デスティエンヌ・ドルヴ級通報艦

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デスティエンヌ・ドルヴ級通報艦
Lieutenant de vaisseau Lavallée.jpg
リュートナン・ド・ヴェソ・ラヴァレ」(F790)
艦級概観
艦種 通報艦コルベット
就役期間 1976年 - 就役中
前級 コマンダン・リヴィエル級
次級 フロレアル級
性能諸元
排水量 基準:1,175t
満載:1,410t
全長 80.5m
全幅 10.3m
吃水 5.6m
全高 26m
機関 SEMT ピルスティク 12PC2V400 ディーゼルエンジン (8,825 kW/11,835 hp) 2基
スクリュープロペラ 2軸
速力 24ノット
航続距離 4,500海里(15ノット巡航時)
乗員 士官7名+海曹63名+海士20名
兵装 Mle.68 100mm単装速射砲 1基
F2 20mm単装機銃 2基
12.7mm機銃 4挺
ミストラル近SAM連装発射機 1基
エグゾセMM40 SSM 4基
L5 550mm魚雷発射管 4基
C4I シラキューズ衛星通信システム
Vega戦術情報処理装置
レーダー DRBV-51A 対空・対水上捜索用 1基
DRBC-32E 射撃指揮用 1基
デッカ1126型 航法用 1基
ソナー DUBA-25 船底装備式
電子戦
対抗手段
ARBR-16 電波探知装置
AMBL-1A 34連装デコイ発射機 2基
AN/SLQ-25対魚雷デコイ

デスティエンヌ・ドルヴ級通報艦フランス語: Aviso Classe D'Estienne d'Orves, : D'Estienne d'Orves-class aviso)またはA69型通報艦(Aviso A69)は、フランス海軍通報艦1976年から1984年にかけて17隻が建造され、アルゼンチン海軍に3隻が輸出されたほか、フランス海軍の退役艦をトルコ海軍が購入して運用している。

来歴[編集]

フランス植民地帝国の最盛期と比べれば縮小したとはいえ、アルジェリア戦争後の1960年代末においても、フランスは世界各地に海外県・海外領土を有しており、海軍はそれらの地域での洋上警備・救難任務に充当するための艦艇を擁していた。一方、同時期に植民地の独立戦争を戦っていたポルトガル海軍は、同様のニーズに対応するためジョアン・コーチニョ級コルベットを建造・配備した。これは現代の通報艦とのコンセプトのもと、沿岸〜近海域における警備・救難および対地火力投射任務を遂行できる低コストのコルベットとして開発されており、良好な評価を受けた。これを受けて、同様のコンセプトに基づくフランス版として開発されたのが本級である[1]

なお当初の計画では、同一の設計に基づいて、通報艦としてのA69型と、艦隊護衛艦としてのA70型が設計され、ル・コース級フリゲートE50型)、ル・ノルマン級フリゲートE52型)、コマンダン・リヴィエル級フリゲートを更新して35隻が配備される予定であったが、最終的に前者のみが実現し、配備数も17隻に削減された[2]

設計・装備[編集]

写真は「コマンダン・ビロ」。

運用人員の削減と、海外県・海外領土の比較的簡易な港湾設備でも運用できる必要から、小型化が強く要請された。小型の艦型で船内容積を確保するため、中央船楼型が採用された。また海外展開の必要上から長距離航続性能が要求されたため、ディーゼル主機が採用されており、V型12気筒中速ディーゼルエンジンであるSEMT ピルスティク12PC2 V400(12,000 bhp)が2基、両舷2軸の推進器(可変ピッチ式スクリュープロペラ)に1基ずつ接続されている。なお、これはジョアン・コーチニョ級と同構成である。また「コマンダン・レルミニエ」のみ、より新しい高速ディーゼルエンジンであるSEMT ピルスティク12PA6 BTCを搭載している。また小型艦ながら航洋性が求められたことからフィンスタビライザーも装備された[3]

小さな船体規模に比して、兵装は充実している。ジョアン・コーチニョ級は防空火力・対水上火力は砲熕兵器のみという砲装型コルベットであったが、本級ではエグゾセMM40艦対艦ミサイルが搭載され、主砲も大口径のMle.68 100mm単装速射砲(のちにCADAM改修)とされた。メインセンサーとなる対空・対水上レーダーとしてはDRBV-51 トリトンが搭載される。これはCバンドの2次元レーダーで、レーダー反射断面積2m²(小型戦闘機相当)の空中目標を30kmで探知できる[4]。これを中核とした戦術情報処理装置としてVegaも搭載された[5]

また1980年代末の近代化改装で、AMBL-1A 34連装デコイ発射機やAN/SLQ-25対魚雷デコイが搭載されるとともに550mm魚雷発射管に対潜攻撃能力が付与された。一部艦にはミストラル近接防空ミサイルのSIMBAD連装発射機も搭載されている。一方で、就役当初は375mm対潜ロケット6連装発射機を搭載していたが、改装に伴い順次降ろされている[3]

配備[編集]

冷戦期には大西洋に展開し、沿海域を中心にした対潜哨戒・海外領土パトロールに用いられた。現在では、国際平和活動海上治安活動など戦争以外の軍事作戦にも用いられている。

現在ラファイエット級フリゲートにより一部の艦は更新され、8隻が既に退役した。そのうち、6隻はフランス海軍を除籍後にトルコ海軍に売却され、B級コルベットとなっている。残る9隻はFREMM計画艦により更新予定とされていたが、同計画の縮小に伴ってこの予定も不透明となっている。なおアルゼンチンへ輸出されたドゥルモン級の初期の2隻は、本来は南アフリカ海軍向けのグッド・ホープ級であったが、国際連合による制裁措置のため輸出が差し止められた艦を、アルゼンチンが購入したものである。

# 艦名 退役
F781 デスティエンヌ・ドルヴ
(D'Estienne d'Orves)
1999年、トルコ海軍コルベット F-503 ベイコズ(Beykoz)
F782 アミヨ・ダンヴィユ
(Amyot d'Inville)
1999年、トルコ海軍コルベット F-504 バルティ(Bartin)
F783 ドログー
(Drogou)
2000年、トルコ海軍コルベット F-501 ボドルム(Bodrum)
F784 デトロヤ
(Détroyat)
1997年
F785 ジャン・ムーラン
(Jean Moulin)
1999年
F786 カルティエ=メートル・アンクティル
(Quartier-Maître Anquetil)
2000年、トルコ海軍コルベット F-502 バンドゥルマ(Bandirma)
F787 コマンダン・ド・ピモーダン
(Commandant de Pimodan)
2000年、トルコ海軍コルベット F-500 ボズジャアダ(Bozcaada)
F788 スゴン=メートル・ル・ビアン
(Second-Maître Le Bihan)
2002年、トルコ海軍コルベット F-505 バフラ(Bafra)
F789 リュートナン・ド・ヴェソ・ル・エナフ
(Lieutenant de vaisseau Le Hénaff)
F790 リュートナン・ド・ヴェソ・ラヴァレ
(Lieutenant de vaisseau Lavallée)
F791 コマンダン・レルミニエ
(Commandant L'Herminier)
F792 プルミエ=メートル・レール
(Premier-Maître L'Her)
F793 コマンダン・ブレゾン
(Commandant Blaison)
F794 アンセーニュ・ド・ヴェソ・ジャクベ
(Enseigne de vaisseau Jacoubet)
F795 コマンダン・デュキン
(Commandant Ducuing)
F796 コマンダン・ビロ
(Commandant Birot)
F797 コマンダン・ブーアン
(Commandant Bouan)

ドゥルモン級[編集]

艦番号 艦名 就役
P-31 ドゥルモン
(Drummond)
1978年、南アフリカ海軍艦グッド・ホープとして建造
P-32 ゲリコ
(Guerrico)
1978年、南アフリカ海軍艦トランスバールとして建造
P-33 グランビーレ
(Granville)
1981年

参考文献[編集]

外部リンク[編集]