トンスル

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トンスル
各種表記
ハングル 똥술
漢字 糞酒[1]
発音 トンスル
ローマ字転写: Ttongsul[2]
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トンスル똥술、糞酒[1]、Ttongsul)は、韓国で飲用されるなどのに漬け込んだ薬用[3]。人糞酒。今日では韓国国内でも、ごく少数の伝統主義者を除いて飲用されていないとされる[2]

概要[編集]

トンスルの製法が載せられている『東醫寶鑑』(ユネスコ世界記録遺産に登録されている)

韓方医療(韓医学)であるが、民間療法として伝承されてきた歴史もあるため、地方によっても作り方に差異がある。トンスルは韓国の伝統的な薬用酒として全ての疾患に治療効果を発揮するとされており[2]、骨折、打撲時や腰痛からてんかんにも効果があるとされ[2][4][5]、薬として飲用されている[3][5]。竹筒に小さな穴を開け、松葉できっちり穴を塞ぎ、便壺に入れておき、3-4ヶ月経つと、竹筒の中に清い液が溜まるので、それをマッコリと混ぜて熟成させると、味も香りも問題ないトンスルとなる。しかし時間がかかるため、急ぎの場合は直接に酒と大便を混ぜて3日程度で飲む場合もあった。これはヤインゴンスル(야인건술, 野人乾酒)とも呼ばれる。急造されたトンスル(ヤインゴンスル)は薬としての効果は弱く、非常に臭いがきつく飲みづらいという[5]

6歳程度の小児の便を水で溶いて24時間発酵させ、炊いた白米と酵母、糞尿を混ぜ室温30-37度に管理された室内で1週間保管したのちに濾過して完成とするとする韓国医師の報告もある[4]。この方法で製造されたトンスルは、酸味があり大便臭があるとされる[4]

トンスルは1960年代に衰退し、今日ではその存在さえ知られていないことがイギリスデイリー・メールの調査によって明らかにされた[2]

成分[編集]

漢方薬の中には糞尿を原料とする物があり、甘草の粉末を人糞に浸したり混ぜたりして作られる漢方薬を「人中黄」といい、解熱・解毒剤とし、人尿の沈殿物を日干しにして作られる漢方薬を「人中白」といい、止血・解毒剤とする。『東医宝鑑』によると、白狗屎(백구시)=白犬の糞(흰개똥)を焼いて、酒に入れて飲めば、出来物、積聚、瘀血に効くという[6]。鶏糞酒は、代の『千金要方』にも記載がある。鶏糞は、鶏矢醴又は鶏屎白散と呼ばれる漢方薬で、漢方の古典『黄帝内経』や漢代の『金匱要略』にも処方が記載されている。このほか、漢方薬として、ムササビの糞(五霊脂)、コウモリの糞(夜明砂)、野ウサギの糞(望月砂)、すずめの糞(白丁香)、カイコの糞(蚕砂)などが用いられている[7]朝鮮半島では糞便をではなくで溶いたものは「ヤインゴンス, 야인건수(野人乾水)」と呼ばれ解熱に使われる。ヤインゴンスは、李氏朝鮮時代の女医・大長今が、第11代朝鮮国王中宗に処方したことで知られる[8]

ユネスコ世界文化遺産?[編集]

一般的に、トンスルがユネスコ世界記録遺産世界文化遺産の指定を受けたと記載される場合がある。これは2009年7月31日に、トンスルの製法を載せた『東醫寶鑑』が、ユネスコ世界記録遺産に指定されたのであって、トンスル自体が直接世界遺産人類口伝及び無形遺産傑作などに指定されたわけではない。

朝鮮時代における医学的利用[編集]

ソウル大大学院医学科での論文では、15~16世紀に、中宗(チュンジョン)が解熱剤として人糞を溶いた水を飲用していたという論文がある[9][10]

トンスルに関する報道の歴史[編集]

  • 2009年7月31日、トンスルを紹介する記事をロケットニュース24(β)が配信[11]し、livedoor ニュースなどニュースポータルに掲載された[12]。それによると、韓国に嫁いだ日本人女性のブログ[13]を紹介し、嫁ぎ先で『トンスル』に出会い「ウンコ酒」に困惑した様子が記載され、記事では「特に韓国の田舎では愛飲されているようである」とされた。これによってインターネット上において「韓国人は『ウンコ酒』を愛飲している」という噂が爆発的に広まり、そこでは韓国ですら非常にマイナーな存在だという事[3]、薬であることなどは語られなかった[14]。韓国紙のヘラルド経済は、現在はほとんど飲む人はなく、報道は事実ではないと反論したが[3]、記事の元となったブログにはコメントが殺到し、2009年8月3日にブログ主はコメントをすべて削除した上で「旦那のうわさ話を鵜呑みにして書いた」とし、「口裂け女出没」のようなレベルの話で、真剣に受け止めないでくださいと説明するに至った。
  • 2012年11月、ロケットニュース24ではトンスルを半年間に渡る調査で発見し購入。トンスルは現在の韓国でも製造がされていること、店では買えず事前の注文でトンスル販売員から直接買えることなどを報じた[15]。ロケットニュース24が取材した製法では、子供の便を250℃の電気オーブンで30分間焼くため隣近所に悪臭が匂い、それを朝鮮人は韓方や韓薬と呼称する漢方薬と猫の骨とともに最低2ヶ月間酒に漬け込み、茶色の液体が完成するという。女優の千絵ノムラが実際にトンスルを飲む動画が公開された[16]。2012年12月28日には、ガールズエアバンド「ドッペルゲンガー」のメンバーである北條まみ加藤遥小田あさ美由井香織加藤桃子の5人に、原料を秘匿して飲ませて感想を聞いた記事を掲載した[17]
  • 2013年8月17日VICE JAPANは、ウチダ・ユカ記者が韓国のリー・チャン・スー医師を取材し、目の前でトンスルを作ってもらい、記者が飲んでみたが、そのあと道で吐いてしまう、という記事と動画を公開している[18]。同20日には英紙デイリー・メール[2]、同22日には中国の環球時報が香港の文匯報を引用して[4]、同23日には中国の広州日報もデイリー・メールを引用して、日本人女性記者が李昌洙医師を取材し、実際にトンスルを作るところをビデオカメラで撮影し、女性記者が試飲した事を報じている[19]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 糞便入藥? 韓國「糞酒」療效神奇  酵母便便水發酵 號稱除疤治骨折  台灣也有? 改製中藥材隔絕排泄物 台湾電視公司 2013/8/24
  2. ^ a b c d e f Sarah Griffiths 「Bottoms up? The bizarre traditional Korean rice wine that uses human POO to 'heal' everything from broken bones to epilepsy」 デイリー・メール 2013年8月20日
  3. ^ a b c d “한국인, ‘똥술’ 마신다” 日 기사 논란(「『韓国人、トンスル飲む』、日記事論難」)ヘラルド経済(2009年8月4日)>
  4. ^ a b c d 韓国に数百年伝わる秘伝の「薬用酒」、実は6歳の子どもの大便が原料だった 香港紙 XINHUA.JP 2013年8月22日(木)20時44分配信 2013年8月24日閲覧
  5. ^ a b c 똥술” (朝鮮語). 경남일보(慶南日報) (2007年10月15日). 2009年8月8日閲覧。慶南警察庁警務課長カン・ソンジュのコラム
  6. ^ 경희보궁한의원알아두면 건강해지는 한방 상식(知っておけば健康になる漢方常識)
  7. ^ 袁世華(中国・長春中医学院教授). “漢方漫歩”. 2009年8月8日閲覧。
  8. ^ 『中宗(1488-1544)は、解熱剤として「野人乾(人糞)」を水で溶いて飲んだ』”. 東亞日報 (2005年8月22日). 2014年5月22日閲覧。
  9. ^ 「世宗大王は肉食がお好き…肥満に糖尿病」東亜日報 AUGUST 22, 2005 03:11 2013年8月24日閲覧
  10. ^ 「朝鮮時代の王たちの疾病治療を通じてみた医学の変遷」金正善 ソウル大学大学院医学科
  11. ^ 韓国伝統の人糞酒『トンスル』とはどんな酒なのか - ロケットニュース24(β)
  12. ^ livedoor ニュースエキサイトニュースMSNニュース
  13. ^ トンスル(うんこ酒) - 走れ!ボンヤン一家 相方は釜山人。(2005年6月30日)
  14. ^ 上記のニュースサイトは『伝統的な料理やお酒』としてトンスルを紹介していた。
  15. ^ 韓国伝統の人糞酒『トンスル』を入手 / 現在も販売されており猫も材料として使用 ロケットニュース24、2012年11月9日
  16. ^ 韓国伝統の人糞酒『トンスル』を飲んでみた / 色は完全にウンコだが「漢方酒」のような味 ロケットニュース24、2012年11月11日
  17. ^ 【トンスル】韓国のウンコ酒を美女5人に飲ませてみた / 女子「ワインのような上質な味がする」→ 記者「ウンコ入ってますよ」→ 女子「糞まずオエーッ!!」 ロケットニュース24、2012年12月28日
  18. ^ 韓国秘伝の人糞酒『トンスル』その製造過程からお味まで確かめてみよう! VICE JAPAN、2013年8月17日 2013年9月1日閲覧
  19. ^ 原料は6歳の子どもの大便、韓国秘伝の「トンスル」を日本人女性記者が試飲―中国紙 新華経済、2013年8月23日 2013年9月1日閲覧
  20. ^ 第11代朝鮮国王中宗に、糞便から精製した韓方薬(野人乾水)を処方したことで知られる女医
  21. ^ 『中宗(1488-1544)は、解熱剤として「野人乾(人糞)」を水で溶いて飲んだ』”. 東亞日報 (2005年8月22日). 2014年5月22日閲覧。
  22. ^ 朝鮮王朝実録-中宗実録』

参考文献[編集]

  • 東醫寶鑑(동의보감)』許浚著、1613年刊、朝鮮
  • 똥이어디로갔을까「糞はどこにいったのだろうか」、イ・サングォン著、ユ・ジンヒ画。トンスルを飲んで病気が治ったお婆さんの話を収録。
  • 일상으로 본 조선시대 이야기 2「日常から見た朝鮮時代の話2」、チョン・ヨンシク著。p227に(「糞薬、トンスル、そしてトンポ」(똥약, 똥술 그리고 똥포))の話がある。