バルプロ酸ナトリウム
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| バルプロ酸ナトリウム | |
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2-プロピルペンタン酸ナトリウム |
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| 識別情報 | |
| CAS登録番号 | 1069-66-5 |
| KEGG | D00710 |
| 特性 | |
| 化学式 | C8H15NaO2 |
| モル質量 | 166.20 |
| 外観 | 白色粉末 |
| 特記なき場合、データは常温(25 °C)・常圧(100 kPa)におけるものである。 | |
バルプロ酸ナトリウム (Sodium Valproate) は、抗けいれん薬と気分安定化薬作用がある有機化合物。略称はVPA。主にてんかん・双極性障害の治療として、一部では大うつ病の治療に用いられる。また片頭痛と統合失調症の治療にも使われている。 分子式は C8H15NaO2。特異なにおいがあり、水に溶けやすい。GABA(γ-アミノ酪酸)トランスアミナーゼを阻害することにより抑制性シナプスにおけるGABA量を増加させ、薬理作用を発現する。
一般的な副作用には、疲労感・振戦・鎮静や胃腸障害がある。加えて10%が可逆的な脱毛を経験する。[1]
2010年8月、脊髄を損傷したマウスに、神経細胞の元になる神経幹細胞を移植してバルプロ酸を注射したところ、歩行能力のある程度の回復が認められたとする報告を、奈良先端科学技術大学院大学の中島欽一教授らのグループが行った。iPSを用いた人間への応用が期待される。
目次 |
[編集] 薬理
バルプロ酸は、人間の脳の神経伝達物質 GABA機能に作用すると考えられている。 それは双極性障害の治療に用いられるリチウム塩に代わるものである。 作用の主なメカニズムは、GABAトランスアミナーゼを阻害し、GABA濃度を増加させると信じられている。 しかしながら近年、その他にいくつかの精神神経疾患に対してのメカニズムが存在すると提案されている。[2]
バルプロ酸はまた、電位依存性ナトリウムチャネルとT型カルシウムチャネルをブロックする。これらのメカニズムによりバルプロ酸は広域スペクトル抗けいれん薬である。
バルプロ酸は ヒストン脱アセチル化酵素1(HDAC1)酵素阻害剤である。それ故にヒストンデアセチラーゼ阻害剤である。
[編集] 効能
抗けいれん薬として、バルプロ酸は欠神発作・強直間代発作(大発作)・複雑部分発作・レノックスガストー症候群に関連する若年性ミオクロニーてんかんの管理に用いられる。 またミオクローヌスの治療にも使用されている。一部の国では経口バルプロ酸の製剤は、 ステータスてんかん重積のセカンドライン治療として、フェニトインの代替としても使用されている。 バルプロ酸は心的外傷後てんかん治療に使用される最も一般的な薬の一つである。[3]
またバルプロ酸はFDAにより、躁病エピソードに関連する双極性障害、複数の発作型(てんかんを含む)の治療補助、および片頭痛の予防に承認されている。[4] 最近では神経因性疼痛(特にデルタ繊維から痛みを刺すような)を治療するセカンドラインの薬剤として使用されている。
[編集] 禁忌
- 重篤な肝臓障害のある患者(致死的な肝障害悪化の恐れ)
- カルバペネム系抗生物質との併用(バルプロ酸の血中濃度低下)
- 尿素サイクル異常症患者(高アンモニア血症の恐れ)
- 妊娠している者は原則として服用を避ける(催奇性・胎児への肝障害等発現、退薬症状発現の恐れ)
[編集] 副作用
- 精神神経系
傾眠、失調、ふらつき
- 消化器症状
悪心、嘔吐、食欲不振、胃腸障害、
- その他
全身倦怠感、脱毛、体重増加、カルニチン欠乏症など
- 重篤な副作用
致死的肝障害、高アンモニア血漿を伴う意識障害、血液障害(血小板・顆粒球の減少)、膵炎、催奇形性(胎児への影響)等[5]。
[編集] 製剤の種類
日本では協和発酵キリンからデパケン®、興和からセレニカ®などの商品名で販売されている。一日の服用回数が少なくて済むデパケン®R、セレニカ®Rという徐放剤もある。後発医薬品も多くの製薬会社より販売されている。
- 錠剤:100mg、200mg
- 錠剤(徐放剤):100mg、200mg、400mg
- (400mgはセレニカ®のみ)
- 細粒:20%、40%
- シロップ:50%
[編集] 用法・用量
- 1日400~1200mgを分割経口投与する。なお症状、年齢により適宜増量する。
- 治療効果が期待できる濃度域が限定されるため (50~100μg/ml)[6][7]、バルプロ酸 (Valproic acid; VPA) として血中濃度をモニタリングする必要がある。
[編集] 脚注
- ^ Gelder, M, Mayou, R. and Geddes, J. 2005. Psychiatry. 3rd ed. New York: Oxford. pp250.
- ^ Rosenberg G (2007). “The mechanisms of action of valproate in neuropsychiatric disorders: can we see the forest for the trees?”. Cellular and Molecular Life Sciences 64 (16): 2090?103. doi:10.1007/s00018-007-7079-x. PMID 17514356.
- ^ Posner E, Lorenzo N (October 11, 2006). "Posttraumatic epilepsy". Emedicine.com. Retrieved on 2008-07-30.
- ^ “FDA Issues Approvable Letter For Stavzor Delayed Release Valproic Acid Capsules”. 2007 MediLexicon International Ltd. (2007年10月25日) 2007年10月29日閲覧。
- ^ EasyTDM
- ^ 「うつ」と「躁」の教科書 ブライアン・P・クイン=著 大野裕=監訳 岩坂彰=訳 p.226
- ^ 三菱化学メディエンス バルプロ酸ナトリウム/臨床検査の三菱化学メディエンス