ネルソン級装甲巡洋艦

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ネルソン級装甲巡洋艦
HMS Nelson (AWM 302451).jpg
竣工時の「ネルソン」
艦級概観
艦種 装甲巡洋艦
艦名
前級 シャノン
次級 インペリウス級
性能諸元
排水量 常備:7,434トン
満載:-トン
全長 85.34m
全幅 18.29m
吃水 7.57m
機関 形式不明石炭専焼円缶10基
+横置き型二段膨張式三気筒レシプロ機関2基2軸推進
最大速力 ネルソン:6,624hp
ノーザンプトン:6,073hp
最大出力 ネルソン:14.0ノット(機関航行時)
ノーザンプトン:13.17ノット(機関航行時)
燃料 石炭:560トン(常備)、1,100トン(満載)
乗員 560名
兵装 25.4cm(14.5口径)前装填式単装砲4基
22.9cm(13.9口径)前装填式単装砲8基
20ポンド単装砲6基
9ポンド砲3基
装甲
(鉄製)
舷側:229mm(水線最厚部)、152mm(艦首尾部)
甲板:51~76mm(機関区のみ)
砲郭部:229mm(最厚部)
ボックスシタデル:229mm(最厚部)
司令塔:229mm(最厚部)

ネルソン級装甲巡洋艦Nelson class belted cruiser)は、イギリス海軍装甲艦で2隻が就役した。なお、日本の資料では装甲巡洋艦と表記されるがイギリス本国の類別で正しくはBelted cruiserベルテッド・クルーザー装甲帯巡洋艦)で装甲フリゲートの派生型である。

概要[編集]

Belted cruiserベルテッド・クルーザー)とはイギリス海軍が外地警備任務のために巡航能力を持つフリゲートに、敵対国の装甲艦からの攻撃に耐える防御装甲を持つ装甲艦として設計されたクラスである。[1]

本級は前型である「シャノン」の改良型で、高速を出すために機関出力を倍にしたが、主武装の25.4cm前装填式砲の数を倍にして機関区の防御装甲圧を増したために排水量が増してしまい、最大速力は僅かに14ノットへと向上しただけで巡洋艦としての能力に依然として不満があった。本級の防御様式は艦体の全長の3/4にもわたる水線部に152mmから229mmもの厚さの装甲板を張っているが、その高さはのように低く、吃水の変化で水没しかねない高さの低い代物であった。[2]就役後はオーストラリア方面の警備任務に就いた。

艦形と武装[編集]

本級の「ノーザンプトン」。
本級の武装・装甲配置。水線部の黒い帯状のものが水線装甲帯。

本級の船体の基本形状は列強の装甲艦と同じく艦首水面下に衝角(ラム)をもつ平甲板型船体に3本のシップ式帆走用マストの間に2本煙突を持つ当時の一般的な装甲艦の形態である。船体中央部の砲郭(ケースメイト)部は上下二室に分かれており、上側には主武装としてイギリスのアームストロング社製「25.4cm(14.5口径)前装填式ライフル砲」を単装砲架で片舷2基ずつ計4基を配置し、少ない門数で射界を広く取るために本級の25.4cm砲の砲郭は八角形状をしており、壁面が斜めとなる箇所に砲門を開け、片舷2箇所ずつ計4箇所の砲門が開けられた。

砲郭の下側には副武装としてイギリスのアームストロング社製「1865年型 22.9cm(13.9口径)前装填式ライフル砲」を単装砲架で等間隔に片舷4基ずつ計8基を配置していた。砲架は床面に扇状に埋め込まれたレール上を移動することにより広い射界を得ており、敵対位置により自在に砲門を選べた。他に近接火器として「20ポンド 9.5cm(21口径)ライフル砲」を単装砲架で6基と、「9ポンド 7.62cm(16口径)ライフル砲」を単装砲架で3基を搭載した。

就役後の1886年に「ノーザンプトン」は9.5cm砲と7.62cm砲のすべてを撤去し、替りに上甲板上に「オチキス 5.7cm(40口径)機砲」を単装砲架で6基と「オチキス 4.7cm(40口径)機砲」を単装砲架で8基、水雷兵装として35.6cm魚雷発射管を単装で2基を搭載した。 また1889年に「ネルソン」もノーザンプトンと同様の武装更新が行われたが改装時期が遅かったために新たに「12cm(40口径)速射砲」を単装砲架で4基が追加されて異なっていた。この時にマストのトップが短縮されて1番・3番マストにはファイティング・トップが設けられて対水雷艇用のオチキス機砲が搭載された。[3]

防御[編集]

本級の装甲は鉄製で、水線部には最大で229mm装甲が貼られ、末端部に152mmが貼られた。船体中央部の砲郭部のうち開口部の周囲のみ229mmで覆っていた。下側の砲郭は側面部のみ229mmで防御していた。


機関[編集]

低速だった「シャノン」の改良型である本級には高速を実現するために円形ボイラーは8基から10基へと増加した。また推進機関は「ネルソン」は2気筒レシプロ機関であったが「ノーザンプトン」は3気筒複式機関で異なっていた。最大出力は「ネルソン」が6,624馬力で速力14ノットを達成したが、「ノーザンプトン」は出力6,073馬力で速力13ノットと劣っていた。公試時の石炭消費量から航続性能は石炭1,150トンを満載した状態で10.5ノットで5,000海里を航行できるとされた。

同型艦[編集]

エルダー社ゴーヴァン (Govan) 造船所で1874年11月起工、1876年11月進水、1881年7月就役。1902年に練習艦に類別され1910年7月に除籍後、解体処分。
ネピア社で1874年起工、1876年11月進水、1878年12月就役。1894年に練習艦に類別され1905年4月に除籍後、7月解体処分。

脚注[編集]

  1. ^ イギリス巡洋艦史(海人社), p. 8
  2. ^ イギリス巡洋艦史(海人社), p. 9
  3. ^ イギリス巡洋艦史(海人社), p. 9

参考図書[編集]

  • 世界の艦船 増刊第46集 イギリス巡洋艦史」(海人社
  • 「Conway All The World's Fightingships 1860-1905」(Conway)
  • 「Conway All The World's Fightingships 1906–1921」(Conway)
  • 「Jane's Fighting Ships Of World War I」(Jane)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]