トンスル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
Camera-photo Upload.svg
この項目には、一部のコンピュータや閲覧ソフトで表示できない文字(ハングル)が含まれています詳細
トンスル
各種表記
ハングル 똥술
漢字 糞酒
発音 トンスル
ローマ字転写: Ttongsul[1]
テンプレートを表示

トンスル똥술、糞酒、Ttongsul)は、韓国で飲用しているとされる人糞を使った[2]

民間療法であるため、地方によって作り方に差異があり、体験談や伝聞のみで文献には残っていない。骨折・打撲・腰痛に効果があるとされる[2]イギリスデイリー・メールはVICEの動画[3]を紹介し、トンスルは1960年代に衰退し、今日では、ごく少数の伝統主義者を除いて飲用されることはなく、一般にはその存在さえ知られていないことを報道した[1][3]

人糞酒の製法[編集]

  • 田舎のぽっとんトイレに竹を差込み竹の中にうんこが詰まって出てきたものにお酒を混ぜて飲む[4]
  • 竹筒に小さな穴を開け、松葉できっちり穴を塞ぎ、便壺に入れておき、3-4ヶ月経つと、竹筒の中に清い液が溜まるので、それをマッコリと混ぜて熟成させる[5]
  • 急ぎの場合は直接に酒と大便を混ぜて3日程度で飲む場合もあった[5]が、急造されたトンスルは薬としての効果は弱く、非常に臭いがきつく飲みづらい。
  • 赤ちゃんのウンコを焼いた物と複数の韓薬(秦皮(?)、ホンア、猫の骨等)を酒に漬ける[6]。全ての疾患に治療効果を発揮するとされる。
  • 6歳の子どもの大便に水を混ぜ、丸1日発酵させる。次に、炊いた白米と酵母、糞尿を混ぜて酒にする[7][1]。骨折・打撲・腰痛のほか、てんかんにも効能があるとされる。

朝鮮半島における人糞の水薬[編集]

破棺湯(野人乾水)の製法が載せられている『東醫寶鑑』(ユネスコ世界記録遺産に登録されている)

朝鮮半島では人糞を使った水薬として「野人乾水」というものが存在した。人糞を乾燥させ粉末にしたものを「ヤインゴン, 야인건(野人乾)」と呼び、それを煎じたものを「ヤインゴンス, 야인건수(野人乾水)」と呼び伝承されてきた。15~16世紀に李氏朝鮮時代の女医・大長今が、第11代朝鮮国王中宗に解熱剤として処方したことで知られる[8][9]

また朝鮮では、民間療法としてヒトに由来する生薬を多く用い、人糞を薬用としてきた。『東医宝鑑』によると、「肉を食べて中毒になった時、人糞汁を飲食させればよい」と書いあり、「毒キノコ中毒になった時、人糞を一升食べさせる」と書かれてあり、朝鮮の昔の歌手がのどを通すために人糞水を飲んだという話も伝わっている[10][11]

日韓併合時代の韓国の風俗を蒐集した『朝鮮風俗集:全』には「人糞を水に入れて飲む」「人糞を焼いて歯に含む」「人糞に塩を混ぜて貼る」などの人糞療法の記録が残っている[12]

トンスルに関するインターネット報道[編集]

  • 2009年7月31日、トンスルを紹介する記事をロケットニュース24(β)が配信[13]し、livedoor ニュースなどニュースポータルに掲載された[14]。それによると、韓国に嫁いだ日本人女性のブログ[4]を紹介し、嫁ぎ先で『トンスル』に出会い「ウンコ酒」に困惑した様子が記載され、記事では「特に韓国の田舎では愛飲されているようである」とされた。これによってインターネット上において「韓国人は『ウンコ酒』を愛飲している」という噂が爆発的に広まり、そこでは韓国ですら非常にマイナーな存在だという事[2]、薬であることなどは語られなかった[15]。韓国紙のヘラルド経済は、現在はほとんど飲む人はなく、報道は事実ではないと反論したが[2]、記事の元となったブログにはコメントが殺到し、2009年8月3日にブログ主はコメントをすべて削除した上で「旦那のうわさ話を鵜呑みにして書いた」とし、「口裂け女出没」のようなレベルの話で、真剣に受け止めないでくださいと説明するに至った。
  • 2012年11月、ロケットニュース24ではトンスルを半年間に渡る調査で発見し購入。トンスルは現在の韓国でも製造がされていること、店では買えず事前の注文でトンスル販売員から直接買えることなどを報じた[6]。ロケットニュース24が取材した製法では、子供の便を250℃の電気オーブンで30分間焼くため隣近所に悪臭が匂い、それを朝鮮人は韓方や韓薬と呼称する漢方薬と猫の骨とともに最低2ヶ月間酒に漬け込み、茶色の液体が完成するという。女優の千絵ノムラが実際にトンスルを飲む動画が公開された[16]。2012年12月28日には、ガールズエアバンド「ドッペルゲンガー」のメンバーである北條まみ加藤遥小田あさ美由井香織加藤桃子の5人に、原料を秘匿して飲ませて感想を聞いた記事を掲載した[17]
  • 2013年8月17日VICE JAPANは、ウチダ・ユカ記者が韓国のリー・チャン・スー医師を取材し、目の前でトンスルを作ってもらい、記者が飲んでみたが、そのあと道で吐いてしまう、という記事と動画を公開している[18]。同20日には英紙デイリー・メール[1]、同22日には中国の環球時報が香港の文匯報を引用して[7]、同23日には中国の広州日報もデイリー・メールを引用して、日本人女性記者が李昌洙医師を取材し、実際にトンスルを作るところをビデオカメラで撮影し、女性記者が試飲した動画を紹介している[19]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d Sarah Griffiths 「Bottoms up? The bizarre traditional Korean rice wine that uses human POO to 'heal' everything from broken bones to epilepsy」 デイリー・メール 2013年8月20日
  2. ^ a b c d “한국인, ‘똥술’ 마신다” 日 기사 논란(「『韓国人、トンスル飲む』、日記事論難」)ヘラルド経済(2009年8月4日)
  3. ^ a b [1]
  4. ^ a b トンスル(うんこ酒) - 走れ!ボンヤン一家 相方は釜山人。(2005年6月30日)
  5. ^ a b 똥술” (朝鮮語). 경남일보(慶南日報) (2007年10月15日). 2009年8月8日閲覧。慶南警察庁警務課長カン・ソンジュのコラム
  6. ^ a b 韓国伝統の人糞酒『トンスル』を入手 / 現在も販売されており猫も材料として使用 ロケットニュース24、2012年11月9日
  7. ^ a b 韓国に数百年伝わる秘伝の「薬用酒」、実は6歳の子どもの大便が原料だった Focus-Asia 2013年8月22日
  8. ^ 「世宗大王は肉食がお好き…肥満に糖尿病」東亜日報 AUGUST 22, 2005 03:11 2013年8月24日閲覧
  9. ^ 「朝鮮時代の王たちの疾病治療を通じてみた医学の変遷」金正善 ソウル大学大学院医学科
  10. ^ 朝鮮の民間療法
  11. ^ 【噴水台】人糞 金南中(キム・ナムジュン)論説委員 中央日報 2010/8/20
  12. ^ 今村鞆『朝鮮風俗集:全』斯道舘、1914年、426ページ
  13. ^ 韓国伝統の人糞酒『トンスル』とはどんな酒なのか - ロケットニュース24(β)
  14. ^ livedoor ニュースエキサイトニュースMSNニュース
  15. ^ 上記のニュースサイトは『伝統的な料理やお酒』としてトンスルを紹介していた。
  16. ^ 韓国伝統の人糞酒『トンスル』を飲んでみた / 色は完全にウンコだが「漢方酒」のような味 ロケットニュース24、2012年11月11日
  17. ^ 【トンスル】韓国のウンコ酒を美女5人に飲ませてみた / 女子「ワインのような上質な味がする」→ 記者「ウンコ入ってますよ」→ 女子「糞まずオエーッ!!」 ロケットニュース24、2012年12月28日
  18. ^ 韓国秘伝の人糞酒『トンスル』その製造過程からお味まで確かめてみよう! VICE JAPAN、2013年8月17日 2013年9月1日閲覧
  19. ^ 原料は6歳の子どもの大便、韓国秘伝の「トンスル」を日本人女性記者が試飲―中国紙 新華経済、2013年8月23日 2013年9月1日閲覧

参考文献[編集]