ダブル・ベース・ドラム

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サイモン・フィリップスのダブル・ベース・ドラムセット

ダブル・ベース・ドラム: Double bass drum)とは音楽(主にポピュラー音楽)においてバスドラムが2個セッティングされたドラムセットやその状態、または、それを用いた演奏技法を指す。省略してツー・バスとも呼ばれる。

概要[編集]

ツー・バスは主にハードロックヘヴィメタルで使用され、特に速いテンポが特徴のスラッシュメタルや、ブラストビートを多用するデスメタルなどでは殆どがツー・バスである。だがそれらの音楽ジャンルのドラマーにも、樋口宗孝などの様にワンバスに拘りを持つドラマー、ジェイソン・ルロなどの様にツインペダルを使うドラマー、ニコ・マクブレインの様にワンバスでツー・バス並みのプレイをするドラマーもいる。ポップス界では使用される事が多いとは言えず、またドラムマシン打ち込みを多用し、生ドラムを使用すること自体が希であるテクノ・ミュージックでは用いられる事は皆無である。

主にツー・バスを使用する目的は「ワンバスでは不可能な連打を可能にするため」や「それぞれ違う口径の物を使用し、対応力を高めるため」などがある。また、前者はツインペダルという特殊なペダルを使用することで実現が可能である。特例として「ワンバスであっても演奏可能だが、ツー・バスを使用することでより正確さを高めるため」という理由もある。

ワンバスの場合、バスドラムを正面にセットすることが多いが、ツー・バスのセッティング形体はバスドラムを八の字型にセットすることが一般的である。また、近年では、「ツー・バスは場所をとる」、「大きなバスドラムを2個並べると、タムの位置が高くなり、手が届かなくなる」など諸々の理由でツー・バスからワンバスのツインペダルに転向するドラマーも増えてきている。

起源[編集]

初めて1つのドラムセットに2つのバスドラムをセッティングしたのは、ジャズドラマールイ・ベルソンであると言われている[誰?][要出典]。ルイ・ベルソンのアイディアをロックに持ち込んだ最初の人物はジャズ出身の元クリームのドラマー、ジンジャー・ベイカーである[要出典]。また、彼とほぼ同時期に活動していたカーマイン・アピスもロックにツー・バスを取り入れたとされる人物である。現在ではジャズでツー・バスを用いる事は少ない。

スリー・バス[編集]

文字通り、ドラムセットにバスドラムを3個セッティングすることである。ツー・バスとの意義的相違はバスドラムの個数のみだが、使用者の意図は大きな相違が生じる場合がある。主にスリー・バスを使用する者はツー・バスの利点である連打のためだけではなく「純粋にそのバスドラムの音が欲しい」という理由がある。また、単にツー・バスを発展させて、スリー・バスにしたという者もいる。元ドリーム・シアターマイク・ポートノイJanne Da Arcドラマーshujiである。マイク・ポートノイの場合は、それぞれ独立したツー・バスのセットとワンバス(ツインペダル)のセットを隣合せて並べているもので、スローンも二つある。[1]ライブでは曲に応じてセット間を移動し叩き分けていた。shujiは26インチのバスドラムを2個とは別に、リズムを刻むためやアクセントを付けるための20インチのワンバスをセットしている。また、別の例としてLUNA SEA真矢はかつて3つ全て異口径の物にしてパターンごとに使い分けていた。また、個人にもよるが、スリー・バスの場合、ツー・バスとセッティング形体が違う場合がある。真矢は3つ、村上“ポンタ”秀一は4つのバスドラムを一直線上に並べている。またshujiの様に2つのバスドラムを八の字にセットし、更に(shuji側から見て)右側のバスドラムの奥にもう1つのバスドラムをセットする(リモートバスドラム)ドラマーもいる。

極端な例を出すと、テリー・ボジオは最大で8つものバスドラムを使用する。テリー・ボジオの場合は「アコースティックドラムによるメロディ演奏」によるソロパフォーマンスが彼のスタイルとなっており、音程を合わせてチューニングした大小さまざまなバスドラムと複数のハイハットによりフレーズを構築するために、「ベースライン」の一部として多数のバスドラムを必要とする訳である。その為、足元にはバスドラムのみならずハイハット、その他パーカッションを鳴らすための大量のペダルボードが自身を取り囲むように並ぶことになる。

ツー・バス(スリー・バス)+ツインペダル[編集]

ツー・バス演奏者が時折ツー・バスにツインペダルを用いることがある。ツインペダルはワンバスでツー・バスと同様の効果を得るための物だが、それがツー・バスに応用される場合がある。1つのバスドラムにのみ用いる場合もあれば、2つとも、ツインペダルを用いる場合もある。前者は主に1つをリズムを刻むために、もう1つは連打用と使い分けていることもある。後者の場合はそれぞれのバスドラムが異口径であれば、対応力が高まる他、それぞれのバスドラムで連打することが可能になる。Dir en greyShinyaはツー・バス+ツインペダルであり、曲によってツー・バスの連打、ツインペダルでの連打を使い分けている[1]

ツー・バスと普通のペダルを使った時と、ワンバスでツインペダルを使った時では微妙ではあるが、演奏に違いが出る。ツー・バスと普通のペダルを使った時は2つのバスドラムを交互に叩くため、それぞれのバスドラムのサステインミュートせずに、演奏することができるが、ワンバスでツインペダルを使う際は、1つのバスドラムに2つのビーターで叩くため、否が応でもバスドラムのサステインがミュート気味の演奏になってしまう。

出典[編集]

  1. ^ 「Rhythm&Drums magazine」 2008年12月号 Shinyaインタビュー

関連項目[編集]

関連人物[編集]