ドラキュラハンター

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ドラキュラハンター
ジャンル アクションゲーム
対応機種 アーケード[AC]
開発元 テクノン工業
発売元 テクノン工業
人数 1~2人(交代制)
発売日 [AC]:1980年
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ドラキュラハンター(Dracula Hunter)』は1980年に発表されたアーケードゲーム式テレビゲームで、アクションゲームシューティングゲーム両方の性質を持つ。発売したテクノン工業はマイナーなメーカーだったが、ゲーム内容が細かく作られていたこと、また当時人気のゲーム漫画『ゲームセンターあらし』で描かれたことや、時を経てレアなゲームとして紹介された事もあり、知名度は今でも比較的高い。当記事ではメーカーであるテクノン工業と、同社が発売したアーケードテレビゲームも解説する。

概要[編集]

登場キャラ[編集]

各キャラクターは、特定のキャラに一色しか色がついていない。

牧師
プレイヤーキャラクターとして操作する。色は白。十字架を投げて敵(ドラキュラ)を全滅させるのが目的だが、特徴として十字架の飛ぶ方向がただの直線でなく、ブーメランのように飛んで戻ってくる。
レッドドラキュラ
メインとも言える敵で、側面から見るとシルクハットとマントを着用したアルセーヌ・ルパンの様な姿。1面では3匹程度しか登場しないが、ステージが進むにつれ増えていき、フィールドの左右を覆う程になる。倒すと30点。
コウモリ
色は紺色。ドラキュラ城の門から時々登場し、左右に漂う。牧師と横座標が会うと急降下して来る。撃ち落せばミステリーポイントで牧師とコウモリの距離が接近していれば高得点。最高得点1000点が出ると全てのドラキュラが一定時間シビレ状態となり、攻めて来ない。
通行人
水色と緑色が存在し、面クリア時に残っていると若干スコアが得られる。レッドドラキュラと接触すると、ドラキュラに食いつかれている姿となる。この時は攻撃しても倒せない。食いつかれてから暫くすると、通行人はピンクドラキュラかイエロードラキュラとなる(色以外はレッドと同じ外見)。ピンクは20点、イエローは10点。
美女
画面下部(教会)に位置する十字架に囲まれた棺の中で眠っている。色は白。

面クリア[編集]

  • 敵を全て倒すと一面クリア。
  • 全滅の他にクリア方法があり、画面上部中央のドラキュラ城の門が開いている時、十字架を打ち込むと敵は全滅して面クリアとなる。この方法だと面クリアのボーナス点が稼げるメリットがあるが、門が開いた時にコウモリが出て来るため、タイミングを間違えると瞬殺される危険性が高い。牧師を門の横に待機させて、十字架の軌道を活用して門を破壊するテクニックもある。
  • クリアするとドラキュラ城が炎上し、コウモリが面クリア時のボーナス点を表示。
  • 7面クリアごとに現れるステージでは、敵が全てコウモリとなる。これをクリアすると画面全体が血でしたたり、『ギャラクシーウォーズ』のようにプレイヤーを称えるメッセージが出る。
    • 7面クリア Beginner's Hunter
    • 14面クリア Good Hunter
    • 21面クリア Very Good Hunter
    • 28面クリア Greatest Hunter
    • 35面クリア The Champion!
    • 42面クリア No More!
    • 49面クリア Give Up!

ミスとゲームオーバー[編集]

  • 牧師が敵に触れるとミスとなる。
  • ドラキュラが美女に触れるとゲームオーバーとなる。プレイヤーキャラが残っていても自陣を侵略されると即ゲームオーバーという概念は『スペースインベーダー』『タンクバタリアン』などにもある。
  • どちらの場合も、とどめをさしたドラキュラかコウモリが笑う。
  • ゲームオーバーになると「アーメン」(海外版では "BYE!")の文字と共に美女が昇天して行く。
  • 一面もクリアできずにゲームオーバーになると、特別サービスとしてクレジットが一回入る。ただし再度一面でゲームオーバーになっても、クレジットは入らない。

書籍資料[編集]

筐体写真、画面写真、フライヤー(チラシ)など、同ゲームの情報が確認できるものも比較的多く、たとえば以下が挙げられる。

  • ゲームセンターあらし』テレビゲームを題材にした漫画としては萌芽期にあたる、この漫画で紹介されたことで一躍有名になった。作者のすがやみつるは作品を描くにあたり、実際にそのゲームで遊んでみて、面白さを確認してから作中に登場させたと語っている。アニメでは第10話「生きかえったドラキュラ」に登場。アニメでは背景が水色になるなど、ゲームと異なる脚色が行われているが、これは同ゲームや同アニメ固有の特徴でなく、当時アニメに登場するテレビゲームでは、このような原典と異なる表現は珍しくなかった。

映像資料[編集]

  • カルトQ」において「コンピューターゲーム2」のオープニング映像で本ゲームが使われている。これは、当時浅草で営業していた「ゲーム博物館」で稼動中の実機から撮影したものである。

中古基板[編集]

  • 中古アーケードゲーム基板市場にも、多数の基板が比較的高額で出回っていたとされ、渋谷で運営していた基板屋「タイムマシン」では15万円で売り出されていた記録がある。
  • ゲーム評論家として有名だった渋谷洋一は「自分にとって世界一大事なものは、同ゲームの基板だ」と語っている。「ファミ通」で連載されていた鈴木みその漫画の中で、『ドラキュラハンターの基板は50万円位の値が付く』との台詞があり、基板の相場に影響を与えた。
  • 海外版も存在しており、1995年当時、基板の相場が50万円前後といわれた国内版に比べて10~20万の相場で取引されていた。
  • メッセサンオーでは販売基板を筐体に入れて遊べるようにしており、『ドラキュラハンター』も稼動していた時期があった。ただし現在は同店自体が中古基板業から撤退している。
  • 近年ではヤフオクや中古基板店でも出品されたり販売される事は極めて少なく、基板の入手は難しくなっている。2018年5月にオークションに出品されたものは純正のインストラクションカード・コントロールパネル付きであったが、最終的に270万円以上で落札された。[1]

その他[編集]

  • 月刊アルカディア」の記事によれば、流通を実績の無かった当時のテーカン(テクモ)に頼ったために流通量が少なく、しかも当時としては高額で殆ど使われていなかった、カスタムICを採用していたという。
  • インストラクションカードは、テーブル筐体の場合画面の左右に掲示されることが多いが、同ゲームは手前に掲示されている。

テクノン工業[編集]

ゲームのフライヤーによれば、ドラキュラハンターを出した時点では東京都千代田区麹町1丁目7-12館2Fに本社があった。発売されたゲームについては以下のタイトルが確認されているが、「月刊アルカディア」には全5作リリースという証言も載せられている。

フリッパー7(1978年)
サンデー毎日」1978年11月5日の広告記事によると、アタリが開発・発売していた VideoPinball の LSI を輸入し、同チップを採用したアーケードゲーム。[2]
ビームインベーダー(1979年)
スペースインベーダー』がヒットした際、国内の殆どのメーカーが発売した亜流の一つ。主な特徴としては
  • システム基板がタイトーと全く異なる(これはむしろ後世に大手となるメーカーの方がタイトーのコピーを多用し、零細メーカーは独自に作った所が多かった)
  • 画面表示が白黒。
  • キャラデザインが微妙にタイトーと異なる。
  • 文字表示がカタカナ。
  • 砲台はレバーでなくパドルコントローラで操作する。
同社は『ドラキュラハンター』がデビュー作だと長年思われており、同人誌「究極ビデオゲームリスト」にも、『ドラキュラハンター』と『トロピカルダイブ』しか掲載されていなかった。しかし2002年11月に突如、このゲームがMAMEバージョン0.62でリリースされ、同社の発売作品は最低3作存在することが明らかになった。またその数ヵ月後にはオークションにて同作品の基板が出品されている。
ドラキュラハンター(1980年1月)
トロピカルダイブ(1980年5月)
『ドラキュラハンター』に次ぐ作品。内容はダイバーを上下左右に動かし、海中の生物を撃って行くというもの。筐体もサウンドも『ドラキュラハンター』から流用されている。同社は『トロピカルダイブ』の発売を最後に、倒産もしくは消滅したとされている。

脚注[編集]

  1. ^ テクノン工業 ドラキュラハンター イン純正 説無 純正テーブル筐体用パネル付 - Yahoo!オークション、2018年5月19日閲覧
  2. ^ CLASSIC VIDEOGAME STATION ODYSSEY 家庭用テレビゲーム機究極年表

外部リンク[編集]