デイノテリウム
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デイノテリウム全身骨格
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| 地質時代 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 中新世前期 - 更新世前期 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| Deinotherium Kaup, 1829 |
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| 種 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
デイノテリウム (Deinotherium) は新生代中新世中期から更新世前期にかけての約2,400万 - 約100万年前に生息した、絶滅したゾウの属。哺乳綱 - アフリカ獣上目 - ゾウ目 - デイノテリウム科に属する。下顎から下方に向かって生えた牙が特徴の一つ。「ディノテリウム」あるいは「ダイノテリウム」と呼ばれる事もあるが、正しい呼称ではない[1]。
目次 |
形態[編集]
初期の種は比較的小型であったが時代とともに大型化し、肩高は最大種 D. giganteum で約4m[1]、体長は約5mに達した。既知のゾウ目では最大級、陸生哺乳類でもインドリコテリウム(パラケラテリウム)に次ぐ大きさとなる。しかし、形態自体はデイノテリウム属の歴史を通じて変化は無かった[1]。最大の特徴は下向きやや内側に向かって生えた一対の下顎切歯であるが、これは現生のゾウの様な柔らかい象牙質ではなく硬い材質であった[2]。また上顎には牙を持たなかった。臼歯は畝状歯(ロンフォドント)と呼ばれる、咬合面が畝状を成し畝が横向きに並ぶ形の歯を持ち、第一臼歯には3列、それ以降の歯には2列の畝を持つ[1]。歯列は通常の哺乳類と同様顎に列をなして並んでおり、水平交換[3]される事は無い[4]。低く長い頭骨は現生のゾウとはかなり異なっているが鼻孔は高い位置にあり、長い鼻を持っていたと推定されている[1]。胴体、四肢は現生のゾウと類似していた。
生態[編集]
奇妙な下顎切歯の使途についてはこれまで様々な説が出されている。この牙には摩耗の跡がはっきりとついており、単なるディスプレイで無かったのは確かなようである。一つは地中から植物の根を掘り起こすために使われていたとされる説であるが、頭部の位置が高いためこれを行うためには深く膝を折らねばならず、非効率であるとされた。現在ではおそらくは樹皮などを剥ぎ取る為に使われたとされているが、樹皮はあくまで副食であったと推定されている。採食には専ら鼻を使い、木の葉などを巻き取って食べていたであろう。また、現生のゾウは岩塩を掘って食べる事が知られているが、かれらはこの牙をそうした用途に使ったとする意見も存在する。[5][6]
発見[編集]
1829年、ドイツ、エッペルハイムで最初に発見されたのは特徴的な下顎切歯の付いた下顎骨のみであった。しかしこれは半分に折れていたため、発見者のカウプは当初切歯を上向きに復元し、カバの様な巨大な水棲生物であるとして「恐ろしい獣」を意味する学名をつけて発表した。しかし1833年に再び発見された下顎骨は保存状態が良く、当初の復元の切歯の向きが誤りである事が明らかになった。カウプはこれを地上棲のナマケモノと修正した。他には海牛類やサイであるとの説も出された。その後断片的な化石の出土が相次ぎ、ゾウの類縁ではないかとされる様になったが、完全な骨格の発見は1908年まで待たねばならなかった。[7]また、その鼻についてもバク程度から現生種と同程度と復元の長さにもばらつきがあったが、水を飲むための必然性などから、現在は現生種並みの長さであったとされている。[8]
分布・生息域[編集]
アフリカ(ケニア)、ヨーロッパ(ドイツ、チェコ、ボヘミア)、アジア(インド)から化石が出土。湿潤な森林の水辺に棲んでいたと推定されている。初期のデイノテリウム科がアフリカから発見される事から、デイノテリウムはアフリカに現れ、ユーラシアへと進出していったのであろう。中新世にはテチス海の縮小とともにアフリカとアジアが地続きとなり、陸橋を通ってアジア、ヨーロッパに拡散していたが[6]、鮮新世以降の生息域はアフリカに限られる[1]。種 D. bozasi はアフリカ東部から多数化石が出土している[9]。
更新世に至り地球が寒冷化し始めると、かれらは環境の変化に対応出来ず、多くの長鼻目とともに絶滅したとされる。しかし、デイノテリウム属は中新世、鮮新世、更新世三つの地質時代にまたがって生きた、成功したグループであるといえる。
人間との関係[編集]
アフリカのオルドヴァイ (Olduvai) 層からはアウストラロピテクスが使用したと推定される石器とともにデイノテリウムの化石が発見されている。これは、人類がこのゾウを狩っていた証拠とされる事もあるが、その是非は定かではない[10]。初期の人類は石器を使って大型動物の死体から肉などの部位を剥ぎ取って食べることを頻繁に行っていたと推測され(屍肉食)、むしろそういった行為の跡であった可能性すらある。
脚注[編集]
関連項目[編集]
- プロデイノテリウム - 中新世前期に生息した初期のデイノテリウム科。小型であるが、既に下向きの牙を持つ。
- ゾウ - ゾウ科。現生群。
- インドリコテリウム - 史上最大とされる陸生哺乳類。正式名パラケラテリウム。
- 絶滅した動物一覧
参考文献[編集]
- 富田幸光 『絶滅哺乳類図鑑』 伊藤丙雄、岡本泰子、丸善、2002年、188, 190頁。ISBN 4-621-04943-7。
- エドウィン・ハリス・コルバート・マイケル・モラレス 『脊椎動物の進化(原著第5版)』 田隅本生、築地書房、2004年、478 - 480頁。ISBN 4-8067-1295-7。
- 今泉忠明 『絶滅巨大獣の百科』 日本ネコ科動物研究所編、データハウス〈動物百科〉、1995年、78 - 80頁。ISBN 4-88718-315-1。
- ティム・ヘインズ・ポール・チェンバーズ 『よみがえる恐竜・古生物』 群馬県立自然史博物館、椿正晴訳、ソフトバンククリエイティブ、2006年、178 - 179頁。ISBN 4-7973-3547-5。
- 実吉達郎 『サーベルタイガーとマンモスはどちらが強かったか : 古代猛獣たちのサイエンス』 PHP研究所、1990年、142 - 147頁。ISBN 4-569-52738-8。