコードショップなどでは、80ドルで取引されるなど価格が高騰した[8]1995年には『ニューヨーク・タイムズ』で、廃盤となったアルバムのトップ10に『ザ・ビートルズ・スーパー・ライヴ!』や『クラフトワーク』と並んで、『ノー・ニューヨーク』が挙げられた[8]

その後1997年日本でCDとして再発されたのをはじめ、アメリカでも2005年に Lilith Records からCDとLP盤が再発された。再発後のレビューはおおむね好意的で、Allmusicでは「この影響力の大きいアルバムは、今でもニューヨークのノー・ウェーブ運動の決定的な記録である」[1]と評され、『クリーム・マガジン』でも「『ノー・ニューヨーク』の音楽に魅了される人もいるだろうし、信じられないと思う人もいるだろう」とされた。2007年12月には、『ブレンダー・マガジン』(en)で発表された「史上最も優れたインディーロックのアルバム100」の65位に『ノー・ニューヨーク』がランクインした[10]

トラックリスト[編集]

A面
# タイトル 作詞・作曲 アーティスト 時間
1. 「ディッシュ・イット・アウト」   ジェームス・チャンス ザ・コントーションズ 3:17
2. 「フリップ・ユア・フェイス」   チャンス ザ・コントーションズ 3:13
3. 「ジェイデッド」   チャンス ザ・コントーションズ 3:49
4. 「アイ・キャント・スタンド・マイセルフ」   ジェームス・ブラウン、編曲:ザ・コントーションズ ザ・コントーションズ 4:52
5. 「バーニング・ラバー」   リディア・ランチ ティーンエイジ・ジーザス・アンド・ザ・ジャークス 1:45
6. 「ザ・クローゼット」   ランチ ティーンエイジ・ジーザス・アンド・ザ・ジャークス 3:53
7. 「レッド・アラート」   ランチ ティーンエイジ・ジーザス・アンド・ザ・ジャークス 0:34
8. 「アイ・ウォーク・アップ・ドリーミング」   ランチ ティーンエイジ・ジーザス・アンド・ザ・ジャークス 3:10
B面
# タイトル 作詞・作曲 アーティスト 時間
9. 「ヘレン・フォーズデイル」   ナンシー・アーレン、チャイナ・バーグ、マーク・カニンガム、サムナー・クレーン マーズ 2:30
10. 「ヘアウェーブス」   アーレン、バーグ、カニンガム、クレーン マーズ 3:43
11. 「トンネル」   アーレン、バーグ、カニンガム、クレーン マーズ 2:41
12. 「プエルトリコ・ゴースト」   アーレン、バーグ、カニンガム、クレーン マーズ 1:08
13. 「エゴマニアックス・キス」   ロビン・クラッチフィールドアート・リンゼイ DNA 2:11
14. 「ライオネル」   クラッチフィールド、リンゼイ DNA 2:07
15. 「ノット・ムービング」   クラッチフィールド、リンゼイ DNA 2:40
16. 「サイズ」   クラッチフィールド、リンゼイ DNA 2:13

参加アーティスト[編集]

ザ・コントーションズ[編集]

ティーンエイジ・ジーザス・アンド・ザ・ジャークス[編集]

  • リディア・ランチ — ギター、ヴォーカル
  • ゴードン・スティーヴンソン — ベース
  • ブラッドリー・フィールド — ドラム

マーズ[編集]

  • サムナー・クレーン — ギター、ヴォーカル
  • チャイナ・バーグ — ギター、ヴォーカル
  • マーク・カニンガム — ベース、ヴォーカル
  • ナンシー・アーレン — ドラム

DNA[編集]

その他[編集]

  • ブライアン・イーノプロデュース, カバーデザイン、カバー写真
  • カート・マンカッシ — エンジニア
  • ヴィシェク・ボシェック — エンジニア
  • ロッド・フイ — アシスタントエンジニア
  • スティーブン・ケイスター — カバーデザイン

リリース情報[編集]

発売国 発売日 レーベル フォーマット 型番
アメリカ合衆国 1978年 Antilles Records LP AN-7067
2005年 Lillith Records CD(デジパック仕様)/LP LR102
日本 1997年 Off Note / Cut Out CD ONCO-002
2005年 BRIDGE INC. CD(紙ジャケット仕様、2000枚限定) BRIDGE-036

脚注[編集]

  1. ^ a b c Kristel, Todd. “No New York - Various Artists : Songs, Reviews, Credits, Awards”. Allmusic. 2012年8月7日閲覧。
  2. ^ a b Walls, Richard C.. “No New York - Various Artists”. Creem. 2008年9月2日閲覧。
  3. ^ a b Stosuy, Brandon. “No New York : Pitchfork”. Pitchfork Media. 2008年9月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年9月2日閲覧。
  4. ^ a b c Reynolds, 2006. p.146
  5. ^ a b Reynolds, 2006. p.147
  6. ^ a b 『アフター・アワーズ』(2001) p.40
  7. ^ a b c d 『アフター・アワーズ』(2001) p.38
  8. ^ a b c d e f g 『アフター・アワーズ』(2001) p.41
  9. ^ http://music.hyperreal.org/artists/brian_eno/interviews/downbeat79.htm
  10. ^ The 100 Greatest Indie-Rock Albums Ever — #70 to #61”. ブレンダー・マガジン. 2008年9月21日閲覧。

参考文献[編集]

  • Reynolds, Simon (2006). Rip it Up and Start Again: Postpunk 1978-1984. Penguin. ISBN 0143036726. 
  • 『アフター・アワーズ #15 SPECIAL ISSUE』 After Hours、2001年