ニセモノ (玉置浩二のアルバム)

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ニセモノ
玉置浩二スタジオ・アルバム
リリース
録音 ウッドストックスタジオ
Bunkamura Studio
ジャンル ロック
ポップス
AOR
時間
レーベル ファンハウス
プロデュース 玉置浩二
須藤晃
チャート最高順位
玉置浩二 アルバム 年表
ワインレッドの心
1999年
ニセモノ
(2000年)
スペード
2001年
EANコード
玉置浩二関連のアルバム 年表
TREASURE COLLECTION
(1999年)
ニセモノ
(2000年)
スペード
(2001年)
『ニセモノ』収録のシングル
  1. 虹色だった
    リリース: 1999年11月3日
  2. aibo
    リリース: 2000年3月23日
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ニセモノ』は、日本のミュージシャンである玉置浩二の8枚目のオリジナル・アルバムである。

2000年4月26日ファンハウスからリリースされた。オリジナル・アルバムとしては前作『GRAND LOVE』(1998年)より約2年振り、その他の作品を含めるとセルフカバー・アルバム『ワインレッドの心』(1999年)より1年2ヶ月振りとなる作品である。ほぼ全ての作詞、作曲を玉置が行い、一部の曲で作詞を須藤晃が担当、プロデューサーは玉置と須藤が担当している。

レコーディングは軽井沢にあるウッドストックスタジオにて行われた。前作に続きほぼ全ての楽器を玉置が単独で演奏し、キーボディスト安藤さと子安全地帯ギタリストである矢萩渉が参加している。音楽性としては歌唱力に焦点を置いた落ち着いた雰囲気の「大人のロック」を体現した作品となっている。

本作は元々、安全地帯の新作として作業が進められており、武沢を除く3人のメンバーがレコーディングに参加していたが、作業終了後に玉置が全ての演奏の取り直しを行い、結果的には玉置のソロ作品としてリリースされた。(それ故にタイトルは「ニセモノ」となった。)

この一件により、安全地帯メンバーとの関係は険悪となり、2002年の安全地帯の活動再開までしこりを残した。

先行シングルとしてリリースされ、テレビ朝日系テレビドラマ『はみだし刑事情熱系PARTIV』の主題歌として使用された「虹色だった」やノンタイアップとなった「aibo」を収録している。

オリコンチャートでは最高位19位となった。

背景[編集]

セルフカバー・アルバム『ワインレッドの心』(1999年)リリース後、玉置は「Ballad Night」と題したライブツアーを5月19日大阪城ホールから9月14日旭川市民文化会館まで5都市7公演開催した。このツアーには安全地帯のメンバーである矢萩渉田中裕二六土開正の3名が参加した。

また前年には行わなかった俳優業も行っており、6月8日放送のフジテレビ系テレビドラマ『古畑任三郎』の一話「追いつめられて」に出演した[2]他、9月27日放送のフジテレビ系テレビドラマ『世にも奇妙な物語 秋の特別編』(1999年)の一話「マニュアル警察」に出演し[3]、同番組への2度目の出演を果たした。

同年12月12日に玉置は以前よりアルバム製作やコンサートツアーに同行していたキーボディスト安藤さと子と再婚し、3度目の結婚となった[4]2007年12月1日に離婚[5])。披露宴などは行わず、結婚式は質素なものとなった[4]。玉置はこの結婚によって精神的な落ち着きを取り戻し、より音楽活動に専念する事となった[4]

録音[編集]

本作のレコーディングは軽井沢にあるウッドストックスタジオにて行われた。

本作にはプロデューサーとして『JUNK LAND』(1997年)以来で須藤晃が参加しており、3年振りの共同プロデュース作品となった。前作『GRAND LOVE』では安藤との共同作業がメインであったが、本作において玉置は「毒をもって毒を制す」形の須藤との共同作業を優先した[6]。この当時の玉置は「さっちゃんがいなかったら俺は沈没してます」と安藤に対して絶大な信頼を置いており[7]、また「俺は須藤さんがやってくれるから安心してた」と須藤に対しても絶大な信頼を置いていた[8]。一方で須藤は玉置の事を「猛獣みたいな人」と表現し、「彼のことは天才として尊敬してました」と述べている[9]

リリース[編集]

2000年4月26日ファンハウスよりCDにてリリースされた。

2018年8月15日にはBlu-spec CD2紙ジャケット仕様でソニー・ミュージックダイレクトのGT musicレーベルより再リリースされた[10][11]

プロモーション[編集]

メディアでの使用

ツアー[編集]

本作を受けてのコンサートツアー「Koji Tamaki CONCERT TOUR 2000 Super-T」は同年5月7日神奈川県立県民ホールから10月15日旭川市大雪クリスタルホールまで23都市全26公演が行われた[13]。また本ツアーでは安全地帯のギタリストである武沢豊が参加しており、安全地帯の活動休止以来の共演となった[6]。武沢の参加は須藤が提案し、安全地帯の復活へのアシストをすると同時に須藤は玉置との共同作業から身を引く形となった[6]

批評[編集]

専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典評価
CDジャーナル肯定的[14]
TOWER RECORDS ONLINE肯定的[15]
  • 音楽情報サイト『CDジャーナル』では、本作の音楽性に関して「シンプルながらも練りに練り抜いたサウンド」であると指摘し、「臨場感のある声が魅力の“大人のロック・アルバム”」であると称賛した[14]
  • 音楽情報サイト『TOWER RECORDS ONLINE』では、軽井沢のスタジオで製作された事による環境面での影響が「創作にもたらしたプラス面が色濃く表れた作品」と指摘し、「シンプルながらもそのソングライティング力が十分に発揮されているサウンドと、臨場感ある歌声が余すことなく感じ取れる」と称賛した[15]

チャート成績[編集]

オリコンチャートでは最高位19位、登場回数5回となり、売り上げ枚数は3.7万枚となった。

収録曲[編集]

全作詞・作曲・編曲: 玉置浩二(特記除く)。
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.凡人玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
2.古今東西玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
3.ターンテーブル(作詞: 須藤晃)玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
4.ジェスチャー(作詞: 玉置浩二、須藤晃)玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
5.aibo玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
6.懺悔玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
7.常夜灯(作詞: 玉置浩二、須藤晃)玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
8.淋しんぼう(作詞: 玉置浩二、須藤晃)玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
9.御伽噺玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
10.あの丘の向こうまで玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
11.夢のようだね玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
12.虹色だった(作詞: 玉置浩二、須藤晃)玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
13.ニセモノ玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
合計時間:

スタッフ・クレジット[編集]

参加ミュージシャン[編集]

スタッフ[編集]

  • 古川ひろし - マーケティング・プランナー
  • おおたひろし - セールス・プロモーション
  • もりやましげる - セールス・プロモーション
  • Angela.K - アートワーク、ペインティング
  • 山本晃 (INDEX) - スペシャル・サンクス
  • 川本みちえ (INDEX) - スペシャル・サンクス
  • 田中裕二 - スペシャル・サンクス
  • 六土開正 - スペシャル・サンクス
  • カルロス菅野 - スペシャル・サンクス
  • 長島道秀 - スペシャル・サンクス
  • 永川タカシ - スペシャル・サンクス
  • YAGIE’S FOOD & ISHIKAWA-SAN(ウッドストック軽井沢スタジオ) - スペシャル・サンクス

リリース履歴[編集]

No. 日付 レーベル 規格 規格品番 最高順位 備考
1 2000年4月26日 ファンハウス CD FHCF-2492 19位
2 2018年8月15日 GT music Blu-spec CD2 MHCL-30526 - 紙ジャケット仕様

脚注[編集]

  1. ^ ORICON STYLE”. オリコン. 2013年5月17日閲覧。
  2. ^ 古畑任三郎(古畑任三郎3rd season) - ドラマ詳細データ”. テレビドラマデータベース. キューズ・クリエイティブ. 2020年2月9日閲覧。
  3. ^ 世にも奇妙な物語 秋の特別編”. テレビドラマデータベース. キューズ・クリエイティブ. 2019年12月28日閲覧。
  4. ^ a b c 志田歩 2006, p. 153- 「第9章 巡り逢ってしまった者たち」より
  5. ^ 玉置浩二が歌手安藤さと子と離婚”. Nikkansports.com. 日刊スポーツ (2007年12月2日). 2020年1月2日閲覧。
  6. ^ a b c 志田歩 2006, p. 161- 「第9章 巡り逢ってしまった者たち」より
  7. ^ 志田歩 2006, p. 162- 「第9章 巡り逢ってしまった者たち」より
  8. ^ 志田歩 2006, p. 152- 「第9章 巡り逢ってしまった者たち」より
  9. ^ 志田歩 2006, p. 151- 「第9章 巡り逢ってしまった者たち」より
  10. ^ mio (2018年5月24日). “玉置浩二 オリジナルアルバム 紙ジャケットコレクション発売”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード. 2019年9月7日閲覧。
  11. ^ 玉置浩二のソロアルバム13作品を紙ジャケ再発”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2018年8月15日). 2019年2月3日閲覧。
  12. ^ 玉置浩二&安全地帯、オールタイム・ベストをリリース”. CDジャーナル. 音楽出版 (2017年2月28日). 2020年2月9日閲覧。
  13. ^ 玉置浩二 -Koji Tamaki CONCERT TOUR 2000 Super-T”. LiveFans. SKIYAKI APPS. 2020年2月9日閲覧。
  14. ^ a b 玉置浩二 / ニセモノ”. CDジャーナル. 音楽出版. 2020年2月9日閲覧。
  15. ^ a b JMD (2018年6月4日). “玉置浩二/ニセモノ<完全生産限定盤>”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード. 2020年2月9日閲覧。

参考文献[編集]

  • 志田歩『玉置浩二 幸せになるために生まれてきたんだから』雲母書房、2006年4月30日、151 - 162頁。ISBN 9784876722006 

外部リンク[編集]