トリニトロアニソール

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2,4,6-トリニトロアニソール
2,4,6-トリニトロアニソールの構造式
IUPAC名2-メトキシ-1,3,5-トリニトロベンゼン
別名ピクリン酸メチル
分子式C7H5N3O7
示性式H3COC6H2(NO2)3
分子量243.13 g/mol
CAS登録番号[606-35-9]
形状黄色葉状晶
融点67–68 ℃
爆薬としての性質
爆速6,800 m/s, 仮比重 1.57
危険性

トリニトロアニソール (trinitroanisole) とは、芳香族ニトロ化合物の一種。6種の構造異性体が存在し、2,4,6-体は構造がピクリン酸のメチルエーテル誘導体に相当するため、ピクリン酸メチルピクリン酸メチルエーテルメチルトリニトロフェニルエーテルとも呼ばれる。エタノールから再結晶させると黄色葉状晶になる。

アセトンに可溶、ベンゼンエタノールに難溶、リグロインに極めて難溶。

トリニトロクロロベンゼンメタノール溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加えてできる赤色沈殿塩酸を加えて製造する。

金属腐食させたり、危険な塩を作らず、融点も低いためにかつてトリニトロトルエン (TNT) の代用として各種軍用炸薬に使われたこともあったが、今では爆薬としてはほとんど使われていない。

異性体[編集]

  • 2,3,4-体: 融点 155 ℃
  • 2,3,5-体: 融点 104–106.8 ℃
  • 2,4,6-体: 融点 67–68 ℃
  • 3,4,5-体: 融点 119–120 ℃