チョウセンアサガオ

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チョウセンアサガオ
DaturaMetel-plant.jpg
チョウセンアサガオ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ナス目 Solanales
: ナス科 Solanaceae
: チョウセンアサガオ属 Datura
: チョウセンアサガオ D. metel
学名
Datura metel L.
和名
チョウセンアサガオ(朝鮮朝顔)
英名
Angel's trumpet
Devil's trumpet
Metel

チョウセンアサガオ(朝鮮朝顔、学名:Datura metel)は、ナス科の植物。園芸用にはダチュラの名で広く流通しているほか、マンダラゲ(曼陀羅華)、キチガイナスビの異名もある。原産地は南アジア。日本へは、江戸時代 (1684年) に薬用植物としてもたらされ、現在は本州以南で帰化・野生化したものが見られる。日本に渡来したのはシロバナヨウシュチョウセンアサガオよりも前だが、国内の個体数は少ない傾向にある[1]

形態[編集]

一年草。草丈は1mほどではよく枝分かれする。は大型の卵型で、長さ10~20センチメートル、幅7~15センチメートル。夏から秋にかけて長さ10~15センチメートルほどの漏斗状の白いを咲かせる。がくは筒状で、長さ4~5センチメートル、先が5つに分かれる。果実は球形で直径3~5センチメートル。短いとげが多数付いており、中に多くの種子が入っている[1]。熟すと割れて種子を飛ばす。

毒性[編集]

経口後30分程度で口渇が発現し,体のふらつき,嘔気,倦怠感,眠気。 ヒオスチアミン Hyoscyamineスコポラミン Scopolamine などのトロパンアルカロイド

中毒事例[編集]

  • 家の畑から引き抜いた植物の根を使って調理したきんぴらごぼうを食べた人(2名)が、約30分後にめまい、沈鬱となり、以後瞳孔拡大・頻脈・幻視等の症状を呈して入院。ごぼうと「チョウセンアサガオの根」を間違えて採取・調理し食べていた。
  • 1家族3名がチョウセンアサガオを誤食し、意識障害・幻覚などの症状を訴える、チョウセンアサガオの果実をオクラと間違え、かき揚にして食べていた。
  • 家庭菜園でチョウセンアサガオを台木としてナスを接ぎ木し、実ったナスを加熱調理し喫食したところ意識混濁などの中毒症状を発症した[2]

人間との関係[編集]

薬用植物[編集]

チョウセンアサガオの薬効は、古くから知られており。中国明代の医学書「本草綱目」にも、患部を切開する際、熱酒に混ぜて服用させれば苦痛を感じないとの記述がある。 ベラドンナハシリドコロなどと同様にアトロピンを含んでおり、過去には鎮痙薬として使用された。世界初の全身麻酔手術に成功した江戸時代の医学者である華岡青洲は、本種を主成分としていた精製した麻酔薬を使用していた[1]。このことから日本麻酔科学会のシンボルマークに本種の花が採用されている。

薬用植物ではあるが毒性も著しく強く、「キチガイナスビ」といった別名を持つ。近年ではオウム真理教が「ダツラの技法」と称して信者を洗脳、自白させるための薬物原料に本種を用いたため、園芸名の「ダチュラ」にもマイナスイメージが付いた。近年ではエンジェルズ・トランペットの名で園芸店で販売されている場合が多い。

名称など[編集]

和名のチョウセンは特定の地域を表すものではなく、単に海外から入ってきたものの意味とされる。また、アサガオの名を冠してはいるがアサガオはヒルガオ科に属し、ナス科に属するチョウセンアサガオとは別種である。単に花がアサガオに似ていることによる命名である。

注意点として、園芸関係ではキダチチョウセンアサガオ属(ブルグマンシア属、いわゆる「エンジェルズ・トランペット」の類)の植物をひっくるめて、区別せずに「ダチュラ」「チョウセンアサガオ」などと呼ぶ場合もあるが、キダチチョウセンアサガオ属は木本化する多年草のグループであり、明確に種類の異なるものである。

出典[編集]

  1. ^ a b c 竹松哲夫・一前宣正 『世界の雑草 Ⅰ -合弁花類-』1、全国農村教育協会1987年、455-456頁。ISBN 4-88137-031-6OCLC 672705102
  2. ^ チョウセンアサガオに接木したナスによる食中毒事例 食品衛生学雑誌 Vol.49 (2008) No.5 P376-379

関連項目[編集]