チアチア語

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チアチア語
Bahasa Ciacia, 바하사 찌아찌아
話される国 インドネシア ブトゥン島, スラウェシ島
母語話者数 80,000 (as of 2005)[1]
言語系統
表記体系 ラテン文字, ハングル (非公式), グンドゥール文字 (伝統)
言語コード
ISO 639-1 なし
ISO 639-3 cia
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チアチア語ラテン文字: Bahasa Ciacia, ハングル: 바하사 찌아찌아)は、インドネシアスラウェシ島沖にあるブトゥン島南端の町バウバウ英語版周辺で話されているオーストロネシア語族系の言語。南部ブトゥン語(South Buton(ese))とも呼ばれる。

2009年、バウバウの町はチアチア語の表記文字として公式にハングルを採用するという決定を行い、国際的なメディアの注目を浴びた[2]

ただし、駐韓国インドネシア大使のニコラス・ダメン(Nicholas T. Dammen)や、2007年にバウバウ市長にハングルを採用するよう最初に提案したチョン・テヒョン教授(Chun Tai-hyun、전태현 )などは、実際にはハングルの普及は思わしくないとの報告を行っている[3]。彼らは、韓国の英文紙コリア・タイムスの2010年のインタビューに対し、バウバウ市長のアミルル・タミン(Amirul Tamim)がハングルの普及に十分努めなかったため、チアチア語に公式に採用されているとは言えない、と話している。

後に、これらの情報はハングルの優秀性を示すために行われた虚報だということが判明した[4]

概要[編集]

チアチア語話者は2005年の時点で約8万人である[1]。ただし、ほとんどの者がほぼ同じ言葉のウォリオ語英語版インドネシア語も話せる。ウォリオ語は表記にアラビア文字を使い、一方でインドネシアの学校ではラテン文字しか教えないので、書き言葉としては使われなくなってきている[5]

使用範囲[編集]

チアチア語は南東スラウェシ州ブトゥン島南部、ビノンコ島、バトゥアタス島などで使われている[1]。伝説によると、ビノンコ島のチアチア語話者は、ブトゥン島のサルタンから派遣された軍の末裔である[6]

周囲の状況[編集]

ブトゥン島の言語事情は複雑で、十分に調べられていない[7]。方言として、Kaesabu、Sampolawa (Mambulu-Laporo)、Wabula、Masiriなどがある[1][8]。Masiri方言は語彙も豊富である[1]。Pesisir方言でghと発音するところ、Pedamalan方言ではrと発言する。ただしPedamalan方言は外来語の影響が強い[9]

表記法[編集]

チアチア語は昔はジャウィ文字系の文字グンドゥール文字で記されていた。この文字はアラビア語を元に、子音5文字を足したものである。

2009年、チアチア語はバウバウ町の決定により、文字としてハングルが採用されたことで国際的なメディアの注目を浴びた。そのための教科書も準備され、3年生50人に配布された[2][10][11][12][13]

チアチア文字 [14]
子音 * ** ***
ローマ字 g k n d dh t r ~ gh, l m b v ~ w bh p s null, ’, ng j c h
IPA [ɡ] [k] [n] [ɗ] [d] [t] [r ~ ʁ, l] [m] [ɓ] [β] [b] [p] [s] [-, ʔ, ŋ] [dʒ] [tʃ] [h]
母音
ローマ字 a e o u i null

* の文字は/r/を、の文字は/l/を表す。が2字に分けて書かれることもあり、例えば빨리は前の字の最後のと次の字の最初のを合わせてpaliと発音される。세링が1つなのでseringとなる。冒頭の/l/は無音字ㅡを利用して을ㄹ-のように書かれる。語尾の/l/は単にと書かれる。語尾の/r/は無音字ㅡを利用してと書く。そのため、例えば사요르sayorとなる。

** 現在のハングルには[v]を表す文字が無いため、韓国ではすでに使われなくなったの文字が復活して使われている[15]

*** 韓国語では[ŋ]を意味する。チアチア語の[ʔ]で表すため、文字では両者を区別できない。

文例[16]:

아디 세링 빨리 노논또 뗄레ᄫᅵ시. 아마노 노뽀옴바에 이아 나누몬또 뗄레ᄫᅵ시 꼴리에 노몰렝오.
adi sering pali nononto televisi. amano nopo'ombae ia nanumonto televisi kolie nomolengo.

単語[編集]

数詞の1から10は:

1から10の数詞[17]
数詞 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
ラテン文字化 dise, ise rua, ghua tolu pa'a lima no'o picu walu, oalu siua ompulu

動詞[編集]

  • 부리 buri (bughi) 書く
  • 뽀가우 pogau 話す
  • 바짜안 baca'an 読む[16][18]

名詞[編集]

  • 까아나 ka'ana
  • 시골라 sigola 学校
  • 사요르 sayor 野菜
  • 보꾸 boku[19][20]

会話[編集]

  • 따리마 까시 Tarima kasi. ありがとう
  • 인다우 미아노 찌아찌아 Indau miano Cia-Cia. 私はチアチア語話者です
  • 인다우 뻬엘루 이소오 Indau pe'elu iso'o. 好きです
  • 모아뿌 이사우 Moapu isau. ちょっといいですか
  • 움베 Umbe. はい
  • 찌아 Cia. いいえ[21]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e Ethnologue report for language code cia (英語) - エスノローグ
  2. ^ a b Agence France-Presse, "Southeast Sulawesi Tribe Using Korean Alphabet to Preserve Native Tongue", Jakarta Globe, 2009 August 06
  3. ^ Korea Times, Quest to Globalize 'Hangeul' Raises Questions
  4. ^ ソウルからヨボセヨ 「ハングル輸出」は虚報 産経新聞 2012年10月20日03:01配信 2012年11月20日閲覧
  5. ^ Butonese - Introduction
  6. ^ Noorduyn, J. 1991. "A critical survey of studies on the languages of Sulawesi" p. 131.
  7. ^ Noorduyn, J. 1991. "A critical survey of studies on the languages of Sulawesi" p. 130.
  8. ^ Donohue, Mark. 1999. "A grammar of Tukang Besi". p. 6.
  9. ^ Konisi & Hidayat
  10. ^ "South Korea's Latest Export: Its Alphabet", New York Times, 2009 Sept. 11
  11. ^ Korea Times, 2009-08-06[1]
  12. ^ Indonesian tribe to use Korean alphabet
  13. ^ (LEAD) Indonesian tribe picks Korean alphabet as official writing system
  14. ^ slideshow
  15. ^ (朝鮮語) 사라질 소수민족 언어 ‘한글’로 새 생명(Hangul which brings the new life to the Cia-Cia people)” (ko). 경향신문 (京鄉新聞)/Kyunghyang Sinmun. (2009年8月6日). http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=200908061804195&code=940401 2009年8月9日閲覧。 
  16. ^ a b (朝鮮語) 印尼 소수민족, '한글' 공식 문자로 채택
  17. ^ Numbers in Austronesian languages
  18. ^ (朝鮮語) 인도네시아에 한글 사용하는 섬 생겼다
  19. ^ (朝鮮語) 8월20일 뉴스후 131회 - ‘따리마까시(고마워요), 한글’ (밤9시45분)
  20. ^ (朝鮮語) 한글을 공식문자로 채택한 인도네시아 한글마을 가보니 현장스케치 (전체공개)
  21. ^ (朝鮮語) 세계속의 한글

参考文献[編集]

  • van den Berg, René. 1991. "Preliminary notes on the Cia-Cia language (South Buton)." In Harry A. Poeze and Pim Schoorl (eds.), Excursies in Celebes: Een bundel bijdragen bij het afscheid van J. Noorduyn als directeur-secretaris van het KITLV, 305-24. Leiden: KITLV.
  • Mustafa Abdullah. 1985. Struktur bahasa Cia-Cia. Proyek Penelitian Bahasa dan Sastra Indonesia dan Daerah Sulawesi Selatan, Departemen Pendidikan dan Kebudayaan.
  • Ho-Young Lee, Hyosung Hwang, Abidin. 2009. Bahasa Cia-Cia 1. Hunmin jeongeum Society of Korea.
  • (インドネシア語) Konisi & Hidayat, 2001, Analisis kategori kata bahasa cia liwungau

外部リンク[編集]