ティア・マリア

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ティア・マリア(Tia Maria)とは、コーヒー・リキュールの銘柄の1つである。アルコール度数は、26.5度。エキス分は、36.8%。

概要[編集]

ティア・マリアは、1947年にジャマイカ島にいた学者(医学者・微生物学者)ケネス・リー・エヴァンスが、同島の産品であるブルーマウンテンラムを使って製品化したコーヒー・リキュールである[1]

したがって、当初はラムをベースとするリキュールであった。

これが、ケネス・リー・エヴァンスによる処方のティア・マリアである。しかし、その後、リキュールのベースが、ラムではなく、サトウキビを原料とする中性スピリッツに変更された[注釈 1]

なお、ティア・マリアは、他のコーヒー・リキュールと同様に、そのまま飲用されたり、カクテルの材料として利用されたりする他に、しばしば製菓にも利用される[2]

酒名の由来[編集]

ティア・マリアの「ティア」は、スペイン語で「老婦人」を意味する[1]

そして「マリア」は人名である。よって、「ティア・マリア」は「マリアおばさん」といった意味になる[1][3]

このマリアとは、1655年にジャマイカを侵略した軍隊から、当時のジャマイカの名家に伝わっていた秘伝のリキュールを守った、同家の従者の娘の名前であると言われている[3]

その後、約300年秘匿されていた、このリキュールの製法を記した資料とされるものが発見されたものの、経年劣化により読解不能となっており、結局、このリキュールの復元には至らなかった[3]

この秘伝のリキュールと、コーヒー・リキュールのティア・マリアは別物であるのだが、この話に出てくるマリアを記念して、ケネス・リー・エヴァンスが製品化したコーヒー・リキュールを、「ティア・マリア」と名付けたとされる[3]

ティア・マリアを使ったカクテル[編集]

  • 「代表例」の節は、ティア・マリアが第1選択となることの多いカクテル。
  • 「その他」の節は、ティア・マリアを選択しても良いカクテル。

代表例[編集]

カフェ・カリプソ (Cafe Calypso)
カフェ・カリプソは、ジャマイカで誕生し、カリブ海周辺諸国へ広がり、それがアメリカやヨーロッパでも飲まれるようになった[4]アイスコーヒーの飲み方の1つとの見方もあるが、カクテルの1つ(冷たいタイプのロングドリンク)と見なすこともできる。作り方は、まず加糖したコーヒーを冷却する。そして、大型のグラスにクラッシュド・アイス(砕氷、約150g程度)を入れ、そこに、ダーク・ラム(約10ml)、冷却した加糖コーヒー(約150ml)、ティア・マリア(約10ml)の順に注ぐ。最後に生クリーム(約20ml)を浮かせれば完成である。
なお、英語圏では、カリプソ・コーヒー(Calypso Coffee)とも呼ばれる。
ジャマイカ・ジョー (Jamaica Joe)
このカクテルには、コーヒー・リキュール全般が使用されることもあり、必ずしもティア・マリアで作られるカクテルとは言えない。しかし、しばしばティア・マリアを使用が指定されているカクテル関連書籍が見られる。詳しくは、「ジャマイカ・ジョー」の記事を参照のこと。
ジャマイカン・コーヒー (Jamaican Coffee)
ホットコーヒーの飲み方の1つとの見方もあるが、カクテルの1つ(暖かいタイプのロングドリンク)と見なすこともできる。作り方は、コーヒーカップに、ダーク・ラム(約15ml)、ティア・マリア(約15ml)を注ぎ、そこに暖かいコーヒー(約150ml)を注ぎ入れ、最後にホイップクリーム(約15ml)を浮かせれば完成である[5]
ベルベット・ハンマー (Velvet Hammer)
ティア・マリアとホワイト・キュラソー生クリームとを等量ずつ使う、ショートドリンク。材料全てを強くシェークして、カクテル・グラス(容量75~90ml程度)に注げば完成である。

その他[編集]

コーヒー・リキュール全般が使用されるカクテルに、コーヒー・リキュールの1種として、このティア・マリアが選択される場合もある。例えば、ブラック・ルシアンホワイト・ルシアンホワイト・サテンなど。

関連項目[編集]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c 福西 英三 『リキュールブック』 p.124 柴田書店 1997年7月1日発行 ISBN 4-388-05803-3
  2. ^ 成美堂出版 編集 『リキュールとカクテルの事典』 p.127 成美堂出版 2001年8月20日発行 ISBN 4-415-00835-6
  3. ^ a b c d おおぜき あきら 『続 洋酒を読む本』 p.95 ビジネス教育出版 1995年5月30日発行 ISBN 4-8283-9505-9
  4. ^ 柄沢 和雄 『コーヒードリンク246』 p.84 柴田書店 1995年8月10日発行 ISBN 4-388-05755-X
  5. ^ 柄沢 和雄 『コーヒードリンク246』 p.52 柴田書店 1995年8月10日発行 ISBN 4-388-05755-X

注釈[編集]

  1. ^ ラムの原料はサトウキビである。しかし、「ラム」と「サトウキビを原料とする中性スピリッツ」は同じ物ではない。ラムは蒸留の段階で最高でもエタノールは95%未満にまでしか濃縮しない。これに対し、中性スピリッツは蒸留によってエタノールを95%以上にまで濃縮している。詳しくは「ラム」の記事と「中性スピリッツ」の記事を参照のこと。

参考文献[編集]

  • 福西 英三 『リキュールブック』 柴田書店 1997年7月1日発行 ISBN 4-388-05803-3
  • おおぜき あきら 『続 洋酒を読む本』 ビジネス教育出版 1995年5月30日発行 ISBN 4-8283-9505-9
  • 成美堂出版 編集 『リキュールとカクテルの事典』 成美堂出版 2001年8月20日発行 ISBN 4-415-00835-6

外部リンク[編集]