ネタバレ

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ネタバレとは、作品(小説テレビ番組映画漫画ゲームなど)の内容のうちの、物語上の仕掛けや結末といった重要な部分を暴露してしまうこと[1]。またはその情報のこと[1]。物語性のある内容以外にも、生中継ではないスポーツの勝敗などが意図せず露見してしまうことに対して用いられることがある[2]

概要[編集]

「ネタ」というのは、「種(たね)」の倒語[3][4]、物語の仕掛けを意味し[1]、特に詳細な設定や物語の核心といった[4][信頼性要検証]、作品の内容や結末のことを指す[1]。「バレ」とは隠しごとの露見を意味する「バレる」に由来する[4][1]。つまり、ネタがバレてしまうことをいう[1]。英語では、害するを意味するスポイル(spoil)から、楽しみを害すると言う意味合いで「スポイラー(spoiler)」と呼ばれる。

「ネタバレ」という言葉自体は、日本では平成期に入ってからインターネットで使われ始めた俗語で、BBSブログSNSなどのウェブサイトで「このサイト(BBS)はネタバレ禁止」というように使用するインターネットユーザが使いはじめた[4][信頼性要検証]

感想、評論、解題などにおいては、その作品を読んだり、観たりした者が、作品の内容に触れる必要があることがある。しかし、読者視聴者)に驚愕を与える目的でどんでん返しが用意されている場合や、推理小説犯人やゲームのシナリオなど真相を明らかにすると、未読(未視聴)者の楽しみを奪うことになると信じられている[5][6]。通常、人間は自分の記憶を自由に消すことはできないため、作品を期待している者は大きなショックを受けると考えられている[6]

そこで、対象となる作品を明示した「ネタバレ注意」を掲示し、予め警告を与えることで、未読者の楽しみを守ろうとする考え方が広まった[4]

インターネット上では掲示板やブログといった情報の発信や、検索エンジンなどを用いた情報の収集が容易であるため、意図せずネタバレを広めてしまったり読んでしまったりする状況も多く起こっており、ネタバレを防ぐための手段も模索されている[2]

公開前のネタバレ[編集]

主にフライングゲットした漫画やゲームソフトなどを原因とする、正規公開前のネタバレが特別に問題とされる場合もある。民放地上波で放送されるテレビドラマテレビアニメなども、地域によって放送されなかったり放送日が遅れたりする場合には、同様の問題が生じる。また、漫画アニメゲームなどの制作スタッフが守秘義務を犯して暴露するか、あるいは過失で必要以上に情報を公開し、結果としてネタバレになってしまうこともある。場合によってはスタッフが意図的に微少なネタバレと成り得る情報を漏洩し、それを黙認するケースもある。

これらは早バレなどと呼ばれ、制作者側でないものが行った場合には主に「著作者人格権#公表権」について罪を問われることがある。

テレビ番組の収録では出演者・スタッフ・番組の観覧者が放送前の番組内容と放送上、自主規制音で伏せられた内容などをSNSなどで口外することは禁止されている[7]

インターネットコミュニティとネタバレ[編集]

ネット掲示板の、該当する作品に関連するスレッド、あるいは多くの人が見る可能性の高い雑談系スレッドなどに、未鑑賞の人に嫌がらせする目的で故意にネタバレを書き込むケースもある。

ネットコミュニティによっては、

  1. 正規の公開日までネタバレ禁止
  2. 正規の公開日から2日 - 3日以上[要出典]経過するまで禁止(地域差などによる公開日の違いを考慮)
  3. 単行本の発売日までネタバレ禁止(連載漫画などの場合)

などのルールが敷かれることもある。

ネタバレに関する社会的事例[編集]

厳重に保護されたケース
  • 2007年7月21日に販売された、『ハリー・ポッターシリーズ』完結編となる『ハリー・ポッターと死の秘宝』ではおよそ26億円をかけて発売日前にネタバレが行われないように厳重に監視されたが、一部から情報が流出したためネタバレしてしまった。
  • ダンガンロンパシリーズ』はネタバレの拡散を阻止するため発売前に「発売後も含めてネット上でのネタバレの拡散を禁止」するという警告を出している。『ペルソナ5』は左記に加えネタバレを拡散した者に対しての法的措置を考えていると警告している[8]
警告を受けたケース
  • 2014年、まとめサイト『ナルトちゃんねる』のネタバレ記事に対し出版社が警告を行った。これ以降出版社はネタバレ・まとめサイトについては警告なく法的手段とる可能性もあるとしている[9]
訴訟に発展したケース
逮捕されたケース
  • 2017年9月6日、広告収入目的で人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」を始めとする人気マンガのネタバレ画像を発売前に載せていたとして、早売りネタバレまとめサイトの管理人5人が逮捕された[10]。逮捕理由は無断転載による著作権法違反(公衆送信権侵害、出版権侵害)だが、これを機に同種ネタバレサイトの閉鎖が相次ぐようになったとも言われている[11]
情報開示命令
  • 2021年3月26日、東京地方裁判所小学館のマンガアプリで連載中のマンガ、「ケンガンオメガ」のセリフほぼ全てがネタバレサイトに掲載されたことは著作権の侵害に当たるとし、サーバーの管理会社に発信者の情報の開示を求める裁判の判決がくだった。東京地裁はネタバレサイトに掲載されたセリフの丸写しは著作権侵害にあたるとし、発信者の情報の開示を命じる判決をくだした。小学館側は、セリフの丸写しが著作権侵害にあたると判断されたこの判決は画期的だとしている[12][13]

ネタバレは作品の楽しみを奪うのか否か[編集]

一般的に、ネタバレはこれから作品を鑑賞しようとしている人の楽しみを奪い、作品の魅力を台無しにしてしまうものであると考えられている[5]

ところがこの考えに反する研究結果もある。2011年にカリフォルニア州立大学心理学部が学生30人を対象に行った実験では、これから読む推理小説の結末を知らされずに読んだ読者よりも、結末に関するネタバレを知らされていた読者の方が、作品を楽しめたという評価が高くなるという結果が得られた[5][6]。研究者はこの実験結果を、あらかじめ結末を知ることによって作品のプロットや散りばめられた伏線に対する理解が深まり、その結果として自分が理解しやすい内容を好ましく感じる脳の作用が反映された結果だと推測している[6]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f “ねたばれ”, デジタル大辞泉goo辞書, 小学館, http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/170179/m0u/ 2012年2月12日閲覧。 
  2. ^ a b 池谷勇人 (2012年3月16日). “もう「犯人はヤス」を見なくて済む? 「ネタバレ防止」をマジメに研究する”. ねとらぼ (ITmedia). https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1203/16/news076.html 2012年3月19日閲覧。 
  3. ^ “ねた”, デジタル大辞泉goo辞書, 小学館, http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/170158/m1u/%E3%81%AD%E3%81%9F/ 2012年6月23日閲覧。 
  4. ^ a b c d e “ネタバレ”, 日本語俗語辞書, ジャストレ, http://zokugo-dict.com/24ne/netabare.htm 2012年2月12日閲覧。 
  5. ^ a b c “ネタバレにマイナスの効果はなし 研究で明らかに”. 映画.com (エイガ・ドット・コム). (2011年8月14日). https://eiga.com/news/20110814/2/ 2011年8月25日閲覧。 
  6. ^ a b c d 池谷勇人 (2011年8月16日). “ネタバレがあった方が物語は楽しめる? カリフォルニア大学の調査で明らかに”. ITmediaガジェット (ITmedia). http://gadget.itmedia.co.jp/gg/articles/1108/16/news048.html 2011年8月25日閲覧。 
  7. ^ 人気番組の観覧者がネットで暴露! 相次ぐ実名公開に業界の反応は?(2011/12/10 11:45)|サイゾーウーマン
  8. ^ http://p-ch.jp/news/detail/?nid=470
  9. ^ 「ネタバレ・まとめサイト」に出版社動く 警告なく法的手段とる可能性も
  10. ^ “週刊少年ジャンプの早売りネタバレサイト管理人逮捕、広告収入は3億円以上”. Buzzap!. (2017年9月6日). http://buzzap.jp/news/20170906-jump-netabare/ 2017年9月9日閲覧。 
  11. ^ ネタバレサイト摘発影響?閉鎖相次ぐ
  12. ^ ““ネタバレサイト” セリフ無断掲載は著作権侵害 東京地裁”. NHKニュース. (2021年3月31日). オリジナルの2021年4月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210402065409/https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210331/k10012946591000.html 2023年12月21日閲覧。 
  13. ^ 東京地方裁判所判決 2021年3月26日 、令和2(ワ)26867、『発信者情報開示請求事件』。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]