ダンベル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ダンベル(英: dumbbell)または鉄亜鈴(てつあれい)とは、ウエイトトレーニング器具の一種である。
目次 |
[編集] 概要
ダンベルは、重量による負荷を運動に付与することで、筋力をつけたり、消費カロリーを増やすなど、運動の効果を高めるものとして利用されている。様々な製品が流通しており、利用の目的や利用者の体力に合わせ、様々な形状のものがあり、トレーニングのために筋肉を意識しやすいように、握り手の部分の形状が工夫され、重量も目的に応じて数百グラムから30kgを超えるものまで適宜選べるようになっている。
プラスチック製の容器に水を充填して使用する簡易な製品をはじめ、重量のあるものでは重しの周辺にゴムをまいて騒音対策をしたものなども見られ、重量も様々である。日本では2000年頃からの健康ブームの一端で、「ダンベル体操」[1]という家庭向けのフィットネスも登場しており、ホームセンターやスポーツ用品店などでもよく見かける定番商品となっている。
なお、重量物であるため、人に危害を与えたり物品を破損する危険性もあり、使用する際は周囲の状況を確認することも必要である。また床に落とすと騒音の元にもなり、集合住宅では近隣家庭から苦情が出ることもある。このため関連用品として床に投げ出したときの振動を吸収し騒音を防止する目的で、防振マットも流通している。
[編集] 適正重量と注意点
青少年が手っ取り早く筋力を付けたいといった目的で利用する場合や、健康ブームでのビギナーの利用においては、過剰な効果を期待して、むやみに重量のあるダンベルを買い求めがちである。しかし、これらの道具は手に持って振り回す性質のものでもあるため、過剰な負荷を一時に掛けても筋肉や関節を傷めるばかりで、実際の効果につながりにくい。スポーツ医学の側面から見れば、腕で持ち上げられる限界の重さのダンベルを使用するよりも、十分とり回しができる程度の、言い換えれば「ほどほど」な重さのダンベルを使った継続的なトレーニングこそ望ましい。店頭で選ぶ際には、難なく持ち上げられる程度のもので十分である。
また、重量のあるダンベルは、振り回した際に慣性に従って手からすっぽ抜けることもあり、すっぽ抜ければ当然事故や怪我の原因となる。重いダンベルを使用する場合には、持ち上げる腕の筋力と平行して、手首や握力の強化も必要となる。また、ダンベルを持って腰をひねる運動をする場合、重すぎるダンベルでは慣性に振り回されて過剰な負荷が掛かり、腰椎を傷める危険性もある。
力に自信のない人は、頭の上まで上げてしまうと降ろす時に、頭にダンベルをぶつけてしまう恐れもあり、その意味でも自分に合った無理なく継続できるダンベルを選ぶのが望ましいと言える。
このほか、ウェイトを変更できる取り外し式のものは、しっかりと留め具が固定されているかを確かめて使わないと、ウェイトの脱落が起こりうるため危険である。
[編集] 名前の由来とその歴史
「ダン」は英語で dumb 、「黙った」という意味(正しい発音は「ダム」)。「ベル」は bell で、教会の釣り鐘を意味する。字義どおりだと「黙ったベル」となる。文字通り「音を立てないベル」を使ってトレーニングをしていた歴史の名残がある言葉である。
ダンベルの歴史は11世紀のインドにまで遡ることができる。そこではアスリート達が「ナル」と呼ばれる木の棒の外側に石をくくりつけたダンベルを使用していた。
英国テューダー朝時代(1485年 - 1603年)には、鐘(ベル)を鳴らすことで筋力が付くことは広く知られており、16世紀には、金持ちの子息たちの間で、教会の鐘と同じような器具を自宅に作ることが流行った。重しをつけたロープを滑車(プーリー)に通して引っ張ったのである。これは鐘を鳴らす動作と同じであった(日本では鐘は突くものだが、西洋では逆で、鐘は引っ張って鳴らす)。この器具はベルとよばれたが、実際にはベルではなく、音は鳴らない。そのため口語でこれを"dumb-bells"と言うようになった。時代がたつにつれ滑車とロープはすたれ、重しだけが残った。ハンドルの両端に等しい重しをつける現在の形となったのは、19世紀の初頭である。
日本語の「唖鈴(あれい)」は、dumbbellを直訳した語である。「唖」はおし、つまり口がきけないさまを指す語であり、差別用語とみなされることから、代用漢字「亜」を用いて「亜鈴」、または片仮名で「アレイ」と表記される傾向にある。なお、「唖」の字は常用漢字に入っておらず、パソコン等の日本語入力システムの辞書においても「唖鈴」の語は登録されていないことが多い。

