ナレンドラ・カーマーカー

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Narendra K. Karmarkar
人物情報
生誕 1957年 (56–57歳)
インドの旗 インドマディヤ・プラデーシュ州グワーリヤル
出身校

B.Tech電気工学) — 1978年インド工科大学ボンベイ校
M.S.計算機科学) — — カリフォルニア工科大学

Ph.D.計算機科学) — — カリフォルニア大学バークレー校
学問
研究分野 オペレーションズ・リサーチ情報工学
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ナレンドラ・クリシュナ・カーマーカーNarendra Krishna Karmarkar1957年生まれ)はインド数学者である。彼はカーマーカーのアルゴリズムを発見したことで名高い。彼はInstitute for Scientific InformationISI最多被引用英語版者に選ばれた[1]

略歴[編集]

カーマーカーはインドグワーリヤルの一家に生まれた。彼は1978年インド工科大学ボンベイ(ムンバイ)校にて電気工学B.Tech、そして渡米後は計算機科学を専攻し、カリフォルニア工科大学にてM.S.カリフォルニア大学バークレー校にてPh.D.学位をそれぞれ授与されている。

彼がニュージャージー州ベル研究所に入所した1984年に先述のアルゴリズムを発見するという著名な結果を残した。のちに彼はインドに戻り、タタ・グループの研究機関であるムンバイタタ基礎研究所英語版の教授だったこともある。

彼は現在新しいスーパーコンピュータアーキテクチャ開発に従事している。彼のいくつかの構想[2]MITメディアラボCenter for Bits and Atoms英語版により開催されたFab5カンファレンス[3]にて披露されている。

カーマーカーは以下多くの賞を授与されている。

業績[編集]

カーマーカーのアルゴリズム[編集]

カーマーカーのアルゴリズムは線形計画問題の解を多項式時間で導くものである。線形計画問題は"n"個の変数と"m"個の束縛変数により記述される。以前から良く知られた解法であるシンプレックス法は、凸集合ポリトープ上にある"x"と"y"個の固定された頂点とで表現できる。このとき、アルゴリズムにより点はをたどり頂点から頂点に移動して解に漸近する。これに対し、カーマーカー法は新規性があり、点は立体上を横切って解に漸近する。その結果、後者は複雑な最適化問題の解を前者に比べはるかに高速に導き出す。この効率のよさを実際に生かし、例えば通信ネットワーク最適化に関する複雑な問題に対して解答に数週間かかったものが数日にまで短縮できた。このことから彼のアルゴリズムを利用することで事業決定や政策決定のさらなる高速化が可能となった。彼のアルゴリズムはのちに線形計画法の解法として広く利用される内点法と呼ばれる手法を発展させるのに一役買った。

Paris Kanellakis Award[編集]

2000年、カーマーカーは彼の業績に対し、権威ある賞であるParis Kanellakis Award(パリス・カーネラキス賞)をACMから授与されている。受賞理由を引用すると、

彼は線形計画問題多項式時間解法の理論化である内点法を発見し、さらに理論だけではなく内点法が線形計画問題の実用的な解法であることを示す実装も提示した。この2つの実績はともに線形計画問題の理論と実装に新たなる活気を与え、最適化コードを広く商業的に利用させることや、その効果を徐々に向上させる働きをもたらした。

コンピュータ・アーキテクチャに関する研究[編集]

ガロア幾何学[編集]

内点法での業績を残したのち、カーマーカーは有限ガロア幾何学英語版、とりわけ有限体上の射影幾何学の理論に基づく、スーパーコンピュータの新しいアーキテクチャを開発した[5]

現在の研究[編集]

2007年、彼はタタ・グループ所属の電子計算機研究所英語版と米ヒューレット・パッカードが開発したEKA英語版に研究者として参加している[6]。しかし、のちに彼はプロジェクトから離脱している。その理由をエコノミック・タイムズ英語版紙は次のように述べている。

ナレンドラ・カーマーカーは、プロジェクトの基本的な目標の時点で、タタと彼との間には相容れない違いが生まれたとET紙に述べている。「投資家への多大なリターンを生み出す点のみならず、私にはまた、このインドという国だけではなく、世界中の科学の発展のためにテクノロジーを利用するという大いなる展望があります。」彼はそう述べた[7]

現在彼は、sculpturing free space彫刻自由空間)と彼が呼ぶ新しい理論を構築している(この概念は、きれいな角の折り方, folding the perfect corner、または折紙の数学と呼ばれよく知られている概念を非線形化したものである)[8]。このアプローチにより、彼は機械の物理的設計にこの成果を応用、拡張することができた。現在彼は近年の業績を更新し、ウェブサイトにて公開している[9]。この中には先述の拡張理論が含まれている[10]。この新しい拡張理論[11]について、2008年7月16日ポーランドにおいて開催された"International Vacuum Nanoelectronics Conference"(IVNC)2008[12]や2008年7月25日MITにおいてプレゼンテーションが行われた[13]。最近の業績[2]はMIT・Center for Bits and Atoms英語版により開催されたFab5カンファレンスにて公開されている。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ ギリシャの計算機科学者パリス・カーネラキス英語版を讃えACMにより設けられた賞。

出典[編集]

  1. ^ Thomson ISI. “Karmarkar, Narendra K., ISI Highly Cited Researchers”. 2009年6月20日閲覧。
  2. ^ a b A novel approach to overcome bandwidth limitations of parallel computers based on cmos, Part-1 : General concepts”. IEEE Xplore (2009年6月1日). 2011年5月27日閲覧。
  3. ^ FAB5: The Fifth International Fab Lab Forum and Symposium on Digital Fabrication”. MIT (2009年6月1日). 2011年5月27日閲覧。
  4. ^ Narendra Karmarkar”. www.informs.org. 2011年5月27日閲覧。
  5. ^ Karmarkar, Narendra. “A new parallel architecture for sparse matrix computation based on finite projective geometries”. Proceedings of the 1991 ACM/IEEE conference on Supercomputing. 2011年5月27日閲覧。
  6. ^ Tata's supercomputer Eka is fastest in Asia”. economictimes.indiatimes.com (2007年11月14日). 2011年5月27日閲覧。 “The project was also important because it was done with a small work-force and with global partners like Hewlett Packard, Intel and Mellanox. But the most noteworthy achievement of the team was that it finished the project in time even after CRL lost its technical spearhead, Dr Narendra Karmarkar, in June this year over "differences over business model and commitment to delivery plan".”
  7. ^ Indrajit Gupta (2007年7月4日). “Why is Karmarkar out of Tata's project?”. articles.economictimes.indiatimes.com. 2011年5月27日閲覧。 “Narendra Karmarkar told ET that the Tatas and he had developed irreconcilable differences over the basic objectives behind the project. "Apart from generating great returns for the investors, I also had a larger vision to use this technology to drive scientific development both within the country and rest of the world," he said.”
  8. ^ Angier, Natalie (1984年12月3日). “Folding the Perfect Corner”. Time Magazine. 2008年7月12日閲覧。
  9. ^ Karmarmar, Narendra (2008年7月11日). “Narendra Karmarkar's recent research”. punetech.com. 2008年7月12日閲覧。
  10. ^ Karmarmar, Narendra (2008年7月11日). “Massively Parallel Systems and Global Optimization (PDF)”. punetech.com Narendra Karmarkar's recent work. 2008年7月12日閲覧。
  11. ^ Karmarmar, Narendra (2008年7月14日). “Vacuum nanoelectronics devices from the perspective of optimization theory (PDF)”. punetech.com Narendra Karmarkar's recent work. 2008年7月14日閲覧。
  12. ^ IVNC 2008”. www.wemif.pwr.wroc.pl. 2011年5月27日閲覧。[リンク切れ]
  13. ^ Karmarkar, Narendra. “Seminar on Massively Parallel Systems and Global Optimization”. Computation Research in Boston. 2008年7月12日閲覧。

外部リンク[編集]