ドービニーの庭

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ドービニーの庭、1890年、56×101cm、バーゼル市立美術館蔵
ドービニーの庭、1890年、53×103cm、ひろしま美術館蔵

ドービニーの庭(どーびにーのにわ)とは、1890年7月にフィンセント・ファン・ゴッホによって描かれた絵画。油彩。同名同構図の作品が2点あることが認められている。

オーヴェル=シュル=オワーズシャルル=フランソワ・ドービニーの未亡人が住んでいた家の庭を描いたもの。

最初に描かれたものはスイスバーゼル市立美術館に収蔵されている。

最初の作品を複製したと思われるものがひろしま美術館に収蔵されている。この作品は1890年7月20日過ぎに描かれたと考える説があり、この説によるとゴッホの絶筆作品である可能性もあるが、少なくともゴッホの最晩期の作品であることには間違いない。1929年にベルリンのナショナルギャラリーが収蔵したが、1937年に美術館の近代部門は閉鎖され、この絵は退廃芸術とされて押収された。後にオランダのコレクターの手に渡り、さらに競売にかけられ広島にたどり着いた。

塗りつぶされた猫[編集]

バーゼル美術館のものに見られる左下部分の「猫」は、ひろしま美術館のものでは一見して欠けている。これは1900年にオークションにかけられた際の写真には猫が確認できること、該当部分がやや色合いが異なることなどから、後日エミール・シェフネッケルの筆によって塗りつぶされたものと考えられている。この説をとる者に圀府寺司(現大阪大学文学部教授)がいる。

小林英樹(現愛知県立大学美術学部教授)は著書「ゴッホの遺言」で、後の作品のほうに猫がないことにゴッホのメッセージが込められているという説を述べている。「ゴッホの遺言」は第53回日本推理作家協会賞「評論その他の部門」(2000年)を受賞している。