セマウル号

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セマウル号
8200形電気機関車牽引のセマウル号
8200形電気機関車牽引のセマウル号
各種表記
ハングル 새마을호
漢字 새마을號
発音 セマウロ
(セマウ=ホ)
2000年式
MR式
英語
Saemaeul-ho
Saemaŭl-ho
Saemaul
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セマウル号(セマウルごう)は韓国鉄道公社列車。「セマウル」とは「新しい村」の意。朴正煕政権下のセマウル運動にちなむ。

概要[編集]

セマウル号の原型は1969年に登場した超特急「観光号」で、1974年首都圏電鉄広域電鉄)開業に合わせて現行名に改称した。だがセマウル運動を進めた朴正煕が暗殺された後の1980年、新政権によって名称が廃止され、名無しの「超特急」となった。1984年に名称復活。

韓国高速鉄道(KTX)開業以前の最優等列車で、客室はJRグリーン車にあたる特室と普通車にあたる一般室があるが、一般客室でも日本のJR特急のグリーン車並である。ソウル市と地方都市を結ぶ主要路線は網羅しており、かつて最速列車はソウル釜山を4時間10分で結び、途中停車駅も大田東大邱だけであった。また京釜線だけで18往復あった。

2013年2月現在の車両は機関車牽引による客車のみであるが、同年1月まではプッシュ・プル方式の気動車(PP動車)による運用も存在した。両者はほぼ同一で内装も変わらない(ただしPP動車のエンジンのある先頭と最後尾車両の客席については振動騒音が大きく、長時間乗車には不向きである)。全列車が全席指定席で、2000年ごろから1両だけ自由席にしたが、短期間で廃止した。2011年1月現在、平日に限り、5号車1両を自由席として運用している。

色は、旧型客車と9201系動車(下記)が白地に窓周りが青の帯、ステンレス客車は青帯に白のアクセントが入っていた。PP動車(下記)は先頭車の運転席からボンネットにかけてが赤、それ以外はステンレス客車と同じだったが、後に両者とも緑と黄色の帯に塗り替えられた。その後韓国鉄道庁公社化(KORAILへの移行)に伴い、黄色・白・紺の帯に塗り替えられている。

客車の老朽化に伴い、2018年までに退役することが決まっている。後継として、電車特急のITX-セマウル2014年5月12日より運行を開始しており、同年6月30日には中央線東海南部線長項線以外の路線でのセマウル号を置き換えている。

KTXの開業による影響[編集]

  • 停車駅が増え(地方市郡の代表駅にも停車)、ソウル - 釜山間では最速でも5時間ほどかかるようになった。
  • 京釜線では大幅に本数が削減され、2008年現在、京釜線のみを走行する列車は5往復程度となった。しかし、その分が長項線全羅線東海南部線に振り向けられ、これらの線区では増発となった。
  • 東大邱~慶州~蔚山・浦項を結ぶ連絡シャトル列車が10往復設定されたが、年内にすべて廃止され、ソウル直通列車が増発された。
  • 中央線太白線系統の計3往復は2006年改正で廃止され、新たに京義線鎮海線での短距離列車が設定された。(京義線セマウル号は2009年のソウル~汶山間広域電鉄化により廃止) たたし、中央線系統のセマウル号は2010年12月15日から1日1往復で運行を再開した。

運行路線[編集]

2014年6月30日より、ほとんどの路線のセマウル号はITX-セマウルに置き換えられた。現在運行されているセマウル号は非電化路線の運行が中心となっている。

  • 中央線:清凉里 - 安東(2往復、うち1往復は土日運行)
  • 東海南部線(中央線・大邱線京釜線直通):ソウル - 東大邱 - 浦項(2往復)
  • 長項線(京釜線直通):龍山 - 天安 - 長項 - 益山(7往復)
  • 湖南線(京釜線直通): 龍山 - 木浦(1往復、夏期臨時運行)

セマウル号の気動車[編集]

DEC[編集]

セマウル号に最初に登場した気動車は、9201系ディーゼル動車(当初は201系)DECで、5両編成2本が1980年からソウル~全州の間で運行したが、数年で廃止され、車両はその後ムグンファ号に転用された。詳細はムグンファ号の記事参照。

DHC[編集]

1987年から2013年まで運行されていた2代目の気動車は全てプッシュ・プル気動車DHC (Diesel Hyduralic Car)であり、プッシュ・プルを略してPP動車とも呼ばれている。両端の先頭車のうち半室が機関室(PMCと呼ぶ)で残りが客室であり、中間車は付随車で、集中動力方式であり、気動車というよりは狭い客室を備えたディーゼル機関車客車の組合せによる編成と考えてもよい。ただ、PP動車は力が弱く山岳路線に不向きだったため、勾配のきつい路線では大出力の機関車を利用した客車編成である。最高速度はいずれも140km/h。先頭車PMCにはドイツ製大出力エンジンを2基搭載している。そのためPMCの客室は騒音と振動が激しいが、中間車は無動力なので非常に静かである。2013年1月5日をもって気動車編成による運行を終了、両端先頭車は廃車となり、中間付随車については機関車牽引による客車として引き続き使用されている。

101系は1987年から導入された。運行開始当初は211系。大宇重工業製で6両編成2本、5両編成2本の22両が製作された。先頭車101型と付随車301・501型が一般室、601型は特室と食堂が半室ずつで構成されている。5両編成2本は111系増備の際に6両編成化された。

登場当時の111系。1988年に運行された「世界平和列車」の装飾つき。

111系(当初は231系)は1988年導入。101系に比べ出力を30パーセントアップした。大宇、現代精工、韓進重工業によって製造された。こちらは8両編成で、9両編成や2編成をつないだ16両編成も可能で、柔軟な運用に対応している。先頭車111型、付随車の301・501・521・571型が一般車、特室は611・681型、食堂車は801型である。国鉄による導入だけではなく、政府資金による調達車両を、国鉄で借り受けるリース方式による車両も多く、それによって急速かつ大量に導入することが出来た。なお、釜田-益山間併結で湖南線木浦、全羅線麗水行きになる列車が2往復ある。

251系1992年導入の8両全特室編成で、基本性能は111系と変わらない。先頭車251型、付随車の701・751・781は全て特室、食堂車は871型である。こちらもリース方式で導入された車両が多い。現在、全特室編成はなくなり、111と251は混用して運行している。

なお、111・251系の合計は416両、101系22両を合わせて438両である。その後、踏切事故などで3両が失われ、代替として2001年に4両が新造されたが、2003年の陸橋落下による脱線事故で4両が失われた。

また、食堂車は売店・カラオケルーム(K-POPのみ)・マッサージ機、PC(日本語入力は不可能)、ゲームを置いたカフェカーに改装されている。

慶福号[編集]

慶福号
各種表記
ハングル 경복호
漢字 慶福號
発音 キョンボコ
(キョンボ=ホ)
日本語読み: けいふくごう
2000年式
MR式
Gyeongbok-ho
Kyŏngpok-ho
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DHCの車体を流用した、大統領や国賓を輸送するVIP専用車両である。4両編成2本の存在が明らかとなっているが、保安上の理由から内装・性能などは未公表であり、また政府の保有である。外観は先頭形状が幾分異なる以外は、DHCと変わらない。主に国内輸送に用いられ、金大中大統領ブッシュ米大統領を伴って都羅山駅と南北鉄道連結事業を視察した際にも利用された。

セマウル号の客車[編集]

初期のセマウル号の鋼製客車、1988年撮影

かつての[1]「観光号」車両は1969年以降に製造された車両で、日本の客室設備を参考にしていたため、日本の新幹線と瓜二つだった。ステンレス製車両の導入により、旧型客車は全てムグンファ号に格下げされた。

現在の客車は1986年から1991年にかけて、7000形機関車と共に製造されたもので、157両が登場した。車体はステンレス製で高速走行が可能なように足回りも強化してある。外観も内装も、続いて登場したPP動車(上記)の中間車と全く変わらない。

1992年からPP動車を大量に導入したため、このステンレス新型客車にも余剰車両が発生し、1993年に56両がムグンファ号に再び格下げとなった。ムグンファ号に格下げされた56両は「流線型」と称され、全特室列車として運行したが、2004年のKTX開業と共に定期運用から外れた。1999年2001年に増発用として計14両(食堂車2)が新たに導入され、総数115両となっている。

ステンレス客車の内、定期運用から外れた食堂車だけで編成されるイベント列車「ワイントレイン」も臨時・団体列車で運行されている。

参考文献[編集]

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  1. ^ 鉄道ジャーナル 21号

関連項目[編集]

外部リンク[編集]