デスマーチ
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デスマーチ (death march) とは、戦時に苛烈な状況で行われる、健康や生命をかえりみない行進、行軍のこと。これに参加するのは多くの場合囚人や捕虜であり、しばしば多数の死者を出す。死の行進、死の行軍等と訳される。
転じて、過酷な状況にある労働環境を、特にソフトウェア産業における過酷な状況にあるプロジェクトを指す。
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[編集] 第二次世界大戦のデスマーチ
この語が最初に使用されたのは、1944年 - 1945年の冬にナチス・ドイツによって行われた囚人(ほとんどはユダヤ人であった)の強制移動に対して後年の歴史家が名付けたもので、前線の迫った強制収容所の破棄にあたって何千もの囚人が他の収容所やドイツ領内へ移動させられた (en:Death marches (Holocaust)) 。
この語は後に他の同様な出来事に対しても用いられた。デスマーチでは囚人達に銃口を突きつけて歩かせ、水も食料も雨風をしのぐ場所もなく行進が続けられ、脱落した者は銃殺された。アジアでは、日本軍の「バターン死の行進」が知られる。ソ連によるドイツ人追放、チェコスロバキアによるズデーテン地方やブルノからのドイツ人追放、カンボジアのクメール・ルージュ支配下における都市からの住民強制脱出にもデスマーチが見られた。古くはチェロキー族インディアンの強制移動(涙の道)オスマン帝国によるアルメニア人追放にも「死の行軍」は見られる。
[編集] ソフトウェア産業でのデスマーチ
ソフトウェア産業において、デスマーチとは、長時間の残業・徹夜・頻繁な休日出勤といった、プロジェクトメンバーに極端な負荷を強い、しかも成功の可能性が薄いプロジェクトを主に指す。プロジェクトが死に向かって過酷な状況でメンバーが行進する、という意味で「デスマーチ」と呼ばれる。メンバーに心身ともに強い負担が生じるため、急激な体調不良、離職、開発の破棄ともとれる中途半端な状態での強引な納品、最悪の場合には過労死、自殺に至る危険性を孕んでいる。その発生要因はプロジェクトに対するマネジメント(プロジェクトマネジメント)が不適切であることとされている。
「デスマーチ」という言葉を広めたのは、エドワード・ヨードンであると言われている。ヨードンは、その著書『デスマーチ:なぜソフトウエア・プロジェクトは混乱するのか』で、デスマーチの定義を「プロジェクトのパラメータが正常値を50%以上超過したもの」もしくは「公正かつ客観的にプロジェクトのリスク分析(技術的要因の分析、人員の解析、法的分析、政治的要因の分析を含む)をした場合、失敗する確率が50%を超えるもの」としており、具体的には以下のいずれかに該当するものと定めている。
- 与えられた期間が、常識的な期間の半分以下である
- エンジニアが通常必要な人数の半分以下である
- 予算やその他のリソースが必要分に対して半分である
- 機能や性能などの要求が倍以上である
デスマーチの状態は簡単には解消しないため、長時間残業が常態化することによってデスマーチを当たり前のように感じ、デスマーチに甘んじる負の循環が生まれる。さらに、極度な長時間労働がプロジェクトメンバーの「努力している」という自負心につながり、あたかも奴隷が自分の足かせの重りを自慢するかのように過酷な残業を自慢する傾向が見られる場合がある。
ソフトウェア産業におけるデスマーチは、「デスマ」という略語が存在し広く通じる程にある意味では普遍的なものであり、プロジェクトがデスマーチの状況に陥ることを「デスマる」と称することがある。
[編集] 参考文献
- エドワード・ヨードン著 / 松原友夫・山浦常央訳, デスマーチ―なぜソフトウエア・プロジェクトは混乱するのか, シイエム・シイ(2001) ISBN 4-901280-37-6
- エドワード・ヨードン著 / 松原友夫・山浦常央訳, デスマーチ第2版ソフトウエア開発プロジェクトはなぜ混乱するのか,日経BP社 (2006) ISBN 4-8222-8271-6
[編集] 関連項目
- ホロコースト
- バターン死の行進
- サンダカン死の行進
- 涙の道
- スパゲティプログラム
- en:Death marches (Holocaust)
- en:Death march (software development)

