ノート:ケーシング

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 ケーシング(Casing)とは、本来ソーセージ原料肉を詰める動物由来の腸をさす。しかし、現在では動物由来ではない人工ケーシング(Artificial Casing)が登場したため、食肉加工時に使用する皮膜全般を意味するようになった。人工ケーシングには不可食性の塩化ビニリデンや、セルロース、天然タンパク質を原料とした可食性のコラーゲンケーシングなどがある。

一方、動物の消化器系腸類は、人工ケーシングと区別する意味で天然ケーシング(Natural Casing)と呼ばれ豚腸、羊腸、牛腸、馬腸といったものが使われる。

人工ケーシングの特徴は素材によって異なる。コラーゲンケーシングは、天然腸と同じ動物性タンパク質のコラーゲンを分解、再加工したもので、天然腸の良い点を引き継ぎ、悪い点をカバーした製品として世界各国で使用されている。 コストにおいては、天然腸ケーシングよりコラーゲンケーシングのほうが良いといわれており、洗浄や選別の準備過程が不要で、機械での充填に適している。

しかし、現在一般消費者向けの製品は高級化および手作り製品が注目され、コラーゲンケーシングのイメージはそれらに適合せず、製品の均一性を要求する外食産業向けの製品に使用されることが多い。さらに、燻煙過程で乾燥しすぎると、ケーシングがもろくなり裂けることがある。また、逆に湿度が高すぎると、コラーゲンが加水分解し、ゼラチンが変化して軟らかくなりすぎる。セルロース系ケーシングは植物繊維のセルロースを原料として作られている。これは燻煙の透過性があり、大量生産が可能で扱いやすい。塩化ビニリデン系ケーシングは不可食、燻煙不透過であるが、熱伸縮性、密閉性、耐油、耐湿、着色が簡単で安価などの特徴があり、主に魚肉ソーセージで用いられている。

近年、人工ケーシングの加工が精密になり、天然腸ケーシングと区別することが困難になってきた。しかし、人工ケーシングは天然腸ケーシングの特徴のパリッとした食感や歯ごたえをだすことは難しい。

天然腸ケーシングの特徴としては、皮ごと食べることができ、肉とケーシングがよく密着し、パリッとした食感があげられる。また、燻煙がよく透過し、しわが生じにくく、独特の形になるといったことがあげられ、ソーセージ製造に非常に適している。曲がった形になるのは、腸と腸の間に腸間膜が張ってあり、その付着部分だった靭帯の痕跡があるためである。コラーゲンケーシングの中にも曲がるように加工したものがあるが、大きな違いは食べたときのパリッとした歯ごたえである。

現在、日本で使われている天然腸ケーシングのほぼ100%が海外からの輸入である。日本の主な輸入先は中国、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカであり、中でも中国が半数以上を占めている。日本では主に豚、羊の消化器系が使われていて、羊腸が主流となっている。これは日本ではウィンナーなどの比較的細いソーセージが好まれるためである。