デモイン級重巡洋艦

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デモイン級重巡洋艦
USS Newport News CA-148
艦級概観
艦種 重巡洋艦
艦名 都市名。一番艦はアイオワ州デモインに因む。
前級 ボルチモア級重巡洋艦
次級 ウースター級軽巡洋艦
性能諸元
排水量 17,000トン
全長 218.4 m (716 ft 6 in)
全幅 23.0 m (76 ft 6 in)
吃水 7.9 m (22 ft)
機関 ゼネラル・エレクトリック式ギヤード蒸気タービン2基/4軸
最大速力 33ノット (61 km/h)
航続距離 15ノットで10,500海里
(27.8 km/hで19,446 km)
乗員 1,799名
兵装 Mk.16 55口径203mm砲
(3連装砲塔として搭載)
9門
Mk.12 38口径127mm砲
(連装砲塔として搭載)
12門
Mk.22 50口径76mm砲
(Mk.33 連装砲として搭載)
24門
Mk.IV 20mm機関砲
(連装砲塔として搭載)
24門

デモイン級重巡洋艦(デモインきゅうじゅうじゅんようかん Des Moines class heavy cruiser)は、アメリカ海軍重巡洋艦の艦級。本級は重巡洋艦として建造された最後の艦級であった。ボルチモア級重巡洋艦を元に設計されたが、大型の8インチ新型速射砲が搭載された。

条約その他の制限を全く受けずに設計された本級の排水量弩級時代の戦艦並みに達し、自艦主砲の被弾に耐えられるだけの装甲が存分に施された。

概要[編集]

本級は、第二次世界大戦中の合衆国巡洋艦に課せられた二つの用途に沿って設計された。一つは駆逐艦群と連携しての敵水雷戦隊の迎撃及び敵艦隊への雷撃の支援任務であり、二つめは敵国領海での巡航及び襲撃、太平洋をまたぐ広大な兵站線の防衛といった単独作戦である。 大日本帝国海軍第一航空艦隊真珠湾攻撃による戦艦部隊全滅の影響が残る1942年までの段階で、巡洋艦は太平洋戦域における有力な水上戦闘艦であり、偵察・襲撃といった元来の役目から、高速空母任務部隊の護衛に加え、更には敵地上部隊への砲撃、水陸両用作戦における火力支援など、広範な任務を割り当てられ、任務部隊の要と位置づけられるようになった。 そうした中、CA-134デモイン級の設計は日本海軍の巡洋艦群と交戦、これらを効率よく撃破可能な火力を備えた艦の必要性から計画された。というのも、太平洋戦争前期における幾多の戦闘の中で、合衆国海軍は自分達の有する巡洋艦が、夜戦において日本の高速巡洋艦を撃破するのがほぼ不可能であると悟ったからである。この問題への解答として合衆国海軍は日本海軍の巡洋艦をアウトレンジ可能な新型速射砲である、8インチ自動砲を搭載した新型重巡洋艦の建造に踏み切った。アメリカ合衆国が建造した最後の水上砲戦用重巡であると同時に唯一Mark16新型8インチ自動装填砲を装備したこのクラスは、水上戦闘を主眼として設計された第二次大戦型の巡洋艦デザインの最高峰と言えよう。

主砲[編集]

前述の通りデモイン級の最大の特徴は、自動装填装置を備えた55口径8インチ自動砲Mk16である。かねてより艦船局はケース入り装薬を使用した大型速射砲の必要性を訴えていた。即ち、ウースター級軽巡洋艦に搭載された47口径6インチ両用砲Mk16と、本級の55口径8インチ対艦砲Mk16である。その自動装填装置によって、前級のボルチモア級重巡に搭載されたMk15の2.5倍以上の発射速度である1門辺り毎分7~10発の射撃が可能であり、当級はこの砲を3連装で3基9門装備した。再装填はどの仰角でも可能であったため、大口径砲でありながらも限定的な対空射撃が可能であったとされる。また、使用砲弾は重量152kgのSHSであり、実質的打撃力は在来艦を大幅に上回っていた。

対空兵装・レーダー等[編集]

太平洋で作戦展開するエセックス級航空母艦の護衛の為、他の合衆国巡洋艦と同様多数の対空火器を装備している。具体的には38口径5インチ連装両用砲Mk.12を6基、そして日本軍の特攻対策として開発された50口径3インチ連装両用砲Mk.33(当初はMk.27)を12基搭載し、加えて近接防御用の20ミリ連装機銃12基を装備した。 主砲の照準はMk.13射撃管制レーダーを有するMk.54射撃指揮装置にて行われる。5インチ砲はMk.25射撃管制レーダーを有するMk.37 砲射撃指揮装置によって管制される、また50口径3インチ砲は Mk.35射撃レーダーを有するMk.56 砲射撃指揮装置でコントロールする。また捜索用としてAN/SPS-6C対空捜索レーダーとSPS-8A高角測距レーダーを装備する。

船体・機関[編集]

本級は全長約218メートル、満載排水量約21,000トンの巨体を誇る、それまでに建造された最大の重巡洋艦であった。ここまで船体が大型化したのは、設計にあたり新型三連装砲の搭載と防御力の向上に伴う重量の増加を解決するため全長・全幅の拡大を図ったためである。機関出力は従来通り120,000軸馬力4軸推進のままであったが、船殻の大幅な延長は同時に造波抵抗を減少させ、前級のボルチモア/オレゴンシティ級重巡に比べて排水量が約4,000トン増大したにも拘わらず、速力にはほとんど影響が出なかった。

防御[編集]

防御面では、舷側装甲は101.6mmから最大152.4mmの厚さを備え、又艦首と艦尾の防御区画は127mmの装甲を持つ。水平装甲として88.9mmの主装甲に加えその上部に25.4mmの弾片防御甲板を施した。主要防御区画内には弾片防御効果を持った厚さ約19mmのST鋼製装甲隔壁を備えた。更に船体内部には被害区画を分断するため連続した防火扉を広範囲に渡って備えるという念の入れようであった。司令塔部分の装甲は101.6mmから165.1mmの厚さを持ち、主砲塔には最大で203.2mm、バーベットには160mmの装甲が施された。太平洋における主敵たる日本海軍の高雄型重巡洋艦の装甲防御力が主砲塔25mm、水平装甲46mm、舷側最大127mmであったことを考慮すると、仮に日米両軍の水上戦闘が発生した場合、砲撃戦において圧倒的に有利であることは想像に難くなかろう。

航空兵装[編集]

他のクラスと同様に、大戦中の水上戦闘で多数の合衆国製巡洋艦が沈没する原因の一つとなった航空燃料による火災の危険性を減少させる為、航空機の格納庫は艦尾に設置された。搭載機はハッチを通して格納庫へクレーンによって収容される。カタパルトは当初二基装備される計画であったが、結局搭載されなかったようである。というのは、1948年までの段階で、艦上ヘリであるシコルスキーHO3Sが従来の水上機に替わって巡洋艦に搭載され始め、1949年には完全に入れ替わってしまったからである。ゆえに戦後水上艦は後甲板をもっぱら艦載艇用のスペースとして用いることとなった(航空機用クレーンは短艇の揚げ降ろしにも大変有益な装備であった)。元来の水上機を用いた偵察艦としての役割は、既に巡洋艦から航空母艦へとシフトしていたのである。

運用・評価[編集]

水上戦闘を主任務とする伝統的な重巡洋艦としては、本級は優れた火力、速力、耐航性、防御力を発揮した。すくなくとも、第二次大戦型の戦闘においては、敵水上襲撃部隊から輸送船団や空母任務部隊を護衛する艦として最適なクラスであったと言える。しかしながら、ミサイル全盛時代を迎えた戦後の海軍力整備の観点からすると、砲撃による艦隊戦に勝利することを目的に建造された本級は、就役時点で既に旧式艦であったとも言える。加えて、ネームシップであるデモインが就役した1948年11月には、すでに敵水上艦艇との戦闘が生起する可能性はほとんど無くなってしまっており、この点からしても、本級の登場は遅すぎた。

しかしながら、デモイン級三隻の能力は陸上砲撃任務や、艦隊旗艦を務めるには最適なものであったため、一番艦デモイン (USS Des Moines, CA-134) は地中海に展開する第6艦隊旗艦に就き、二番艦セーラム (USS Salem, CA-139) は第6艦隊と大西洋艦隊第2艦隊旗艦を務め、三番艦ニューポート・ニューズ (USS Newport News, CA-148) は第2艦隊の旗艦を務めた。

同型艦[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]