トラーパニ

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トラーパニ
Trapani
トラーパニの風景
エーリチェ山イタリア語版からのトラーパニ市街眺望
行政
イタリアの旗 イタリア
シチリアの旗 シチリア
県/大都市 トラーパニ
CAP(郵便番号) 91100
市外局番 0923
ISTATコード 081021
識別コード L331
分離集落 #分離集落参照
隣接コムーネ #隣接コムーネ参照
地震分類 zona 2 (sismicità media)
気候分類 zona B, 810 GG
公式サイト リンク
人口
人口 67,531 [1](2019-01-01)
人口密度 248.5 人/km2
文化
住民の呼称 trapanesi
守護聖人 Sant'Alberto
祝祭日 8月7日
地理
座標 北緯38度01分 東経12度31分 / 北緯38.017度 東経12.517度 / 38.017; 12.517座標: 北緯38度01分 東経12度31分 / 北緯38.017度 東経12.517度 / 38.017; 12.517
標高 3 (0 - 751) [2] m
面積 271.72 [3] km2
トラーパニの位置(イタリア内)
トラーパニ
トラーパニの位置
トラーパニ県におけるコムーネの領域
トラーパニ県におけるコムーネの領域
イタリアの旗 ポータル イタリア
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トラーパニイタリア語: Trapani ( 音声ファイル))は、イタリア共和国シチリア島西部に位置する都市で、その周辺地域を含む人口約68,000人の基礎自治体コムーネ)。トラーパニ県の県都である。

地中海に面した港湾都市であり、沖合のエーガディ諸島や地中海沿岸各地へ向かうフェリーが発着する玄関口である。コムーネ単体の人口はマルサーラに次いで県内2位であるが、エーリチェのカーサ・サンタ地区とも市街地が連続しており、都市圏人口は約10万人である。

名称[編集]

Trapani[ˈtrapani] [4]と発音される。日本語文献では「トラーパニ」のほか、「トラパニ[5][6][7][8][9]とも表記される。

イタリア語以外の言語では以下の名を持つ。

歴史上は以下の名で呼ばれた。

  • ギリシア語: Δρέπανον / Drépanon (ドレパーノン)
  • ラテン語: Drepanum (ドレパヌム) あるいは Drepana (ドレパナ)

地理[編集]

位置・広がり[編集]

トラーパニ県北西部のコムーネで、地中海(ティレニア海)に面する。トラーパニの市街は、州都パレルモの西南西約75km、アグリジェントの北西約122km、チュニジアの首都チュニスの北東約247km、サルデーニャ島カリャリの南東約324kmに位置する。

コムーネの面積は 271.72 km2におよび、マツァーラ・デル・ヴァッロに次いで県内第2位の広さである。市域は、パチェーコを挟んで北と南の2つに分断されており、トラーパニ市街のある北側の「本体」よりも、南側の飛び地の方が大きい。

隣接コムーネ[編集]

トラーパニ市街のある「本体」と隣接するコムーネは以下の通り。

南部の飛び地と隣接するコムーネは以下の通り。

歴史[編集]

エリミ人が、近隣の都市エリュクス(現在のエリーチェ)の港として町をつくった。港が鋭くカーブしている姿から、古代ギリシャ人からドレーパノンイタリア語版Δρέπανον、鎌)と名付けられた。紀元前260年にカルタゴが町を掌握してから、重要な海軍港となった。第一次ポエニ戦争中、紀元前249年よりローマ軍がこの都市に対して攻城戦を仕掛けたが(ドレパナの戦い)、ドレパナ沖の海戦カルタゴ海軍はローマ海軍による海上封鎖を破り、戦況は膠着した。紀元前241年アエガテス諸島沖の海戦でローマ海軍がカルタゴ海軍に対して勝利を収め、第一次ポエニ戦争は終結。ローマがドレパナを手に入れた。

第二次世界大戦中、連合国軍の爆撃で市は壊滅的な被害を受けた。戦後復興し、市街がサン・ジュリアーノ山イタリア語版の麓まで広がった。

行政[編集]

分離集落[編集]

トラーパニには以下の分離集落(フラツィオーネ)がある。

  • Borgo Fazio, Fontanasalsa, Fulgatore, Guarrato, Locogrande, Marausa, Milo, Palma, Pietretagliate, Rilievo, Salinagrande, Ummari, Xitta, Baglio Nuovo

社会[編集]

経済・産業[編集]

塩田の風車

何世紀にも亘って、塩田や製塩産業が栄え、「塩の道」の途上にあることから、独特な文化や経済が生まれている。経済の大部分は今も海に依存している。漁業と、水産品の缶詰製造は重要な地元産業である。地元の漁師たちは、マッタンツァイタリア語版(Mattanza)と呼ばれる独特の漁法でマグロ漁を行うことが知られている。サンゴは重要な輸出品で、大理石も同様である。トラパニ県は、世界でも有数のワインの産地である。

エーリチェが所在するエーリチェ山イタリア語版セジェスタ遺跡、エーガディ諸島に近いため、観光が近年伸びてきている。

自然・環境[編集]

トラーパニからパチェーコにかけて広がる塩田トラーパニおよびパチェーコ塩田自然保護区イタリア語版セーカーハヤブサエジプトハゲワシなどの鳥類の生息地で、2017年にラムサール条約登録地となった[10]

スポーツ[編集]

プロサッカークラブ「トラーパニ・カルチョ」のホームタウンである。トラーパニ・カルチョは、1905年に設立された、シチリアで最も古いサッカークラブのひとつで、2017-18シーズンはセリエC(3部リーグ)に所属している。ホームスタジアムは、隣接するエーリチェ市域のスタディオ・ポリスポルティーボ・プロヴィンチアーレ (Stadio Polisportivo Provinciale

交通[編集]

港湾[編集]

主要フェリー港であり、エーガディ諸島の他パンテッレリーア島サルデーニャ島チュニジアへの便がある。

空港[編集]

トラーパニ・ビルギ空港は、南のマルサーラとの境界付近に位置する。

このほか、市街東方には軍用のトラーパニ・ミロ飛行場英語版、南方にボリッツォ飛行場英語版(トラーパニ・キニザ空港)が所在した。

姉妹都市[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 国立統計研究所(ISTAT). “Total Resident Population on 1st January 2019 by sex and marital status” (英語). 2020年6月14日閲覧。
  2. ^ 国立統計研究所(ISTAT). “Tavola: Popolazione residente - Trapani (dettaglio loc. abitate) - Censimento 2001.” (イタリア語). 2013年4月28日閲覧。
  3. ^ 国立統計研究所(ISTAT). “Tavola: Superficie territoriale (Kmq) - Trapani (dettaglio comunale) - Censimento 2001.” (イタリア語). 2013年4月28日閲覧。
  4. ^ DiPI Online - Dizionario di Pronuncia Italiana”. 2013年4月28日閲覧。
  5. ^ 望月一史. “トラパニ”. 世界大百科事典 第2版. コトバンク. 2013年4月28日閲覧。
  6. ^ トラパニ”. デジタル大辞泉. コトバンク. 2013年4月28日閲覧。
  7. ^ google map”. 2013年4月28日閲覧。
  8. ^ 『現代地図帳 2006-2007』二宮書店、2006年、60頁。 
  9. ^ 『なるほど知図帳 世界 2013』昭文社、2013年、58頁。 
  10. ^ Trapani and Paceco salt ponds | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2018年2月8日). 2023年4月16日閲覧。

外部リンク[編集]