ツチフキ

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ツチフキ
ツチフキ
ツチフキの成魚(筑後川水系
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: コイ目 Cypriniformes
: コイ科 Cyprinidae
亜科 : カマツカ亜科 Gobioninae
: ツチフキ属 Abbottina
: ツチフキ A. rivularis
学名
Abbottina rivularis
(Basilewsky, 1852年
和名
ツチフキ(土吹)
スナモロコ
ドロモロコ
英名
Chinese False Gudgeon
背びれの伸長したオスのツチフキ
春の繁殖期、背びれの伸長したオスのツチフキ。

ツチフキ(土吹、Abbottina rivularis)は、コイ科カマツカ亜科に属する淡水魚。別名にはスナモロコドロモロコなどがある[1]

分布[編集]

日本列島を含む、アムール川流域から紅河流域までの広範囲に分布する。メコン川上流からも記録がある[2]。日本では近畿以西の本州四国九州に分布しており、近年は東日本にも多く移入されている。淀川では河川改修や外来魚による圧迫で絶滅したとみられていたが、2022年にワンドで再発見された[3]

九州北部(筑後川水系を除く)のツチフキは国外移入種の可能性が高い[4]

形態[編集]

カマツカと似ているが、体長が10 cm程度までしか大きくならないこと、が若干丸みを帯びていること、背びれの大きさが体長に比べて大きめであるということなどの違いがある。口は下側に開いていて、1対のひげを持つ[1]

生態[編集]

流れのあまりない水路、河川や湖に生息する。砂底を好むカマツカに対し、本種は泥底を好む。産卵期は春から初夏で、この期間、オスが泥底に産み付けられたを保護する[5]婚姻色は目立たない。

人間との関係[編集]

ペットショップで、他の日本産淡水魚の飼育水槽におけるタンクメイトとして販売されることがある。食用とすることはほぼない。

出典[編集]

  1. ^ a b 木村義志『フィールドベスト図鑑 日本の淡水魚』学習研究社、2000年8月4日。ISBN 4-05-401120-9 [要ページ番号]
  2. ^ C Vidthayanon, M Kottelat (1995). “First record of Abbottina rivularis (Cyprinidae: Gobioninae) from the Mekong basin”. Japan. J. Ichthyol. 41 (4): 463-465. http://www.wdc-jp.biz/pdf_store/isj/publication/pdf/41/414/41412.pdf. 
  3. ^ 淀川で絶滅危惧種の淡水魚ツチフキを再発見 大阪府内でなんと約30年ぶり!おおさか環農水研(2023年6月20日)2023年8月5日閲覧
  4. ^ ツチフキ / 国立環境研究所 侵入生物DB”. 国立環境研究所(www.nies.go.jp). 2021年5月11日閲覧。
  5. ^ 塚原博「ツチフキの産卵習性」『魚類学雑誌』第3巻第3-5号、日本魚類学会、1954年、139-143頁、doi:10.11369/jji1950.3.139