セントラルドグマ
セントラルドグマ(英: central dogma[1])は、フランシス・クリックが1958年に提唱した[2]分子生物学の概念。遺伝情報は、「DNA→(複製)→DNA→(転写)→RNA→(翻訳)→タンパク質」の順に伝達されると主張するもの。セントラルとは中心、ドグマとは宗教における教義のことであり、セントラルドグマは、「分子生物学の中心原理」または「生物学の中心教義」と呼ばれることがある。
絶対的なものであるイメージが強かったが、逆転写酵素の発見、すなわちRNAからDNAへ逆行する伝達経路があることが明らかにされ、修正を迫られた。その後、特に真核生物においては、翻訳の前にRNAプロセシング(キャップ形成、ポリアデニル化、スプライシング )があることが判明し、セントラルドグマは修正が加えられている。
この概念の分子機構を明らかにする取り組みがなされることで、mRNA、tRNA、遺伝暗号などが発見・解明され、遺伝子発現が定義された。
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遺伝情報の発現 [編集]
セントラルドグマとは、遺伝情報(DNA配列情報)が転写と翻訳を経てタンパク質として機能発現する過程があらゆる生物種において共通するいう主張である。DNAの遺伝情報がRNAに伝達されること転写、さらにRNAからタンパク質の形に変換されることを翻訳と呼ぶ。通常遺伝情報はDNAからタンパク質に一方的に伝達される。それに対してRNAを遺伝子としているウイルスの一部(レトロウイルス)は、宿主細胞内でRNAをDNAに変換するセントラルドグマの逆反応を行なったのち、セントラルドグマに従ってDNAからRNAの転写を経てタンパク質へ翻訳され、ウイルスが作成される。
遺伝情報の複製 [編集]
遺伝子の親から子へ受け継がれる働きはDNA複製によって行なわれる。遺伝情報はDNAという化学物質を介して伝えられる。ゲノムDNAの構造が親から子へそっくり伝えられるためには、細胞が分裂し、細胞が2倍に増える前に親細胞と同じゲノムDNAがもう一揃え合成される。これが複製である。
複製は 極めて高い精度で行われるが、それでも
程度の割合で合成ミスが起こる。また紫外線や化学物質によってDNAが傷つき、突然変異が生じることもある。
脚注 [編集]
- ^ 文部省・日本遺伝学会 『学術用語集 遺伝学編』 丸善、1993年、増訂版。ISBN 4-621-03805-2。
- ^ Crick, F.H.C. (1958): On Protein Synthesis. Symp. Soc. Exp. Biol. XII, 139-163. (pdf, early draft of original article)