ゼネラル・エレクトリック CF6

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ゼネラル・エレクトリック CF6

ゼネラル・エレクトリック CF6(General Electric CF6)は、アメリカ合衆国ゼネラル・エレクトリック(現GE・アビエーション)が開発した航空機高バイパス比ターボファンエンジンである。原型となったのはアメリカ空軍C-5大型輸送機用に開発されたTF39 ターボファンエンジンで、世界初の実用高出力・高バイパス比エンジンであった。現在では軍用・民間を問わず様々な航空機に使用されている。また、後継機としてGEnx エンジンが開発中である。

歴史[編集]

1964年アメリカ空軍は次世代戦略輸送機を開発する「CX-X計画」を開始し、1965年ロッキードの機体とゼネラル・エレクトリックエンジンを採用することが決定した。

高バイパスターボファンエンジンは性能を大きく飛躍させ、燃費を25%改善しつつ43,000lb(約19.5t)の推力を生み出した[1]。TF39のバイパス比は8で、圧縮比は25、また、高度な冷却システムによって1,370℃というタービン温度を達成した。TF39の初号機は1965年に試運転し、1968年-1971年にかけて463基が生産されてC-5Aに搭載された。

TF39は民間用にCF6として提案され、すぐにイースタン航空向けに売込んでいたロッキード L-1011マクドネル・ダグラス DC-10が関心を示した。L-1011は結局ロールス・ロイス RB211を採用してCF6の最大のライバルを作ることになったが、DC-10はCF6を採用して1971年に初飛行し、市場で成功を収めた。さらにCF6はボーイング747のエンジン選択肢の一つに選ばれた(ちなみに、747はCF6誕生のきっかけとなったCX-X計画でロッキードに敗れた開発資源を民間に転用したものである)。それ以来、CF6はエアバスA300A310A330ボーイング767、マクドネル・ダグラス MD-11などに採用されている[2]

日本においては多くの民間航空機に搭載されている他、航空自衛隊日本国政府専用機E-767早期警戒管制機KC-767J空中給油機C-X(次期輸送機)に採用されている。

種類[編集]

TF39[編集]

TF39は、1960年代において革新的なエンジンだった。推力は41,000-43,000lbf(191-205kN)である。以下に示す新技術が投入された。

機械的にTF39はそれまでに無かった高バイパス比のターボファンエンジンである。それまでは初段のファンブレードには吸気案内翼が外部バイパス部にありコアブースターステージがファンローターの前にあった。 TF39の構造は次のサイトにある→ [1]

CF6-6[編集]

FAAによるCF6-6の断面図

CF6-6は、民用のTF39として開発され、DC-10に最初に搭載された。最初期型のCF6であり、単段のファンとコアブースター段を5段の低圧タービンで駆動、16段の高圧軸流圧縮機を2段の高圧タービンで駆動する形式で、燃焼器はアニュラー式で排気を分割する。86.4in(2.19m)径のファンによって1,300lb/s(590kg/s)の推力を生み出し、バイパス比は5.72に達する。圧縮比は24.3である。最大離陸重量時の静止推力は40,000lbf(178kN)である。

CF6-50/45[編集]

CF6-50 シリーズは、推力が46,000-54,000lbf(205 to 240kN)の高バイパス比エンジンである。産業・船舶用にLM2500 ガスタービンエンジンとして開発された。1969年に長距離型DC-10用エンジンの後継として開発が開始された。

1969年、エアバスA300に採用され、1971年エールフランスがローンチカスタマーになった。1975年にはKLMが最初のCF6-50搭載ボーイング747の発注を行った。CF6 ファミリーはこれを機にCF6-80へと発展する。

1980年には全日本空輸のボーイング747SR専用として推力を落としたCF6-45がファミリーに加わった。

CF6-80[編集]

CF6-80は、推力が48,000-75,000lbf(214 to 334kN)である。CF6-50 シリーズの成功を受けて更に改良した。高圧圧縮機は14段である。

767に搭載されたCF6-80C2B6Fの高圧タービンに起因する故障[3][4][5][6][7][8]を受け、FAAは一定時間使用したCF6-80の使用に注意を勧告している[9]

-80シリーズには3種類がある。

CF6-80A[編集]

CF6-80Aは、推力が48,000-50,000lbf(214 to 222kN)で、ボーイング767エアバスA310に搭載されている。このエンジンを搭載した767は1982年に、A310は1983年に就航した。また、ETOPSに認定されている。

CF6-80A/A1のファンの直径は86.4in(2.19m)で、空気流量は1,435lb/s(651kg/s)で圧縮比は28.0、バイパス比は4.66である。静止時における推力は48,000lbf(214kN)である。基本的な機械的構成は-50 シリーズと同様である。

CF6-80C2[編集]

CF6-80C2を搭載したデルタ航空のボーイング767

CF6-80C2は、1985年10月から運用開始された。推力は52,500-63,500lbf(234 to 282kN)である。燃料消費率が同水準の推力のエンジンと比較して向上している。 CF6-80C2は、同一のハードウェアでエンジン制御部の"Rated Plug"を交換することで最大推力が16段階に調節でき、その用途の広さからこのエンジンは幅広い分野で使用されている。 CF6-80C2-A1は、ファン径が93in(2.36m)で空気流量は1,750lb/s(790kg/s)である。圧縮比は30.4でバイパス比は5.15である。静止時の推力は59,000lbf(263kN)である。-80Aに比べると、高圧圧縮機に特設ステージが1段、低圧タービンには第5段目が追加されている。

CF6-80C2は現在、ボーイング747MD-11の様なワイドボディ機に搭載されている。CF6-80C2はエアバスA300A310ボーイング767向けにETOPS-180の認可を受けている。また、アメリカ空軍C-5M スーパーギャラクシーにも搭載されている。

CF6-80E1[編集]

CF6-80E1は、エアバスA330用に特別に開発された。推力は67,500-72,000lbf(300 to 334kN)である。CF6-80E1A2のファン径は96in(2.44m)である。空気流量は873,6kg/s 1,925lb/s(875kg/s)で圧縮比は32.6、バイパス比は5.3である。

他の派生型[編集]

産業用と船舶用に開発されたCF6-80C2は、LM6000 シリーズと称し、高速船舶や艦船に搭載される。 LM2500とLM5000は圧縮器の端から軸出力を取り出している。LM6000は低圧圧縮器をCF6-50から流用している。

CF6-32[編集]

CF6-32は、ボーイング757向けにCF6-80の出力を減らしたものである。実際には採用されなかった。

比較[編集]

技術仕様[10]
仕様 CF6-6 CF6-50 CF6-80A CF6-80C2 CF6-80E1
ファン/圧縮機の段数 ファン1段/低圧1段/高圧16段 ファン1段/低圧3段/高圧14段 ファン1段/低圧3段/高圧14段 ファン1段/低圧4段/高圧14段 ファン1段/低圧3段/高圧14段
低圧タービン/
高圧タービン段数
5/2 4/2 4/2 5/2 5/2
最大直径(インチ) 105 105 105 106 114
全長(インチ) 188 183 167 168 168
乾燥重量(Lb.) 8,176-8,966 8,966-9,047 8,760-8,776 9,480-9,860 11,225
搭載機 DC-10-10 エアバスA300B
DC-10-15/-30
KC-10
ボーイング747-200
747-300
E-4
エアバスA310-200
ボーイング767-200
エアバスA300-600/R/F
A310-200/-300
ボーイング767-200/200ER
767-300/-300ER
767-400ER
E-767/KC-767
747-300
747-400/-400ER
MD-11
XC-2
エアバスA330-200/-300
A330 MRTT
最大出力時における
燃料消費率
0.35 0.368-0.385 0.355-0.357 0.307-0.344 0.332-0.345
海面高度での最大出力(Lb.) 41,500 51,000-54,000 48,000-50,000 52,500-63,500 67,500-72,000
最大出力時における
総圧縮比
25-25.5 29.2-31.1 27.3-28.4 27.1-31.8 32.4-34.8
バイパス比 5.76-5.92/5.89 4.24-4.4 4.59-4.66 5-5.31 5-5.1

採用機[編集]

  • TF39
  • CF6-6
  • CF6-50
  • CF6-45
  • CF6-80
  • -400F
  • -400ER/-400ERF
  • -400D(JALANA国内線機材)
  • 軍用派生型機

出典[編集]

[ヘルプ]

外部リンク[編集]