トチバニンジン

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トチバニンジン
トチバニンジン
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : バラ亜綱 Rosidae
: セリ目 Apiales
: ウコギ科 Araliaceae
: トチバニンジン属 Panax
: トチバニンジン P. japonicus
学名
Panax japonicus
(T.Nees) C.A.Mey.
和名
トチバニンジン
英名
Japanese Ginseng

トチバニンジン(栃葉人参、学名:Panax japonicus: Japanese ginseng)はウコギ科 トチバニンジン属多年草薬用植物。日本原産。和名の由来は、葉の形状がトチノキに似ることからきている[1]

特徴[編集]

外形はオタネニンジンに似ており、根茎はオタネニンジンとは異なり、竹節状の結節があり横に走る[2]。その節くれ立った根茎の形状が竹の根茎に似るところから、別名チクセツニンジン(竹節人参)ともよばれる[1]

茎は根茎の先端から1本だけ直立して、高さは50 – 80 cmほどになる。

は長柄のある5小葉で構成される掌状複葉で、の頂部に3–5枚輪生する[2]。葉縁には細かい鋸歯がある。花期は夏季の6 – 8月で、茎頂の葉の集まり部分から長柄を出し、その先端に散状花序をつけ、球状に淡黄緑色の小さいを多数つける[2]。秋に赤い果実をつける。

分布と生育環境[編集]

横山岳滋賀県長浜市)の林内に自生するトチバニンジン

日本では北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の林内にやや稀に自生する[1][2]。中国・四川省にも産するといわれるが、本当に同じ植物であるかどうかは、いまだ結論が出ていない。生育環境は、半日陰で腐植に富む膨軟土を好む[2]オタネニンジン(いわゆる高麗人参)とは異なり、寒性である。

利用[編集]

根茎は、竹節人参(ちくせつにんじん)または竹節三七(ちくせつさんしち)とよばれる生薬で、解熱、去痰、咳、吐血、打撲、健胃薬として利用される[1][2]。秋に地上部分が枯れてから根茎を掘り上げ、細根を取り除いてから湯通し後に、天日で乾燥させたものが使われる[2]。新陳代謝機能は高麗人参より劣るが、解熱や去痰作用は優る[2]。体を温める作用があり、痰が多く寒いときに出る咳によいとされる[1]

有効成分は、数種のジンセノサイドを含むサポニンを含有する他、特有のチクセツサポニンを含む。使い方は、根茎5 gを400 gの水に入れて煎じたものを1日あたり3回ほどに分けて服用するほか[1]、生の根茎をホワイトリカーに漬けて薬酒にして、就寝前に盃1杯程度飲むのが良いとされる[2]。また、妊婦への服用は禁じられている[1]

違った使われ方として、局所刺激作用があることから、育毛剤に配合されることもある。

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g 貝津好孝 1995, p. 104.
  2. ^ a b c d e f g h i 馬場篤 1996, p. 80.

参考文献[編集]

  • 貝津好孝『日本の薬草』小学館〈小学館のフィールド・ガイドシリーズ〉、1995年7月20日、104頁。ISBN 4-09-208016-6 
  • 馬場篤『薬草500種-栽培から効用まで』大貫茂(写真)、誠文堂新光社、1996年9月27日、80頁。ISBN 4-416-49618-4 

外部リンク[編集]