テメレア戦記

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テメレア戦記
ジャンル ファンタジー歴史改変SF
小説
著者 ナオミ・ノヴィク
イラスト Dominic Harman
出版社 アメリカ合衆国の旗 デル・レイ・ブックス
日本の旗 ヴィレッジブックス
刊行期間 2006年3月28日 -
巻数 アメリカ合衆国の旗 7巻
日本の旗 4巻
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ポータル 文学

テメレア戦記』(テメレアせんき、原題:Temeraire)は、2006年3月から刊行されている、ナオミ・ノヴィクによるアメリカ合衆国歴史ファンタジー小説シリーズ。2007年12月からは那波かおりの翻訳による日本語版も刊行されている。

目次

概要[編集]

ナポレオン戦争時代のイギリスが舞台。実在する国家や人物を交えながら、古代からドラゴンが存在し、人間と深い関わりを持っているというパラレルワールドが描かれており、ファンタジー小説および歴史改変SFとしての側面を併せ持つ。世界観についての詳細は下記参照。

本シリーズのスタートは、もともとゲームクリエイターとして働いていた著者が、もっと自由に創作できるようにと小説を書き始め、それを出版社に送ったことがきっかけとなっている。2003年の春ごろから小説を書き始め、シリーズ第1巻『気高き王家の翼』(原題:His Majesty's Dragon)をエージェントを通して出版社に送る。その後出版社からの要請で、第2巻『翡翠の玉座』(原題:Throne of Jade)、第3巻『黒雲の彼方へ』(原題:Black Powder War)のシノプシスを書き上げ、それが2005年の暮れに編集者に渡り、刊行が決定した。

第1巻は2006年3月にアメリカデル・レイ・ブックスより刊行。その後シリーズは第3巻まで3ヶ月間連続で刊行された。

シリーズはローカス賞第一長編部門を受賞。また第1巻『気高き王家の翼』はコンプトン・クルック賞を受賞し、新人の作品であるにもかかわらずヒューゴー賞にもノミネートされた。またナオミ・ノヴィクはジョン・W・キャンベル新人賞を受賞した。

シリーズは2012年3月現在、英語版が第7巻まで、日本語版が第4巻まで刊行されている。

2006年ピーター・ジャクソンが本作品の映画化権を獲得している。

あらすじ[編集]


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


時代は19世紀初頭、ナポレオン戦争の渦中。イギリス戦艦リライアント号が、一隻のフランス艦を拿捕した。リライアント号の艦長、キャプテン・ローレンスは、戦利品の中に竜の卵を発見する。人間と絆を結んだドラゴンは国家にとって代えがたい戦力となる。同時に、ドラゴンのパートナーとなった者は、人並みの生活を放棄してドラゴンと生活を共にしなくてはならない。孵化が近いことを船医から聞かされた彼は、自分を含めた乗組員の中からドラゴンのパートナーとなる人物をくじ引きで選び出すことを決意する。そして、一人の若い海尉が選ばれた。前途ある若者の人生の激変に同情を隠しえないローレンス。だが、孵化した竜の子がパートナーとして選んだのは、他でもないローレンスだった……。

世界観とドラゴン[編集]

本書の世界観は史実がベースとなっている。筆頭として主人公テメレアの名前が19世紀当時に実在したイギリスの戦艦、テメレア号に由来するほか、登場する地名及び人名等には実在のものが多数使用されている。そのため、ファンタジー小説であると同時に、歴史小説にもカテゴライズされる。時系列、舞台設定共に現実の世界を元に構成されている本書であるが、これにファンタジーとしての側面を与えているのがドラゴンの存在である。

本書のドラゴンは動物の一つとして描かれており、世界中に分布している。多くの種は、鱗の表皮に包まれた四肢と尾に加えて翼を持つ、典型的な西洋のドラゴンの容姿をしている。総じて知性が高く、人間と共存するドラゴンは人語を解する。これに関しては種族差があり、人間よりもはるかに賢いものから、簡単な会話を理解できる程度のものまで、千差万別である。ドラゴンは卵の中にいるときに言葉を覚えるとされており、孵化してすぐに言葉を話す。また、人間と接することのない野生のドラゴンであっても、ドラゴン特有の言語を用いて同種族との意思疎通を行うとされている。作中ではドゥルザグ語と呼ばれるドラゴン独自の架空の言語が登場する。種族による差異が最も大きいのは体格で、小型種は成獣でも馬二頭分ほどの大きさであるが、大型種は全長数十メートルにも達する。また、大型種ほど長寿の傾向が強い。いずれも雌雄の区分を持ち、卵を産んで繁殖する。

ドラゴンの飛行能力と身体能力から生じる軍事利用性は古くから認められており、その利用や品種改良が各国で盛んに行われている。現実世界においては、舞台となる19世紀初頭には空軍という概念自体が存在していないが、作中ではドラゴンを用いた飛行部隊が古代から戦争に投入されている。

登場人物[編集]

人間[編集]

イギリス[編集]

  • ウィリアム・ローレンス(William Laurence)
若くしてリライアント号の艦長を務めていた優秀な軍人。年齢は30歳前後。12歳からイギリス海軍に身をおいていた。テメレアと出会い、以後、空軍へと転属する。当初はテメレアの担い手になったことを嘆いていたが、テメレアと心を通わせるうち、次第に分かち難い絆で結ばれていく。
しかし、中国での体験から、テメレアは中国で暮らしたほうが幸せなのではないか、またイギリスでのドラゴンの待遇改善を目指し始めたテメレアにどのように接すれば良いか、葛藤を抱えるようになる。
  • トム・ライリー(Tom Riley)
ローレンスの親友。彼が海軍を去った後、リライアント号のキャプテンを引き継いだ。
  • エドワード・ハウ卿(Edward Howe)
ドラゴン専門家。テメレアの種を特定した人物でもある。
  • ジョン・グランビー(John Granby)
テメレアの副キャプテン。後にイスキエルカとパートナーになる。
  • ジェームズ(James)
逓信使。竜はヴォラティルス。
  • バークリー(Berkley)
キャプテンにして、ローレンスの訓練同期生。竜はマクシムス。恰幅のよい、ざっくばらんな男。
  • キャサリン・ハーコート(Catherine Harcourt)
女性のキャプテン。竜はリリー。リリーの孵化が予定よりも数年早かったため、若くしてキャプテンとなった。
  • ジェレミー・ランキン(Jeremy Rankin)
名門出身のキャプテン。竜はレヴィタス。社交を重んじる反面、ドラゴンに対する愛情は希薄な男。
  • ホリン(Hollin)
テメレアの地上クルー。心優しい青年。
  • エミリー・ローランド(Emily Roland)
テメレアのチームに所属する少女。見習い生。ジェーン・ローランドの娘。
  • ジェーン・ローランド(Jane Roland)
女性のキャプテン。竜はエクシディウム。一児の母でありながら、第一線で活躍する軍人。
  • レントン(Lenton)
イギリス海峡師団司令長官。竜はオヴェルサリア。
  • アーサー・ハモンド(Arthur Hammond)
中国との交渉のために送り込まれてきた政府の役人。20歳ほどに見える若者だが、国家の重責を担う。
  • サルカイ(Tharkay)
ローレンスとテメレアの一行がマカオで雇ったオスマン帝国への道案内。

中国[編集]

  • ヨンシン皇子(Yongxing、永瑆)
乾隆帝の第十一皇子であり、嘉慶帝の兄。実在の人物。テメレアを本国へ連れ帰ろうと、使節をつれてはるばる中国からイギリスへとやってくる。
  • スン・カイ(Sun Kai)
ヨンシン皇子と共にやってきた代表使節の一人。額を剃りあげた長身の若者。
  • リウ・バオ(Liu Bao)
ヨンシン皇子と共にやってきた代表使節の一人。顎鬚をたらした恰幅の良い男。

ドラゴン[編集]

イギリス[編集]

  • テメレア(Temeraire)
中国産の希少種である大型のドラゴン。
もともとは中国からフランスへと卵の状態で贈られたものであったが、イギリス艦に拿捕され、その船上で孵化を迎えた。孵化の前に中国語、フランス語、英語に触れる環境にあったため、例外的に三ヶ国語に堪能。後にさらにオスマン語ドイツ語、ドゥルザグ語を習得する。優れた俊敏性と戦闘能力に加えて驚異的な知能を有する。当初はインペリアル種と断定されていたが、第1巻の最後で、中国産の最高品種であるセレスチャル(天の使い)種だということが判明する。中国名はロン・ティエン・シエン(Lung Tien Xiang、龍天翔)。
中国で人間とドラゴンの間の隔たりや差別の少なさを目の当たりにし、イギリスでも同様にドラゴンの権利を確立したいと考えるようになる。
  • イスキエルカ(Iskierka)
火噴きのカジリク種の雌ドラゴン。パートナーはグランビー。
ローレンス達がイギリスからの手紙でオスマン帝国から譲り受けるよう命令された際、受け取ることになっていた卵から生まれた。実際にはリエンの策略によって卵の受け渡しはなされなかったが、オスマン帝国から脱出する際に強奪した。しかしイギリス本国へ帰還する前に孵化が始まってしまい、急遽グランビーが担い手を務めることになった。なおイスキエルカという名前はグランビーではなく孵化の際に自分で名づけたもの。由来はポーランドの子守唄から。
  • ヴォラティルス(Volatilus)
小型種。パートナーはジェームズ。飛行能力に特化した品種改良種だが、その過程で知性が犠牲となっている。
  • マクシムス(Maximus)
テメレアと仲の良いドラゴン。パートナーはバークリー。イギリス最大の大型種、リーガル・コッパー種の雄。
  • リリー(Lily)
強酸を吐く能力を持つ大型種、ロングウィング種の雌。パートナーはハーコート。この種は女性のパートナーしか受け付けない。
  • レヴィタス(Levitas)
小型種、ウィンチェスター種のドラゴン。パートナーのランキンから過酷な扱いを受けている。偵察に行った際、敵の攻撃を受け、他界してしまった。
  • ケレリタス(Celeritas)
ロック・ラガン基地のトレーニングマスターを務める中型のドラゴン。自称200歳。二代に渡ったパートナーはどちらも他界している。
  • エクシディウム(Excidium)
ロングウィング種の雄。パートナーはジェーン。この種の特性として、女性のパートナーを選んでいる。
  • オヴェルサリア(Obversaria)
中型種、アングルウィングの雌。パートナーはレントン空将。

中国[編集]

  • ロン・ティエン・チエン(Lung Tien Qian)
セレスチャル種の雌。テメレアの母。
  • ロン・ティエン・リエン(Lung Tien Lien)
セレスチャル種の雌。担い手はヨンシン皇子。純白の体であり、中国では白は縁起の悪い色とされるため国外へ送り出されそうになったところを、ヨンシン皇子が引き受けた。科挙で一位をとるほどの優秀な頭脳を持つ。
  • ロン・ティエン・チュワン(Lung Tien Chuan)
セレスチャル種の雄。テメレアの双子の兄であり、ローレンスも違いをうまく言葉に出来ないほどに似通った容姿を持つ。
  • ロン・チン・メイ(Lung Qin Mei)
インペリアル種の雌。深いブルーの体色。里帰りしたテメレアに学問の手ほどきをする。テメレアの初恋相手。

オスマン帝国[編集]

  • ベザイド(Bezaid)
火を噴くカジリク種の雄。オスマン帝国スルタンに仕える。
  • シェヘラザード(Sherazde)
カジリク種の雌。ベザイドと同じくスルタンに仕えるドラゴン。

野生[編集]

  • アルカディ(Arkady)
ローレンスとテメレアの一行がオスマン帝国への旅路の途中で遭遇した野生ドラゴンの群れのリーダー。
  • ガーニ(Gherni)
アルカディの群れに所属するドラゴン。わずかながらオスマン語を話すことができる。
  • モルナル(Molnar)
アルカディの群れに所属するドラゴン。

シリーズ一覧[編集]

英語の原作はデル・レイ・ブックスより、那波かおりによる日本語版はヴィレッジブックスより刊行。

  • 第1巻 『気高き王家の翼』(原題:His Majesty's Dragon
英語:2006年3月 ISBN 978-0345481283
日本語:2007年12月 ISBN 978-4863325968
  • 第2巻 『翡翠の玉座』(原題:Throne of Jade
英語:2006年4月 ISBN 978-0345481290
日本語:2008年12月 ISBN 978-4863321144
  • 第3巻 『黒雲の彼方へ』(原題:Black Powder War
英語:2006年5月 ISBN 978-0345481306
日本語:2009年12月 ISBN 978-4863322080
  • 第4巻 『象牙の帝国』(原題:Empire of Ivory
英語:2007年11月 ISBN 978-0345496874
日本語:2011年7月 ISBN 978-4863323339
  • 第5巻 邦題未定(原題:Victory of Eagles
英語:2008年7月 ISBN 978-0345512253
  • 第6巻 邦題未定(原題:Tongues of Serpents
英語:2010年7月 ISBN 978-0345496898
  • 第7巻 邦題未定(原題:Crucible of Gold
英語:2012年3月 ISBN 978-0345522863

関連事項[編集]

外部リンク[編集]