ネクロマンティック

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ネクロマンティック
Nekromantik
監督 ユルグ・ブットゲライト
脚本 ユルグ・ブットゲライト
フランツ・ローデンキルヒェン
製作 マンフレッド・オー・ジェリンスキー
出演者 ダクタリ・ロレンツ
ベアトリス・M
ハラルト・ランド
音楽 ヘンリー・コップ
ダクタリ・ロレンツ
ジョン・ボーイ・ウォルトン
撮影 ウーエ・ボーラー
編集 ユルグ・ブットゲライト
マンフレッド・オー・ジェリンスキー
配給 オリオン・ピクチャーズ
公開 1987年
上映時間 75分
製作国 西ドイツの旗 西ドイツ
言語 ドイツ語
次作 ネクロマンティック2
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ネクロマンティック(Nekromantik)1987年に公開された、ドイツ映画監督ユルグ・ブットゲライトによるホラー映画エログロ映画である。多くの国で上映禁止にされ、物議を醸しているこの作品は、テーマであるネクロフィリアと大胆な描写のためにカルト映画としても知られている。本国であるドイツでは、上映禁止はおろか、ネガとフィルム、素材全ての破棄を命ぜられた。

日本語版の字幕は柳下毅一郎

あらすじ[編集]

1人の女が、野外で放尿しているところから物語は始まる。彼女には夫らしき人物がおり、彼は車を止めていた。彼女は車の外で放尿していた(場面は暗く、人の姿ははっきりとは表示されない)。車を運転していた2人であったが、地図を見ながら運転していた(よそ見運転)ために事故に遭った。車は大破し、2人とも死亡した。妻のほうは上半身と下半身が千切れたうえに外に放り出されていた。

ロベルト・シァマトケは「ジョー・クリーニング・エージェンシー」という死体運搬の会社で働いていた。この仕事を通じて彼はフルタイムで趣味を追求することができる。ロベルトはネクロフィリアであった。先の夫婦の車による事故現場での仕事から帰宅すると、ガールフレンドのベティが待っていた。彼女が風呂場にいるあいだに、ロベルトは保存している人間の遺体の部位を分類して遊んだ。その後、ロブはウサギが屠畜される白昼夢を見る。

ある日の仕事で、彼は全身が揃った屍体に出会う。この屍体は既に白骨化した状態で池から発見された。その日の仕事が終わってから、ロブはその死体を密かに自宅に持ち帰った。妻にプレゼントを用意する夫のように、ロブは胸を躍らせながらベティのいる自宅へ戻る。彼らはスチールパイプを切断し、それを屍体の股間部分に突き立ててからコンドームをかぶせる。ベティはそれにまたがり、「3人」による性行為が始まる。その後、彼らは肉を料理して食す。それが人肉なのかそうでないのかは不明。ベティとロブは食事しながらおしゃべりし、壁に掛けられた屍体を嬉しそうに眺める。屍体からはどす黒い液体が滴り落ち、それが下に置かれた皿にたまっている。

翌日ロベルトが仕事に行くと、汚れて臭う仕事着を彼がロッカーに置いたまま忘れていることを同僚に咎められる。これがきっかけとなり、同僚によってボスのところに強引に連れて行かれたロブは職を解雇される。自宅でのベティは、ベットに寝ころびながら屍体に本を読んで聞かせ、それから屍体の頭を自分の股間に押し付けて快楽に耽る。帰宅したロベルトは、解雇されたことをベティに伝えると、彼女はロベルトを罵る。後日ロブが帰宅すると、ベティが見あたらない。彼女は置手紙を残し、屍体を持って家から出て行ってしまっていた。絶望的になったロベルトは感情が爆発し、飼い猫を袋に詰めると部屋の壁に何度も叩き付けて死亡させた。ロブは浴槽に浸かりながら猫の血と内臓を浴槽に入れ、それを体に塗り付けた。薬とウィスキーで自殺を試みると、いつの間にかロブは夢の中におり、ゴミ袋の中から出てきた。顔の一部は腐敗していた。そこに白い衣装を着た女が現れ、彼に屍体の頭をよこす。草原の中で彼らは走り、踊りながら、屍体の頭や内臓を投げ合って遊んでいた。

夜、夢から目覚めたロブは自宅を出ると映画館に向かった。その映画館で上映されていたのは、猟奇殺人者が若い女を追い詰めて殺害するというものであった。既に本編が始まっていたために途中から映画を見ることになったロベルトであったが、映画が終了する前に劇場をあとにする。その後ロベルトは、1人の娼婦を買う。2人は墓地へ向かい、そこで性行為に及ぶも、ロベルトの性器は勃起しなかった。そのことを彼女に笑われたことで怒ったロベルトは彼女を絞め殺した。ロベルトは、屍体となり果てた彼女と改めて行為に及ぶ。娼婦の横で目覚めると、辺りは明るくなっていた。ロベルトは屍体となって横たわっている娼婦の傍らにいた。そのとき、墓場にスコップを持った1人の老人がやってきた。老人はスコップを放り出すように手放し、それはロベルトの近くに落ちた。これに気付いたロベルトは、スコップを掴むと老人の頭めがけて勢いよく薙ぎ払った。老人の頭は吹き飛ばされ、血が激しく噴き続けて老人は仰向けに倒れた。老人の体は倒れたあとも小刻みに震え続けていた。その後、ロベルトは何かを叫びながらどこかの海岸を走り回った。

自宅に戻ったロベルトは、鋭利な刃物を手に取る。その刃物を両手で逆さに持ったまま自分のベッドに仰向けに寝たロベルトは、自分の腹目がけて思いきり刃物を突き刺した。刃物を連続で何度も突き刺し、そのたびにロベルトの体から血が噴き続け、壁にも飛び散った。さらにロベルトの性器が露出し、そこから精液も飛び出した。射精していたのである。ロベルトは激痛に襲われながらも射精し、快楽を味わいながら自殺したのであった。この自殺の描写中に、前に使用されたウサギが屠畜されるシーンが挿入されるが、その映像が逆回しされている。

ロベルトはどこかの墓場に埋葬されるが、ロベルトの墓を掘り返そうとする人物の足が表示されるところで物語は終わる。

備考[編集]

ベティとともに屍体と性交する描写、老人の頭をスコップで吹き飛ばす場面、ロベルトが最後に自殺の描写など、淫蕩で、グロテスクで、残虐な場面が数多い。現存するビデオやDVDで本作品を再生すると、本編が始まる前に、本作品がドイツで上映禁止処分を受けたことや素材の廃棄処分を受けたために再生が十分ではない可能性があるという注意書きが表示される。

劇中で流れる音楽はシンプルなもので、何度も繰り返されることが多い。この楽しげな音楽が本作品における倒錯的な描写の土台であり、それがロベルトの屍体への気持ちを表している。ロベルトとベティが屍体とセックスするシーンやロベルトが自殺する場面をはじめ、映画の至るところでこの曲は流れる。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]