ダイラタンシー
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ダイラタンシー(Dilatancy、ダイラタントとも、英:Dilatant)とは物理学の運動の一種である。
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[編集] 原理
物体にずり応力(物体の中にかかる力)が発生して、液体の状態から固体に変化する現象である。この現象が起こる物体を「ダイラタンシー流体」という。ダイラタンシー流体は粒子が小さいため力を加えて粒子が密集すると粒子の間の隙間が小さくなり、強度が増し固体になる。しかし力を加えるのを止めると再び粒子の間の隙間が広がり、元の液体に戻る。(逆の現象として→チキソトロピー)
[編集] 語源
イギリスの物理学者のオズボーン・レイノルズ(Osborne Reynolds)がこの現象を発見し、英語で「膨らむ」を意味する「dilatancy」が語源である。また、「レイノルズ」という別称がある。
[編集] 代表的な例
- 砂浜を足で踏み付けたり押さえ付けたりすると砂は硬くなり、海水を含むと更に硬くなる。普通の乾いた砂浜では自動車のタイヤは滑りこんでハンドルの操作ができなくなるのだがこの現象があるところでは砂が硬いため、自動車で通行したり砂浜に駐車することができる。石川県の羽咋市から宝達志水町にかけての千里浜の砂浜が有名。
- 生クリームの泡立て。
- ヤマノイモやナガイモの磨り下ろし。
- 水溶き片栗粉。およそ水1:片栗粉1。
- テレビ宮崎の柳田哲志アナウンサーが尻相撲大会で自ら水田に向かって頭からダイブし、首を骨折する重傷を負い全身麻痺の重篤となった。通常は軟らかい泥が、瞬時に圧力を掛けたことで硬くなったために起こった事故である。
[編集] ダイラタンシーの作り方
水に片栗粉かコーンスターチを入れて、しばらく混ぜる。うまく水の量を調節すると、その液体を握ると固体のようになり、手の中で硬くなるし握りつぶせばヒビが入るようになる。しかし握るのを止めると再び液体状になり、指の間から流れ落ちる。これが、最も一般的な作り方である。また炭酸カルシウムとベンゼンとデンプンを混ぜても作れるがベンゼンは有毒で燃焼性が高く危険なので、通常の実験で行うのは止めたほうがよい。
[編集] 流体の構造
ダイラタンシー流体の粒子は隙間の空間が最も小さくなるように並んでいる。この並び方を「最密充填」という。スーパーにリンゴやミカンがピラミッドのように高く積まれていることがあるが、この積み方も最密充填である。これは1611年、ドイツの数学者・天文学者のヨハネス・ケプラーが最密充填が最も空間が少ないと推測した。1997年にはアメリカ・ミシガン大学のヘイルズが数学的に証明した。片栗粉や千里浜の砂を水に混ぜると最密充填の詰まり方になり、粒子と粒子の間に水があり潤滑剤の役目をして液体のように流れる。最密充填は上からの力に弱く、上の粒子が下の粒子と反発して動かなくなる。上側にある水分が下側に移動して上側が固体になるのである。
ダイラタンシーは、不揃いの粒子(浜辺の砂やαでんぷん粒子)の隙間に液体が入り込んだ物体にせん断応力(ずり応力、ストレス)が与えられるときに膨張することで起こる。これは、液体を満たした不揃いの粒子が、それを摺り合わせる力となるせん断応力によって回転したときに、互いに出っ張ったところが「かみ込む」ことでつっかえて広がろうとする。ところが隙間は液体が充填されているので、この空間を拡張しようとすると液体に陰圧がかかる。この陰圧による張力が粒子を引き寄せる力となり、膨らみながら粘度が増大する現象である。
ダイラタンシーはオストワルド式(ベキ乗法則)S=kDnにおいて、せん断速度(ずり速度、またはせん断ひずみ)Dの指数nが1よりも大きい場合を指す。ちなみにnが1の場合をニュートン流動(粘性流動)といい小分子の液体の多くはこの性質を持つ。また、nが1よりも小さい場合を擬粘性流動といい、濃度1%以下の高分子の溶液やクリームはこの性質を示す。
なお、片栗粉(古くはカタクリという植物の根の粉末だが、今日ではジャガイモから製される)やコーンスターチのでんぷんはグルコースの繊維であるアミロースと分岐点を多く含むアミロペクチンからなる。糸鞠状になるが、分岐点があるので粒子は一様ではなく、でこぼこになると想像され、六方最密充填格子状に配列することは困難ではないかと思われる。

