チャイコフスキー国際コンクール

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チャイコフスキー国際コンクール( - こくさい - 、英 International Tchaikovsky Competition)はモスクワで開催されるクラシック音楽コンクールエリザベート王妃国際音楽コンクールショパン国際ピアノコンクールと並ぶ、世界三大コンクールの一つと言われ、世界的に最も権威のあるコンクールのひとつである。

概要[編集]

ロシアの作曲家ピョートル・チャイコフスキーに因んで名付けられ、1958年より4年おきにモスクワで開催される。当初はピアノヴァイオリンのみが審査対象であった。1962年開催の第2回コンクールよりチェロが加わり、1966年より声楽部門が加わった。1990年からはヴァイオリン属の楽器と弓の製作技術を競う、ヴァイオリン製作者部門が設けられている。2006年モスクワ音楽院大ホールの修理や、FIFAワールドカップが重なること、スポンサーの未決定などの理由から開催が一年見送られ、第13回コンクールは、前回から5年おいた2007年6月に開催された。数々の著名な芸術家を輩出してきたコンクールである。

冷戦まっただ中で行われ、ソビエト連邦の文化的優位を誇示することが目的でもあった第1回コンクールでは、ピアノ部門でアメリカ人のヴァン・クライバーンが優勝し、ソ連とアメリカ合衆国の国交にまで影響を与えたと言われている。第2回はウラジミール・アシュケナージジョン・オグドンの同着優勝であったが、その翌年アシュケナージがロンドンへ亡命し、ソ連ではその優勝記録が抹消された。当時のソ連政府は「合宿」まで行ってコンテスタントのレヴェルアップを行っていたことが、ソ連崩壊後レフ・ヴラセンコにより明らかにされた。旧ソ連時代は賞金の国外持ち出し額にも厳しい制限があったと言われる。

コンクールは著名なロシア人音楽家からなる委員会によって組織され、Russian State Concert Company(Sodruzhestvo) が運営している。また著名な演奏家、音楽教授、音楽監督、元コンクール入賞者による国際審査員団が選出され、演奏の審査、入賞者の決定に携わる。現行の方式では、コンクールは6月に開催され、予備審査を含めて3次の予選が行われる。(旧ソ連時代は予備審査抜きで三次まで課された)初期には、点数順に8位まで表彰されていた。2007年時点では各楽器部門に6賞と男女声楽部門にそれぞれ4賞の、合計26の賞が授与される。歴史的には、1位を含め、いずれの賞にも該当者無しの場合もあれば、複数の演奏家が選出された例もある。1970年代までは誰でも応募でき、なおかつ演奏も可能な状態だった(観光の目的のコンテスタントまでいた)。アジア勢が大挙して押し寄せる時代を迎えた後、国内予選で選抜されたものしか第1次予選に進めなくなっていた。

AAFに加入と脱退を繰り返し、スポンサーに弱いなどの点を抱えているものの、第一級のソリストを輩出している点は不動である。2011年度から規約が一新され、コンチェルトを三曲も演奏させる部門まで登場するなど、「破格の」実力を求める点は変わっていない。また、国内予選で精鋭を選出する方式から、DVD審査と書類選考で一律に選考する方式に改められた。

開催年と入賞者[編集]

第1回(1958年)[編集]

ピアノ部門
ヴァイオリン部門

第2回(1962年)[編集]

ピアノ部門
ヴァイオリン部門
チェロ部門

第3回(1966年)[編集]

ピアノ部門では、優勝確実と見られていたニコライ・ペトロフが手の故障のため本選会を棄権し、グリゴリー・ソコロフが史上最年少で優勝した。

ピアノ部門
ヴァイオリン部門
チェロ部門
声楽部門・女声
声楽部門・男声

第4回(1970年)[編集]

ピアノ部門
ヴァイオリン部門
チェロ部門
声楽部門・女声
声楽部門・男声

第5回(1974年)[編集]

ピアノ部門
ヴァイオリン部門
チェロ部門
声楽部門・女声
声楽部門・男声

第6回(1978年)[編集]

ピアノ部門
ヴァイオリン部門
チェロ部門
声楽部門・女声
声楽部門・男声

第7回(1982年)[編集]

ピアノ部門
ヴァイオリン部門
チェロ部門
声楽部門・女声
声楽部門・男声

第8回(1986年)[編集]

ピアノ部門
ヴァイオリン部門
チェロ部門
声楽部門・女声
声楽部門・男声

第9回(1990年)[編集]

予定されていたオーケストラがストライキに入り、代わりにアマチュアのロストフシンフォニーが伴奏を引き受けた。

ピアノ部門
ヴァイオリン部門
チェロ部門
声楽部門・女声
声楽部門・男声

第10回(1994年)[編集]

ピアノ部門
ヴァイオリン部門
チェロ部門
声楽部門・女声
声楽部門・男声

第11回(1998年)[編集]

ピアノ部門
ヴァイオリン部門
チェロ部門
声楽部門・女声
声楽部門・男声

第12回(2002年)[編集]

審査員に予定されていた中村紘子が、直前になってキャンセルした。

ピアノ部門
  • 第1位 上原彩子(日本)
  • 第2位 Nabiulin Alexei (ロシア)
  • 第3位 Jin Ju (中国)、Ponotchevny Andrei (ベラルーシ
  • 第4位 なし
  • 第5位 Onischenko Dmitry (ウクライナ)、Lim Dong-Min (韓国)
  • ディプロマ Dombrovsky Pavel (ロシア)、Teterin Dmitry (ロシア)
ヴァイオリン部門
  • 第1位 なし
  • 第2位 川久保賜紀(日本/アメリカ)、Chen Xi (中国)
  • 第3位 Samouil Tatiana (ロシア)
  • 第4位 Kazazyan Gaik (ロシア)
  • 第5位 Koeckert Nickolas (ドイツ)、Ovrutsky Mikhail (ロシア/アメリカ)
  • 第6位 Liu Yang (中国)
  • ディプロマ Stembolsky Evgeny (ロシア)
チェロ部門
  • 第1位 なし
  • 第2位 Moser Johannes (ドイツ)
  • 第3位 Popp Claudius (ドイツ)、Chaushyan Alexander (アルメニア
  • 第4位 石坂団十郎(ドイツ)
  • 第5位 Shao Sophie (アメリカ)、Garioud Romain (フランス)
  • 第6位 Prokofjev Dmitry (ロシア)
  • ディプロマ Khramouchin Alexander (ベルギー)
声楽部門・女声
  • 第1位 Afanasieva (Adamova) Aitalina (メゾソプラノ、ロシア)
  • 第2位 Wu Bi Xia (ソプラノ、中国)
  • 第3位 Samuil Anna (ソプラノ、ロシア)
  • 第4位 Bakastova Anastasia (ソプラノ、ロシア)
  • ディプロマ Lungu Irina (ソプラノ、ロシア)、Shvachka Angelina (メゾソプラノ、ウクライナ)
声楽部門・男声
  • 第1位 Kazakov Mikhail (バス、ロシア)
  • 第2位 Dunaev Andrey (テノール、ロシア)
  • 第3位 Dong Seub Kim (バリトン、韓国)
  • 第4位 Kocan Stefan (バス、スロバキア
  • ディプロマ Dudar Victor (バス、ウクライナ)、Tae Hyun Kim (バリトン、韓国)

第13回(2007年)[編集]

ピアノ部門
ヴァイオリン部門
チェロ部門
声楽部門・男声
  • 第1位 Alexander Tzimbaluk
声楽部門・女声
  • 第1位 Albina Shagimuratova

第14回(2011年)[編集]

ピアノ部門
ヴァイオリン部門
  • 第1位 なし
  • 第2位 Sergey Dogadin (Russia)、Itamar Zorman (Israel)
  • 第3位 Jehye Lee (South Korea)
  • 第4位 Nigel Armstrong (USA)

  • 第5位 Eric Silberger (USA)

チェロ部門
  • 第1位 Narek Hakhnazaryan (Armenia)

  • 第2位 Edgar Moreau (France)

  • 第3位 Ivan Karizna (Belarus)

  • 第4位 Norbert Anger (Germany)

  • 第5位 Umberto Clerici (Italy)

声楽部門・男声
  • 第1位 Jongmin Park (South Korea)

  • 第2位 Amartuvshin Enkhbat (Mongolia)

  • 第3位 なし

  • 第4位 なし
声楽部門・女声
  • 第1位 Sun Young Seo (South Korea)

  • 第2位 なし
  • 第3位 Elena Guseva (Russia)

  • 第4位 なし

外部リンク[編集]