テトリス ザ・グランドマスター

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テトリス ザ・グランドマスター
ジャンル パズルゲーム
対応機種 アーケード
開発元 アリカ
発売元 カプコン
人数 1人、2人 (対戦、または同時プレイ)
発売日 1998年8月
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テトリス ザ・グランドマスター』 (TETRIS:THE GRAND MASTER) は、アリカ制作のビデオゲーム。通称は「The Grand Master」の頭文字を取った『TGM』(てぃーじーえむ)。

基本的な部分は1988年セガが制作・発売した、アーケード(セガ・システム16)版『テトリス』をベースとしており、ゲームプレイ自体は従来のテトリスから大きく変わっていないが、従来のテトリスの最高速を超えた独自の最高速「20G」が存在するという点、また「グランドマスターの称号を獲得する」という明確な最終目的が存在しているという点などにおいてそれまでのテトリスと大きく異なっていた。

競技性を追求したシステムを多く導入したことや、容易に解明できない、多くの隠し要素を持つことから、今まで発売されたテトリスの中でも最も上級者向けの作品とされる。

シリーズのプロデューサーはアリカの副社長である三原一郎。1作目のディレクターも担当している。

1作目はカプコン販売で、1998年アーケードゲームとして登場した。本稿はこの『テトリス・ザ・グランドマスター』の1作目について記述する。

概要[編集]

テトリスの基本的なルールについてはテトリスを参照。

ブロック(テトリミノ)をひたすら消しつづけ、レベルと呼ばれる数値を999にまで上げるのが目的。レベルが上がるにつれて、テトリミノの落下速度が速くなり難易度が上がる。

従来のテトリスにおける「レベル」といえば、単にテトリミノの落下速度のみを指しており、レベルが上がるための条件としては「各レベルで規定された一定数のラインを消す」ことであり、ラインを消さない限りいくらテトリミノを落下させてもレベルは上がらず、落下速度も固定されたままなのが主流であった。

TGMシリーズにおいては「レベル」の概念が根底から異なっており、テトリミノの落下速度というより、ゲーム全体の進度を示す指標という形で扱われており、これは次作『TA(P)』以降にも継承されている。

レベルはテトリミノが上から出現する瞬間に1つ上がり、また、ラインを揃えてブロックを消すとそのライン数がレベルに加算される。ただし、レベルの下二桁が99 (99、199、299…)、および 998 になると、テトリミノが上から出現してもレベルが増えず、ラインを揃えるまで上がらなくなる。

そして、レベルが500に達すると実質的な無限大といえる落下速度「20G」の状態となる(後述)。

レベルが999になるとエンディングが始まり (後記するグレードが "GM" の場合は、ゲームが続いているまま、背景にスタッフロールが流れる)、エンディングが終了すると強制的にゲームオーバーとなる。他のテトリスとは異なり、無限には続かない。

なお、このゲームではグレードとタイムを競う。得点も画面に表示されるが、他のテトリスとは異なりネームエントリーをしてもランキングには記録されない。

ゲームシステム[編集]

このゲームには、従来のテトリスにはなかった独自のシステムが多く存在し、次作以降のシリーズにも搭載されている。

そして、「TLS」「テトリミノの出現を補正するシステム」が後のガイドラインにも採用されている。

20G[編集]

レベルが500に達すると、20Gと呼ばれる状態になる。20Gでは落下速度が実質的に無限大となり、テトリミノが画面上に出現したときには既に地面に接地している状態になる。詳しくはテトリス#追加ルールを参照されたい。

ちなみに20Gという名称は、フィールドの高さがブロック20段分であり、その高さを1/60秒で落ちることから名付けられた。

GRS(段位システム)[編集]

このゲームには GRS(Grade Recognition System) と呼ばれる段位システムが搭載されている。グレード(GRADE) (いわゆる「段位」) と呼ばれる表示があり、得点が一定量に達すると昇格する。

グレードは最下級の "9" (いわゆる「九級」に相当) から始まり、昇格すると "8", "7"…と段階的に数字が下がっていく。そして1の状態で昇格すると "S1" (いわゆる「初段」に相当) となり、"S1" から昇格すると "S2", "S3"…と数字が上がっていく。

得点で得られる最高のグレードは "S9"(120,000点以上を達成)で、真の最高グレードである "GM" (グランドマスター) の称号を獲得するには、グレードが "S9" でなおかつ「他の条件」が必要となる。

GMになるために必要な「他の条件」とはどのようなものかは稼働から10年以上経った現在も公開されていない。目安として「レベル300でS1、レベル500でS4、クリア時にS9でかつ13分30秒を切ること」といわれることがあるが、この条件を満たしてもなおGMへ昇格しないことが多々あり、また三原が多くを明かさないため、明確な条件は解明されていない。

IRS(先行回転システム)[編集]

Initial Rotation System(IRS) と呼ばれるこのシステムは、テトリミノが画面に出現する瞬間に回転ボタンが押し続けていることで、あらかじめ回転されている状態にすることができるものである。一見すると大きな意味のないように思えるシステムだが、落下速度が20Gに近づくにつれて瞬間的な操作を求められるため、特にテトリミノの形が4通りあるL字・逆L字・T字型では非常に重要な役割を担っているシステムである。

TLS(落下位置表示システム)[編集]

Temporary Landing System(TLS) というシステムが搭載されており、レベルが0 - 99の間、テトリミノをそのまま下に落としたときの位置をテトリミノの影で知らせてくれる(このシステムは後のガイドラインで、ゴーストブロックとして採用されることになる)。隠しコマンドにより常時出現させることも可能だが、レベル300あたりから20Gに近い高速で落下するためほとんど意味がなくなり、完全な20Gに達する500を境に消滅する。

テトリミノの出現を補正[編集]

従来のテトリスでは、次に出現するテトリミノを決めるアルゴリズムは単に乱数で決定するだけでしかないランダムなものであったため、運が悪いと乱数の偏りで同じ種類のテトリミノが3個か4個連続で落ちてくることもたびたびあった[1]

このゲームでは特定のテトリミノに偏らず均等になるよう「直近4ミノまでに出現した種類は再抽選され登場しにくくなる」補正がかけられているため、あまり運に左右されないプレイが可能である(この「テトリミノの出現を補正する」という概念もガイドラインで採用されているが、補正のアルゴリズムが異なっている[2])。

加えてゲーム開始時には「Z字形」「S字形」「四角形」のテトリミノが来ないようになっている。また以上の補正はL字/逆L字とZ字/S字の間で顕著であり、出現テトリミノに間があったとしても、どちらかが連続で落ちてくることはほとんどない。これを利用して「待ちがL字/逆L字の2択にしなければならない時」に、前回出たテトリミノを記憶しておく事により、確率の高い待ちにすることが可能である。

次のテトリミノによって音が変わる[編集]

このゲームでは、テトリミノが落ちてくるときに音が鳴る。その音は、NEXTに出現したテトリミノの形状によってそれぞれ違う。このことを利用すれば『テトリス ザ・グランドマスター3 -Terror Instinct-』のSHIRASEモードで途中からブロックの色が統一されてしまっても次のブロックを判断することが可能である。

シリーズ[編集]

1998年8月 『テトリス ザ・グランドマスター』(アーケード) 開発元:アリカ/発売元:カプコン
第一作。上記参照。
発売中止 『テトリス ザ・グランドマスター』(PlayStation) 開発元:アリカ/発売元:アリカ(当時予定)
アーケードで稼働した後、PSにも移植しようと1999年発売予定でアリカが開発を進めていたが、ザ・テトリス・カンパニーが突如「テトリスの商品化は1プラットフォームにつき1社のみ」とする方針を発表したことにより、PS版の発売中止を余儀なくされた[3]
後にPSでは、2000年8月に本シリーズのシステムを一部搭載した『テトリス with カードキャプターさくら エターナルハート』がキャラゲーとしてアリカから発売された。
2000年10月テトリス ジ・アブソリュート ザ・グランドマスター2』(アーケード) 開発元:アリカ/発売元:彩京
通称『TA』。レバーを上に倒すことにより、一瞬でテトリミノを下まで落とし遊ばせることができるシステムが追加された。さらに、落下速度が20Gになってからも、テトリミノが接地されてから固定されるまでの遊び時間や、次のテトリミノが出現するまでの間隔(アニメーションにかかる時間)が少しずつ短くなり、難易度が大幅に上がった。
初心者向けの「NORMAL」モードと、前作と同じくレベル999を目指す「MASTER」モード、横に長いフィールドを2人同時で協力してプレイする「DOUBLES」モードを備える。前作の隠しモードであったREVERSE、UKI、MONOCHROは消滅。またプレイ内容と成績の目安となるメダルが登場する。
種類は
SK…テトリスの回数。
ST…セクション間の速度。
CO…2ライン以上の連続消しを連続して行う。
RO…テトリミノの回転数。
REゲームオーバー寸前からの復活。
AC…全消し
の6種で、各メダル金銀銅の3種がある。
今作でもS9以上の段位の出現条件は闇の中である以上に、次レベルまで○○○点と示す表示も消えたため、全てのランク条件が闇の中へと消えている。当初は「m」が最上位だと思われていたが、三原によって否定された。その後「Gm」が登場するものの、これも「Gmよりさらに上の級が2つ以上存在する」とコメントされている[4]
月刊アルカディアのハイスコアランキングでは、あまりにもm以上が出なかったため、ステージ数orランク重視のアルカディアとしては珍しく「m以上が出たとしてもm扱いにする」というルールになっている。
2000年12月 『テトリス ジ・アブソリュート ザ・グランドマスター2 PLUS』(アーケード) 開発元:アリカ/発売元:彩京
通称『TAP』。前バージョンであるTAが予想以上に売れて好評だったため、無償でこのバージョンに交換された。
GRSが存在せず、一定の間隔でフィールドの下から灰色のブロックがせり上がってくる「TGM+」モード、最初から20Gで、MASTERよりもさらに速度が上がる上級者向けの「T.A.DEATH」モードが新たに追加された。また、「DOUBLES」モードの必要クレジットが2から1へ下げられ、出し方も簡略化された。今回もGmで終わりと思われていたT.A.DEATHモードでGm以上があるなど、謎に溢れたランクシステムになっている。
2005年3月テトリス ザ・グランドマスター3 -Terror Instinct-』(アーケード) 開発元:アリカ/発売元:タイトー
通称『TI』。世界基準で規定されている「ホールド」の要素が追加され、NEXTテトリミノが3つまで表示されるようになった。また、従来作とほぼ同じ操作系統の「クラシックルール」と、世界基準に近い「ワールドルール」が選択でき、それぞれでテトリミノの色や回転法則、操作性が異なる。ただしインフィニティで無限に回転できると、半永久的にゲームの進行を止めてしまうことができ、アーケードゲームとして不都合なため、回転ボタン8回押し + 移動10回分に制限されている。
初心者向け「EASY」モード、ステージクリア型「SAKURA」モード、従来通りレベル999でGmを目指す「MASTER」モード、T.A.DEATHに相当する超上級者向け「SHIRASE」モードがある。SHIRASEのランク法則は大体解明されたが、現在確認されている「S13」の上がある、MASTERも「GM」の上があるなどの噂が飛び交っているのは変わらない。また、MASTERモードの増速タイミングはプレー内容(レベル通過時間)によって変動し、タイムが短くなり高グレードになるほど20G突入レベルが前倒しされる。
2005年12月テトリス ザ・グランドマスター エース』 (Xbox 360) 開発元:アリカ/発売元:AQインタラクティブ
通称『TGM-ACE』。シリーズ初のコンシューマ版。従来作よりも「ワールドルール」の色が濃くなり、テトリミノの色や操作性、レベルアップの法則などがシリーズ特有のものではなく、「世界基準」により近いものに変わっている。
ゲームシステムも根底から異なっており、得点の概念が存在せず、TIのMASTER・SHIRASEに相当するモードが収録されていない(GRSが搭載されていない)。
テトリミノの回転法則に限り、クラシックルール(ARS)に変更可能(ただし、TIのように完全なクラシックルールには変更できず、難易度が大幅に下がっている)。Xbox Live を使ったオンライン対戦などが可能になっている。
稼働日未定 『テトリス ザ・グランドマスター4 ザ・マスターズ・オブ・ラウンド(仮題)』(アーケード) 開発元:アリカ/発売元:未定
2009年9月10日に発表され、9月19日開催の第47回アミューズメントマシンショーで出展されたが、稼働日と詳細な仕様についてはあまり公開されていない。
発売日未定 『TGM-K(仮称)』(PlayStation Portable) 開発/発売元:アリカ
2004年7月にアリカもPSPへ参入するとともに、『TGM-K(仮称)』を発表[5]するも、発表から5年以上経った現在でも具体的な進展が見られず、ライセンスの都合もあることから開発の目処が立っていないようである。
開発の目処が立たない理由として、三原はTGMシリーズを模したクローンの濫造によりライセンスの取得が進まないため、とその旨コメントしている[6]
さらに、2009年11月1日エレクトロニック・アーツPlayStation StoreでPSP版『TETRIS』の配信を開始した[7][8]ため、『TGM-K』の開発が中止になる可能性もある(アリカから開発が中止になるかは明言されていない)。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ この乱数への疑惑を解消させるためか、メガドライブ版テトリス(セガ発売、テトリスコレクションに収録)ではどのテトリミノがどれだけ落下したかの割合を示すため、棒グラフを表示する機能が搭載されていた。
  2. ^ ガイドラインにおけるアルゴリズムはおおむね「最初の7個は必ず全種類のテトリミノがランダムな順番で出現」→「次の7個もまたランダムな順番で出現」という方式になっている。
  3. ^ アリカの「テトリス ザ・グランドマスター」版権元の方針によって発売中止に(1999年5月28日)
  4. ^ 「テトリス」スペシャルインタビュー その1より。
  5. ^ プレイステーション・ポータブル (PSP)国内参入ソフトウェアメーカー59社、ソフトウェアラインナップ59タイトルより
  6. ^ Mihara's sub Layer 2009年10月01日付より。
  7. ^ 1EAJ、プライベートショウ「EA SHOWCASE TOKYO 2009」を開催より。
  8. ^ TETRIS / ソフトウェアカタログ / プレイステーション オフィシャルサイト

外部リンク[編集]