チャイナエアライン

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チャイナエアライン
China Airlines
中華航空
IATA
CI
ICAO
CAL
コールサイン
DYNASTY
法人番号 8700150001166 ウィキデータを編集
設立 1959年12月16日
ハブ空港 台湾桃園国際空港
焦点空港 香港国際空港
高雄国際空港
台北松山空港
マイレージサービス Dynasty Flyer
会員ラウンジ Dynasty Lounge
航空連合 スカイチーム
スカイチーム・カーゴ(チャイナエアライン・カーゴ)
親会社 China Airlines Group
子会社 マンダリン航空タイガーエア台湾
保有機材数 89機(31機発注中 B787を含む)
就航地 156都市
本拠地 中華民国の旗 中華民国台湾
桃園市大園区
代表者 謝世謙(董事長)
従業員数 12,425名
外部リンク https://www.china-airlines.com/
備考
日本支社所在地
東京都千代田区内幸町1丁目2番1号
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中華航空股份公司
各種表記
繁体字 中華航空股份公司
簡体字 中华航空股份公司
拼音 Zhōnghuá Hángkōng Gǔfèn Gōngsī
英文 China Airlines, Limited
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CAL Park - チャイナエアラインの本社 (新)
チャイナエアラインの本社 (旧)

チャイナエアライン中国語: 中華航空、ちゅうかこうくう、英語: China Airlines)は、台湾[1]最大手の航空会社フラッグ・キャリア)。中国語の略称は華航(フォアハン)。

概要[編集]

尾翼に大きく描かれた梅のロゴ

チャイナエアラインIATA2レターコードCIICAO3レターコードCAL;コールサイン:Dynasty;台北証券取引所:2610)は台湾桃園市に本社を置く台湾の航空会社である。

正式名称は、中国語圏で「中華航空公司」、大韓民国で「중화항공」(中華航空)、日本を含めた他の地域においては「チャイナ エアラインChina Airlines)」であるが、現在も一部案内や報道では、日本における登記上の名称である「中華航空」と呼称される場合もあり、公式ウェブサイトでも「チャイナ エアライン(中華航空)」とページタイトルを付けている。なお、名称が似ている中国国際航空Air China、エア・チャイナ)は中華人民共和国民用航空局(中国民航)系の航空会社であり全く関係がない。

社名の「中華(China、チャイナ)」は台湾の国号、中華民国(Republic of China)に由来する。これは設立当時は台湾の政府、中華民国が自身を中国を唯一代表する政府と主張していたためである。英語の社名に「China」と入っていることから、中華人民共和国の航空会社だと誤解されるとして社名変更を呼び掛ける動きがあるが、改名にかかるコストが約40億円かかると試算されており、また台湾独立の動きとして中国の反発を招き、社名変更後に中国からの圧力によって運航に支障がでる可能性も指摘されている[2]。一方で、新塗装の貨物機では、従来は前方に印字されていた社名の「CHINA AIRLINES」のロゴが従来よりも文字が小さくなり尾部に移され、代わりに胴体の前方に描かれた「CARGO」の「C」の文字の中に台湾本島のイラストが組み込まれ、中国の航空会社に間違えられるのを避けるようなデザインとなった[3]

歴史[編集]

1959年12月、中華民国空軍退役軍人らによって「中華航空公司」が設立された[4]

当時、中華民国(台湾)のフラッグキャリアは民航空運公司(CAT)であった。民航空運公司は1946年アメリカOSS(のちのCIA)の後押しで「民航空運隊」の名で設立された。国共内戦で国民党軍が破れ台湾に逃れた際、当時の中国のフラッグキャリアであった中国航空公司(中航)と中央航空公司(央航)の2社の従業員は旅客機とともに集団で共産党軍に投降し(両航事件中国語版)、中華民国は民航空運隊以外の航空会社を喪失した。民航空運隊は台北から各国への海外路線を運営し、1955年には外資色を薄めて「民航空運公司」と改称したが、米軍およびCIAのための運送や諜報なども行うなど米軍色が色濃かった。中華民国交通部および国防部空軍司令部は、CATとは違い外国勢力の影響の及ばない、中華民国のみが影響を行使できるフラッグキャリアの設立を意図し、中華航空公司の創設につながった。

当初は水陸両用機PBY-5Bを利用した台北 - 日月潭の不期便運航からスタートし、金門馬祖への軍事物資や人員の輸送、軍幹部の輸送により会社の規模を拡大した。

1962年よりDC-3、DC-4、YS-11を導入し、本格的に民間航空輸送業務を開始。同年10月に開始した台北 - 花蓮線は中華航空で初めての定期路線となった。

1966年にはサイゴン(現・ホーチミン)線、1967年には東京・大阪・沖縄線が就航し、アジアにネットワークを拡大。

1970年には自社初のジェット機であるボーイング707を導入、台北 - 東京 - サンフランシスコ線に就航し、台湾のフラッグキャリアとしての地位を確立。

1983年、バンコク経由アムステルダム線を開設。台湾の航空会社で初めてのヨーロッパ路線となる。

1991年、中国政府による「一つの中国」政策により、定期便の就航が継続できない地域への航空路確保を目的に、和信グループとの合弁でマンダリン航空を設立。

1993年より台湾証券取引所に上場した。

機体の塗装は、かつては真ん中に中華民国の国旗(青天白日満地紅旗)が、他の国家の航空会社と同様に、小さく描かれていた。しかし中国共産党が、香港返還後の中国領土となった香港国際空港への乗り入れを盾に圧力をかけたため、1995年より中華民国の国花であるの花弁をトレードマークとして採用している。

同時に機体の社名表記は「中華航空公司」から「CHINA AIRLINES」へと変更されたが、「華航」という印影のデザインは残されている。呼出符号として用いられる「ダイナスティDynasty)」は、英語の「王朝」という意味で、機内誌・各種サービスの名称にも使われる。

2003年、54年間凍結されていた中国大陸行き直行便を運航。初めは上海行き春節チャーター便にて、2008年より各地に定期便として就航。

2006年、本社を台北市から桃園空港に隣接するCAL Parkへ移転。台北市のオフィスは台北支店として存続。

2010年9月14日に、航空連合スカイチームへの加盟に調印、2011年9月28日に正式加盟[5][6]。これを記念して、スカイチーム特別塗装を施したボーイング747-400(機体記号:B-18211[7])、エアバスA330-300(B-18311)を運航している。同時に1995年から利用されていたロゴが若干変更された[8]。(2010年にエンジン不調があったボーイング747-400(機体記号Bー18214)は10月に運航再開しスカイチームロゴをつけていたが2012年に完全塗装変更した)

2016年12月1日からは、行政院の決定に基づき、11月22日に解散を決めたトランスアジア航空が運航していた路線のほとんど(金門澎湖線を除く)を引き継くことになった[9][10]

2017年1月10日より、東京/羽田-台北/松山線に加え、日本航空(JAL)とチャイナエアラインが日台間を結ぶすべての便に於いて、双方でコードシェアを開始[11]。次の段階として、貨物便やマイレージサービス、日台双方の国内線にもコードシェアの拡大を予定している。

航空券の座席予約システム(CRS)は、アマデウスITグループが運営するアマデウスを利用している[12]

サービス[編集]

建築デザイナー陳瑞憲(Ray Chen)のもと、2015年より「Next Gen」と題したリブランディングプロジェクトを実施しており、客室の内装、食器、アメニティから制服、小物に至るまで、全デザインとコンセプトの統一を図り、台湾を代表する航空会社として、台湾の生活美における文化創造力を国際舞台にアピールするとしている。近年新コンセプト「Next Gen」によりデザインされたボーイング777-300ER、エアバスA350-900XWBのインテリアや機内食器は、独iFデザイン賞やグッドデザイン賞を獲得している[13]

2018年1月現在、Skytrax社による航空会社レーティングにおいて4ツ星の評価[14]や、米グローバルトラベラーマガジン社の北アジアベストエアラインを5年連続受賞するなど[15]、サービスに関して世界から高い評価を得ている。

機内食[編集]

医食同源の元に機内食メニューが考案されており、ビジネスクラスでは、トンポーロー魯肉飯などの中華料理日本料理を選択することも可能な路線があり、ウェブサイトのE-メニューから事前予約を受け付けている。

また、飛行時間が1時間半を超える路線と、台北-香港間では、基本的にホットミールが提供されており、食のタブーに配慮した、精進料理や各種宗教料理、子供向け料理も、事前リクエストが可能となっている。

客室乗務員[編集]

台湾-日本間のフライトでは、就航開始時より原則すべての便に日本人乗務員が乗務しており、日本語対応ができる台湾人クルーも多く在籍している。

女性クルーの制服は1962年の制定時より、チャイナドレスをイメージモデルとして採用している。近年はピンクや紫をメインとした制服が人気であったが、2015年8月1日から14代目となる先進的なデザインの新制服へと変更となった。

なお、約120名の日本人クルーが成田ベースとして所属しているが、勤務体系や労働条件は台湾本社所属の乗務員とは大きく異なり、日台路線中心の乗務を行っている。[4][16]

マイレージ[編集]

マイレージサービス「ダイナスティ・フライヤー」(華夏哩程酬賓計畫と呼ばれるプログラムが提供されている。スカイチーム加盟各社のほか、マンダリン航空ハワイアン航空と提携している。特典は家族や他人への譲渡[4]が可能である。アメリカン・エキスプレスのポイントを同プログラムのマイルに転換することも可能である。

貨物部門[編集]

2014年現在、21機の貨物専用のボーイング747-400F型機が台北―成田、関西―シカゴ等、世界33空港に就航し、毎週91便の貨物便を運航している。 ワイドボディ、長距離路線を多く保有する旅客機の貨物スペースも活用し、台北をハブとしたネットワークで4大陸を結ぶ。日系キャリアを大きく引き離す取扱い国際貨物量129万6千トンを誇り、IATA国際航空カーゴキャリアとして第6位にランキングされている[17]

就航都市[編集]

チャイナエアライン 就航都市(2020年1月現在)
/ 地域 都市 空港 備考
東アジア
中華民国の旗 台湾 台北 台湾桃園国際空港 メインハブ空港
台北松山空港
台中 台中国際空港
台南 台南空港
高雄 高雄国際空港 準ハブ空港
香港の旗 香港 香港 香港国際空港
中華人民共和国の旗 中国 北京 北京首都国際空港
上海 上海浦東国際空港
上海虹橋国際空港
重慶 重慶江北国際空港
広州 広州白雲国際空港
深圳 深圳宝安国際空港
大連 大連周水子国際空港
青島 青島流亭国際空港
煙台 煙台萊山国際空港
威海 威海大水泊空港
鄭州 鄭州新鄭国際空港 貨物便のみ
西安 西安咸陽国際空港
南京 南京禄口国際空港 貨物便のみ
無錫 蘇南碩放国際空港
徐州 徐州観音空港
合肥 合肥新橋国際空港
南昌 南昌昌北国際空港
武漢 武漢天河国際空港
成都 成都双流国際空港
廈門 廈門高崎国際空港 貨物便のみ
海口 海口美蘭国際空港
三亜 三亜鳳凰国際空港
日本の旗 日本 東京 東京国際空港
成田国際空港 焦点空港
大阪 関西国際空港
名古屋 中部国際空港
札幌 新千歳空港
富山 富山空港 運休中
静岡 静岡空港 運休中
広島 広島空港
高松 高松空港
福岡 福岡空港
熊本 熊本空港 2023年9月18日より運航再開
宮崎 宮崎空港 運休中
鹿児島 鹿児島空港 運休中
沖縄 那覇空港
石垣 新石垣空港 運休中 ※季節運航(夏季スケジュール)
大韓民国の旗 韓国 ソウル 仁川国際空港
金浦国際空港
釜山 金海国際空港 [18]
東南アジア
フィリピンの旗 フィリピン マニラ ニノイ・アキノ国際空港
カリボ カリボ国際空港 マンダリン航空から再移管(2015年10月より)
セブ マクタン・セブ国際空港 2020年3月29日より就航[19]
 ベトナム ハノイ ノイバイ国際空港
ホーチミンシティ タンソンニャット国際空港
カンボジアの旗 カンボジア プノンペン プノンペン国際空港
タイ王国の旗 タイ バンコク スワンナプーム国際空港 焦点空港
チェンマイ チェンマイ国際空港 2020年6月23日より復便[20]
ミャンマーの旗 ミャンマー ヤンゴン ヤンゴン国際空港
マレーシアの旗 マレーシア クアラルンプール クアラルンプール国際空港
ペナン ペナン国際空港
シンガポールの旗 シンガポール シンガポール シンガポール・チャンギ国際空港 焦点空港
インドネシアの旗 インドネシア ジャカルタ スカルノ・ハッタ国際空港
スラバヤ ジュアンダ国際空港 シンガポール経由
デンパサール ングラ・ライ国際空港
南アジア
インドの旗 インド デリー インディラ・ガンディー国際空港
西アジア
アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦 ドバイ アール・マクトゥーム国際空港 貨物便のみ(2015年4月16日よりアブダビ国際空港から変更)
ヨーロッパ
 オーストリア ウィーン ウィーン国際空港
 チェコ プラハ ルズィニエ国際空港 貨物便のみ
ドイツの旗 ドイツ フランクフルト フランクフルト空港
オランダの旗 オランダ アムステルダム アムステルダム・スキポール空港
ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク ルクセンブルク ルクセンブルク=フィンデル空港 貨物便のみ
イギリスの旗 イギリス ロンドン ガトウィック空港 [21]
イタリアの旗 イタリア ローマ フィウミチーノ空港
北アメリカ
カナダの旗 カナダ バンクーバー バンクーバー国際空港
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 ホノルル ホノルル国際空港
アンカレッジ テッド・スティーブンス・アンカレッジ国際空港 貨物便のみ
シアトル シアトル・タコマ国際空港
サンフランシスコ サンフランシスコ国際空港
ロサンゼルス ロサンゼルス国際空港
オンタリオ オンタリオ国際空港 [22]
ダラス ダラス・フォートワース国際空港 貨物便のみ
ヒューストン ジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル空港
シカゴ シカゴ・オヘア国際空港
アトランタ ハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港
マイアミ マイアミ国際空港
ニューヨーク ジョン・F・ケネディ国際空港
オセアニア
グアムの旗 グアム グアム グアム国際空港
パラオの旗 パラオ パラオ パラオ国際空港
オーストラリアの旗 オーストラリア シドニー シドニー国際空港
ブリスベン ブリスベン国際空港
メルボルン メルボルン国際空港
ニュージーランドの旗 ニュージーランド オークランド オークランド国際空港 ブリスベン経由
クライストチャーチ クライストチャーチ国際空港 メルボルン経由
季節運航(冬季スケジュール)
休・廃止路線
中華人民共和国の旗 中国 福州 福州長楽国際空港 貨物便のみ
常州 常州奔牛空港
ウルムチ市 ウルムチ地窩堡国際空港
タイ王国の旗 タイ プーケット プーケット国際空港
インドネシアの旗 インドネシア メダン ポロニア国際空港
インドの旗 インド チェンナイ チェンナイ国際空港 貨物便のみ
スリランカの旗 スリランカ コロンボ バンダラナイケ国際空港
アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦 アブダビ アブダビ国際空港 旅客便、貨物便
ドバイ ドバイ国際空港 貨物便のみ
サウジアラビアの旗 サウジアラビア ダーラン ダーラン国際空港
ジッダ キング・アブドゥルアズィーズ国際空港
 スウェーデン ストックホルム ストックホルム・アーランダ空港 貨物便のみ
スイスの旗 スイス チューリッヒ チューリッヒ国際空港
イギリスの旗 イギリス ロンドン ヒースロー国際空港
マンチェスター マンチェスター空港 貨物便のみ
イタリアの旗 イタリア ミラノ ミラノ・マルペンサ国際空港
 エジプト カイロ カイロ国際空港
南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国 ヨハネスブルグ ヨハネスブルグ国際空港
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 シアトル シアトル・タコマ国際空港 旅客便
ヒューストン ジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル空港
ナッシュビル ナッシュビル国際空港 貨物便のみ

機材[編集]

チャイナエアラインが発注したボーイング社製航空機の顧客番号(カスタマーコード)は09で、航空機の形式名は747SP-09, 747-209B, 747-409, 737-809 などとなる。

リスト[編集]

チャイナエアライン 運航機材一覧(2023年10月現在)[23][24]
機材 保有数 発注数 座席数 備考
C W Y
エアバスA321neo 10 15 12 - 168 180 5機のオプション付き
A330-300と737-800を置き換え
エアバスA330-300 18 - 30 - 277 307 A321neoと787に置き換え予定
36 313
エアバスA350-900 15 1 32 31 243 306 B-18919、B-18920にリース機材。
40 32 228 300
ボーイング737-800 10 - 8 - 150 158 A321neoに置き換え予定
153 161
ボーイング777-300ER 10 - 40 62 256 358
ボーイング787-9 - 18 TBA 2023年にオプション8機分を確定発注に切り替え
さらに確定発注分のうち6機を-10型に変更[25]
2025年以降納入予定、A330-300を置き換え
ボーイング787-10 - 6 TBA
貨物機
ボーイング747-400F 15 - 貨物
ボーイング777F 7 3 貨物 2022年に4機追加発注[26]
合計 85 43

過去の保有機材[編集]

※年代順


日本におけるチャイナエアライン[編集]

日本への乗り入れは、当初は台北から大阪経由東京便が、次いで沖縄経由大阪便が就航した後、東京便が直行となった。中華民国との断交(後述)を受け一旦全ての就航が中断した後、台北から東京、福岡、沖縄などへの路線が順次就航し路線網を拡大した。[27]

長らく続いた羽田空港発着[編集]

1967年大阪国際空港(伊丹空港)経由で東京国際空港(羽田空港)に乗り入れたのが始まり(1969年直行化)だが、1972年の日本と中華人民共和国との国交成立および中華民国(台湾)との断交を受け、台湾当局が1974年4月21日に日華間の航空路線を断絶させたため、前日をもって日本国内の各空港への乗り入れは一旦中止された。これを機に台湾ー香港を大幅増便し、香港経由にて日本ー台湾間の交通は確保し続けた。その後、1975年8月10日より羽田空港への乗り入れが再開された。東京国際空港#成田空港開港後も参照。

1978年千葉県成田市の新東京国際空港(成田空港、現在の成田国際空港)開港後、東京に乗り入れる国際線定期便は東京都大田区の羽田空港から成田空港に移転した。その中で、唯一中華航空(当時)のみ外交上の理由(日本政府と中華人民共和国政府の航空交渉の席上で、後者から「『中国を代表する政府』に関わる主権問題で対立する台湾の航空会社を同じ空港に乗り入れさせないように」という「圧力」があった)により成田空港へ移転せず羽田空港に残留した。この結果、都心に近い羽田空港ゆえ都内や横浜方面からのアクセスが比較的好条件であること、空港旅客サービス料が無料であること、国内線が集まる空港であり接続利便性が高いといった他社にはない優位性があった反面、他の国際線との接続利便性が低いという不利もあった。

なお、その後台湾に設立され、同じく東京に乗り入れることとなったエバー航空も同じく成田空港ではなく羽田空港に発着するようになった。しかし、成田空港暫定第2滑走路が供用された2002年4月18日、両社とも発着地を羽田空港から成田空港に変更したが、2010年10月の羽田空港再国際化に伴いエバー航空とともに8年半ぶりに羽田空港発着便の運航を再開している。

32年ぶりの大阪[編集]

2004年の日台航空協議による発着枠拡大に伴い2006年7月、関西国際空港に台北線が就航した。内訳は旅客便が週5便、貨物便が週2便であったが、その後旅客便は1日1便に増便され2015/16年冬ダイヤは1日4往復であり、さらに2016年夏ダイヤからは1日5往復[28]となる。 また、台北のみにとどまらず高雄から週12便で(2016年夏ダイヤからは週19便)、台南からも週2便運航されている。

大阪への就航は、伊丹空港に国際線が就航していたころ(1974年4月20日)から数えて約32年ぶりである。

日本路線[編集]

2023年9月18日現在、日本国内 - 台北/桃園に週87便、台北/松山に週14便、台中に週0便、台南に週0便、高雄に週14便を運航。また、2017年2月21日より日本-台湾線の全路線にて日本航空(JAL)とのコードシェアを実施中。

自社運航航路(路線)の詳細は下記の通り。

関西 - 台南便就航 出発式
関西国際空港、2015年10月28日

日本発着の定期チャーター 2011年の日台オープンスカイに伴い、台湾から日本の地方都市、また以遠権を生かし、日本の主要都市からホノルル・グアムなどの第三国へ頻繁にチャーター便の運航を行っている。 双方から送客を行うプログラムチャーターという新しい形を浸透させたことでも知られている。

かつてはボーイング747-400により、台北とアメリカ・ニューヨーク/JFKを大阪/関西経由で結ぶフライトが運航されたこともあったが[30]、現在は運休中である[31]。なお、この関西-ニューヨーク線は、過去に運航された唯一の路線であり、他の航空会社によって運航されたことはない[31]

事故・トラブル[編集]

日本での事故[編集]

1994年4月26日台北・中正国際空港(現:台湾桃園国際空港)発名古屋空港行きのCAL140便(エアバスA300-600R型機・登録番号B-1816)が、名古屋空港で、着陸復行を試みた際に自動操縦の着陸復行モードが解除されなかったうえに操縦ミスが重なり失速し、腹打ちになる形で墜落。折り返しの便の燃料も積んでいた機体は大破し爆発、乗客乗員271人のうち264人が死亡し、生還した7人も重傷を負った。この事故は日本で日本航空123便墜落事故に次ぐ事故で、またA300型機で3番目の死者数となった。

また、2007年8月20日午前10時35分頃、台北発CAL120便(ボーイング737-800型・登録記号B-18616)が那覇空港に着陸後、41番スポットに到着時に右翼エンジン付近から燃料漏れが発生し爆発炎上した。事故機には乗客157名(日本人23名・幼児2名を含む)、パイロット2名、客室乗務員6名(日本人乗務員1名を含む)の計165名が搭乗していたが、死者は無かった。

安全への取り組みと課題[編集]

かつては中華民国軍から転籍したパイロット・整備士が多数在籍し、民間航空機との操作や設計思想の違いから、ヒューマンエラーによる事故が頻発していた。1986年2月16日に起きた澎湖諸島付近での墜落事故以来、数度に渡る死亡事故を起こしており、前述の中華航空140便の事故から通称「華航四年大限」と呼ばれるように、4年毎に多数の死者を出す重大事故を起こすジンクスがあるといわれていた。

その事故とは、

である。

同社はこれまで749人の事故による死者を発生させている[32]

その後、航空機の安全性・信頼性の向上、パイロットの自社養成、外部航空会社から整備部門の責任者を招聘、日本航空退職パイロットの雇い入れなどにより、近年は安全性向上に努力しており、その結果、2002年5月に起こったチャイナエアライン611便空中分解事故以降、死者を生じる事故は発生していない。

関連会社[編集]

チャイナエアライングループの関係する主な企業は以下の通りである[33]

など

出典[編集]

  1. ^ チャイナ エアラインについて - チャイナエアライン
  2. ^ 「チャイナエアライン」改名に最低40億円 懸念多く/台湾 - 中央社フォーカス台湾 2020/04/15
  3. ^ Cの文字に隠れ「台湾」 チャイナエアライン貨物機の新塗装公開 - 中央社フォーカス台湾 2020/12/15
  4. ^ a b c 「月刊エアライン 2009年3月号」イカロス出版
  5. ^ スカイチームへの加盟を予定している航空会社 - SkyTeam
  6. ^ スカイチーム加盟に向け覚書調印 - チャイナエアライン
  7. ^ B-18206
  8. ^ チャイナエアライン、スカイチーム加盟、新ロゴも発表
  9. ^ 中華航空、12月からトランスアジア路線引き継ぎへ/台湾 - 中央社フォーカス台湾 2016/11/23
  10. ^ 解散決議の復興航空、中華航空が路線引き継ぎへ 台湾当局 2016年11月24日
  11. ^ http://press.jal.co.jp/ja/release/201702/004175.html
  12. ^ 【アマデウス・ジャパンからのお知らせ】アマデウス・ジャパン、チャイナ エアライン(CI)の予約システムをアマデウス アルテアへ移行完了
  13. ^ https://www.china-airlines.com/us/en/discover/news/press-release/20160215
  14. ^ http://www.airlinequality.com/airline-reviews/china-airlines/
  15. ^ https://web.archive.org/web/20180106063642/http://japan.cna.com.tw/news/atra/201712260001.aspx
  16. ^ https://www.china-airlines.com/jp/jp/career/jp-recruitment##東京ベース客室乗務員募集
  17. ^ https://web.archive.org/web/20150702171449/http://japan.cna.com.tw/news/aeco/201507010008.aspx
  18. ^ チャイナエアライン、台北/釜山線に週6便で就航 FlyTeam 2013年9月2日付
  19. ^ チャイナエアライン、台北/桃園~セブ・チェンマイ線開設Traicy 2020年2月19日付
  20. ^ チャイナエアライン、6月に台北・桃園/チェンマイ線を開設 週4便FlyTeam 2020年1月15日付
  21. ^ チャイナエアライン、12月に台北/ロンドン・ガトウィック線を開設 週4便
  22. ^ チャイナエアライン、3月に台北/オンタリオ線を開設 ロサンゼルス線を減便FlyTeam 2018年1月10日
  23. ^ China Airlines Fleet Details and History
  24. ^ シートマップ | チャイナエアライン
  25. ^ チャイナエアライン、ボーイング787-9型機8機を発注 787-10型機6機発注変更も
  26. ^ チャイナエアライン、ボーイング777Fを4機発注
  27. ^ 会社案内 - チャイナエアライン(2013年1月8日閲覧)
  28. ^ http://flyteam.jp/airline/china-airlines/news/article/59934
  29. ^ チャイナエアライン、4月から石垣/台北・桃園線に就航へ FlyTeam 2014年1月23日付
  30. ^ 旅客機アルバム (2014-2015). イカロス出版. (2014). https://www.amazon.co.jp/日本発着国際線-旅客機アルバム2014-2015-イカロス・ムック/dp/4863208553 
  31. ^ a b チャイナエアライン、関空路線見直し JFK線と台中線は運休 高雄線は増便 | FlyTeam ニュース”. FlyTeam(フライチーム). 2019年9月18日閲覧。
  32. ^ http://aviation-safety.net/database/operator/airline-country.php?id=Bt
  33. ^ https://www.china-airlines.com/us/en/about-us/index

関連項目[編集]

外部リンク[編集]