ニセコ

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夏のニセコアンヌプリ(2005年)
ニセコアンヌプリから眺めたイワオヌプリ(2012年)

ニセコ: Niseko)は、広義には、北海道後志総合振興局岩内郡岩内町、岩内郡共和町虻田郡倶知安町、虻田郡ニセコ町磯谷郡蘭越町からなる山岳丘陵地域の総称[1]。この5町のうち、外国人を含む観光客の間で特に人気が高い3町(俱知安町、ニセコ町、蘭越町)が「ニセコ観光圏」と称されることもある[2]。特に倶知安町とニセコ町を「ニセコ地域」ということもある[3]

概要[編集]

ニセコアンヌプリ周辺はニセコ積丹小樽海岸国定公園に指定されている[4]北海道遺産には「スキーニセコ連峰」が選定されている[5]尻別川は清流日本一に認定されたことがあり、サケサーモンがのぼる川でもある[6]。域内の5町すべてが「特別豪雪地帯」に指定されている[7]

スキーリゾート開発が特に進んでいるのは倶知安町とニセコ町で、ひらふ地区、花園地区、東山地区、アンヌプリ地区がリゾート開発の中核になっている[3]。このうち「ひらふ地区」は主に倶知安町字山田と字樺山からなる地区の総称をいい、これらの地域とは別に倶知安町字比羅夫地区があるが尻別川を挟んだ羊蹄山側に位置している地区でありリゾート開発の影響の少ない地域である[3]。なお、リゾート開発に伴う土地取引で分筆や合筆が繰り返され地番が不規則になっていたため、ひらふ地区にある倶知安町字山田の一部約212ヘクタールが2022年10月から新たに「倶知安町ニセコひらふ」に住所が変更され地番も整理される[8]

ニセコの由来[編集]

ニセコはアイヌ語の「ニセイ・コ・アン・ペツ」(峡谷にある川)に由来する。この川とは地区の正面に聳えるニセコ連峰に源を発して南に流れ、尻別川に合流するニセコアンベツ川のことで、ニセコアンペツの水源である山はアイヌ語で山を意味するヌプリの語を付け「ニセコアンヌプリ」とされた[9][10]。明治期に北海道の開拓が始まって以降、現在のニセコ町付近は南の真狩村との境を流れる真狩別川に由来する「狩太」の地名で呼ばれていたが、昭和39年に地区の正面に聳えるニセコアンヌプリにちなみ、「ニセコ」に改名された[11]

明治時代からニセコについては漢字をあてても定着せず、カタカナが定着したとされる[12]

観光・レジャー[編集]

通年観光リゾート地として、夏には登山トレッキングサイクリングカヌーラフティングゴルフ乗馬釣り気球・ピュア・ドッグランなどのアウトドアスポーツを楽しむことができ、パウダースノーとなる冬にはスキースノーボードなどのウィンタースポーツを楽しむことができる[13]。また、ガラスや革細工などのクラフトやアイスクリームチーズなどの食品加工体験も充実している[13]

ニセコ観光で古くから親しまれてきたのが「スキーと温泉」であり、『東洋のサンモリッツ』とも言われている。これは、秩父宮雍仁親王が視察で北海道を訪問された際に、ニセコ圏域でスキーと温泉を楽しんだことを伝えた新聞記事の見出しに端を発している[14]ニセコ温泉郷は各施設が独自に泉源を有しており、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、アルカリ性温泉、硫黄泉、単純温泉、酸性泉など種類が豊富なことが特徴になっている[14]

1990年代半ばに訪れたオーストラリア人がニセコのスキー環境や自然環境に魅せられて移住し、新たに夏場のアクティビティーを考案し紹介するなどの口コミによって2000年代はじめからオーストラリア人観光客が増え始めた[1]。2001年に「アメリカ同時多発テロ事件」が発生し、欧米への航空旅行が不安視される中で飛行時間や時差が比較的少なく、移住してきた人々による受入体制があったニセコ地域が代替地として注目されたことも観光客増加の要因に挙げられる[1]。比羅夫(ひらふ)地区を中心にオーストラリア資本によるマンションやコンドミニアムなどの不動産開発が進み、倶知安町字山田が2006年から3年連続で住宅地の地価上昇率全国1位になった[15][16][17]。また、アジア地域からも注目されており、中華人民共和国香港)やマレーシア資本による開発も進んでいる[18]

交通機関[編集]

倶知安駅(2017年9月)
ニセコ駅(2016年9月)
道の駅ニセコビュープラザ(2007年)

鉄道[編集]

北海道新幹線新函館北斗札幌間延伸開業時には倶知安駅が開業し、並行在来線の函館本線はバス転換される予定。

バス[編集]

道路[編集]

道の駅[編集]

ニセコの地名に因むもの[編集]

ニセコが舞台(ロケ地)となった作品[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c ニセコ地域における外国人の観光と投資状況に関する報告書(要約)” (PDF). 日本貿易振興機構北海道貿易情報センター (2006年1月). 2015年3月6日閲覧。
  2. ^ ニセコ観光圏(2018年9月5日閲覧)、『日本経済新聞』朝刊2018年8月26日(NIKKEI The STYLE)「NISEKO 夏もニセコ 外国人が見つけた楽園」。
  3. ^ a b c 塩﨑大輔、橋本雄一. “ニセコひらふ地区におけるリゾート開発と土砂災害リスク”. 地理学論集 Vol. 96, No. 1 (2021). 2022年3月24日閲覧。
  4. ^ ニセコ積丹小樽海岸国定公園”. 北海道. 2015年2月27日閲覧。
  5. ^ スキーとニセコ連峰”. 北海道遺産協議会. 2015年3月2日閲覧。
  6. ^ 尻別川”. 北海道開発局. 2017年10月9日閲覧。
  7. ^ 北海道 全域豪雪地帯”. 全国積雪寒冷地帯振興協議会. 2015年3月6日閲覧。
  8. ^ 倶知安町内リゾート「ニセコひらふ」正式地名に 10月から変更”. 北海道新聞 (2022年3月23日). 2022年3月23日閲覧。
  9. ^ 山田秀三『北海道の地名』北海道新聞社 昭和59年 p463
  10. ^ 北道邦彦『アイヌ語地名で旅する北海道』朝日新書 平成20年 p42
  11. ^ 山田秀三『北海道の地名』北海道新聞社 昭和59年 p464
  12. ^ ニセコの概要”. ニセコリゾート観光協会. 2024年2月17日閲覧。
  13. ^ a b 「遊びたい」をとことん”. ニセコリゾート観光協会. 2015年3月2日閲覧。
  14. ^ a b ニセコ観光圏整備計画 2014 - 2018” (PDF). 蘭越町・ニセコ町・倶知安町. p. 35. 2015年3月10日閲覧。
  15. ^ 年間上昇率上位ポイント(全国)”. 国土交通省 (2006年). 2015年3月10日閲覧。
  16. ^ 基準地価格及び変動率順位表”. 国土交通省 (2007年). 2015年3月10日閲覧。
  17. ^ 基準地価格及び変動率順位表 -参考資料”. 国土交通省 (2008年). 2015年3月10日閲覧。
  18. ^ ニセコは中国資本による開発ラッシュ”. リアルエコノミー (2010年8月10日). 2015年3月6日閲覧。
  19. ^ a b c d 国民保養温泉地一覧” (PDF). 環境省. 2015年3月2日閲覧。
  20. ^ まちなか循環バスじゃがりん号”. 倶知安町. 2015年2月27日閲覧。
  21. ^ にこっとBUS(デマンドバス)運行”. ニセコ町. 2015年3月2日閲覧。

参考資料[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]