ニューイングランド三部作

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ニューイングランド三部作New England Triptych, Three Pieces for Orchestra after William Billings)は、ウィリアム・シューマンの作曲した管弦楽曲、あるいは吹奏楽曲

概要[編集]

アンドレ・コステラネッツによる委嘱を受け、1956年に作曲された。初演は1956年10月28日マイアミにおいてコステラネッツの指揮するマイアミ大学の管弦楽団によって行われ、11月3日にはニューヨーク・フィルハーモニックにも演奏された。

コステラネッツの要望は「アメリカ風の背景による、標題的な性格を持つ」「明るく、聴衆にすばやくアピールする」作品というものだった。ウィリアム・ビリングス英語版聖歌を題材にした愛国的な背景を持つ作品で、シューマンの作品の中でも特に有名なものの一つである。後に作曲者自身によって吹奏楽編成に編曲されており、特に第3曲「チェスター」は単独で取り上げられる機会も多い。

シューマンは、スコアの巻頭で次のように述べている。

ビリングスは、アメリカ音楽の歴史における重要人物である。彼の作品は、私たちが独立戦争の時代から連想する、堅固でたくましい精神、深い信仰心、愛国的な情熱といったものをとらえている。ビリングスに共通したものを感じるアメリカの作曲家は私だけではないだろうし、そのことこそが、私がビリングスの音楽を出発点として用いたことの理由である。この3つの小品は「幻想曲」でも「変奏曲」でもなく、様式や音楽語法の混合物と呼ぶほうがふさわしい。

楽器編成[編集]

  • 管弦楽版
編成表
木管 金管
Fl. 3(Picc.1持替) Hr. 4 Timp. Vn.1
Ob. 2(E.Hn.1持替) Trp. 3 3 Vn.2
Cl. 2(EsBs.持替) Trb. 3 Va.
Fg. 2 Tub. 1 Vc.
Cb.
  • 吹奏楽版
編成表
木管 金管
Fl. 2, Picc. Tp. 3 Cb.
Ob. 2, C.A. Hr. 4 Timp.
Fg. 2 Tbn. 3 大太鼓小太鼓テナードラムシンバル(クラッシュ、サスペンデッド)、ウッドブロックグロッケンシュピールチューブラーベル
Cl. 3, E♭, Alto, Bass, C-Bass 1(任意) Eup. 1(第2曲のみSolo, Tutti)
Sax. Alt. 2 Ten. 1 Bar. 1 Bs. 1 Tub.

楽曲構成[編集]

全3曲からなる。以下は管弦楽版に基づく。

  • 喜びあれ、アメリカ(Be Glad then America)
ティンパニのソロにのって弦楽のクレッシェンドが序奏を形成する。主部に入ると、原曲で"Be Glad Then, America, Shout and Rejoice"と歌う部分の動機を金管楽器が敷衍する。再びティンパニのソロを挟み、中間部は"And Ye Shall Be Satisfied"に基づくフーガ。二つの動機が結合され、"Hallelujah"が続くと、"Shout and Rejoice"が戻ってきて終結する。演奏時間は約5分。
  • イエス涙を流したもう時(When Jesus Wept)
吹奏楽版では「バンドのための前奏曲」("Prelude for Band")と副題がある。テナードラムのリズムに乗ったファゴットのソロで始まり、オーボエのソロがそれに絡む。その後弦楽によって、ビリングスのコラールが現代的な和声を伴って奏されていく。演奏時間は約7分。
  • チェスター(Chester)
吹奏楽版では「バンドのための序曲」("Overture for Band")と副題がある。木管楽器によって原曲のコラールが荘重に奏され、その後テンポを上げて快活に展開されていく。元になった聖歌「チェスター」が独立戦争において行進歌として使われていたことから、軍楽を思わせる太鼓のリズムや華やかなファンファーレが盛んに用いられる。演奏時間は約3分。なお、吹奏楽版では冒頭のコラールをはじめ、全曲がほぼ2倍の規模に拡大されている。

参考文献[編集]

  • Gerard Schwarz, Seattle SO "Symphony No.6, et al" (NAXOS, 8.559625) 解説 (Joseph W. Polisi, 2009)