ホンダ・カブ
| ホンダ・スーパーカブ50スタンダード |
|
|---|---|
|
スーパーカブ50スタンダード
PGM-FI仕様2007年式 |
|
| 排気量クラス | 原動機付自転車 |
| 製造期間 | 1952年 (1958年) - |
| 車体型式 | JBH-AA01 |
| タイプ | ビジネスバイク |
| フレーム | 低床バックボーン式 |
| エンジン | AA02E型 49cc |
| 最高出力 | 2.5kw 3.4ps/7,000rpm |
| 最大トルク | 3.8N・m 0.39kgf・m/5,000rpm |
| 燃料供給装置 | フューエルインジェクション (PGM-FI) |
| 変速機 | 常時噛合式3段リターン |
| 駆動方式 | チェーンドライブ |
| サスペンション |
前: ボトムリンク式
後: スイングアーム式 |
| ブレーキ |
前: 後: 機械式リーディング・トレーリング
|
| タイヤサイズ |
前: 後: 2.25-17 33L
|
| 全長x全幅x全高 | 1,800mm x 660mm x 1,010mm |
| シート高 | 735mm |
| ホイールベース | 1,175mm |
| 乗車定員 | 1人 |
| 燃料タンク容量 | 4L |
| 備考 | スペックは2007年式モデル(2007年9月以後)のもの |
| 同クラスの車 | ヤマハ・メイト スズキ・バーディー |
| ●Template● ●WikiProject● | |
カブ(Cub)とは、本田技研工業が製造・販売しているオートバイであり、シリーズ車種として数車種が生産されている。
ヤマハのメイト、スズキのバーディーなどが競合車種であるが、「カブ」はこれら類似のビジネス・バイクを含めた総称・俗称として使われることもある。
目次 |
[編集] 概要
元々は1952年(昭和27年)から1958年(昭和33年)まで生産された自転車補助エンジンキットの愛称である。現在では1958年(昭和33年)から生産開始したセミスクータ型のモペッドであるC100型以降のシリーズ名スーパーカブを略してカブと称することが多い。
カブの車名は熊などの猛獣の子供を指す英語のCubに由来し、小排気量ながらパワフルなオートバイをアピールした命名となっている。耐久性と経済性に富み、登場から半世紀以上を経た今日でも改良を続けながら、日本を始めとした世界各国で生産が続いている。
発売を開始した年だけでも9万台売れたという大ヒット商品である。本田技研工業株式会社によればスーパーカブ・シリーズの生産台数は2008年(平成20年)4月末時点で累計6,000万台[1]に達し、輸送用機器の一シリーズとしては世界最多量産・販売台数を記録している。
20世紀後半のモータリゼーション史上、四輪自動車分野のT型フォードやフォルクスワーゲン・ビートルに匹敵する貢献を残した二輪車である。しかも発売開始後50年以上を経ても、多くの原設計を引き継ぎながら生産が継続されている。なお長らく日本国内および国外で生産が続けられていたが、ホンダが小型の二輪車を全て日本国外での生産に移管することになり、これによりスーパーカブの日本国内生産が終了することが明らかになっている[2]
[編集] カブ(1952年)
1952年(昭和27年)から本田技研工業が生産した自転車補助モーター(小型エンジンキット)「F型」の愛称。
新興メーカーである本田技研が自転車補助モーターの分野に進出したのは1946年(昭和21年)で、当初は旧日本陸軍の小型発電機用エンジンの流用からスタートしたが、その後自社開発エンジンに移行し、以後の通常型オートバイ分野への進出を助けた。
それら初期の通常型自転車補助モーターは自転車のペダル付近に搭載されるため、女性はオイルなどでスカートを汚しやすかった。この問題点を解決すると同時に、自転車補助モーターの販路拡大を狙って開発されたのが1952年(昭和27年)の「カブF型」である。
「カブF」キットは、在来型補助モーターと違って、エンジン搭載位置は後輪側面、その後の駆動系統も全て後輪回りで完結する構造で、乗り手にも自転車取り付け工事を行う業者にも扱いやすかった。純白の琺瑯処理タンクと「Cub」のロゴが入った赤いエンジンカバーから「白いタンクに赤いエンヂン」のキャッチコピーが付けられた。ダイキャストの多用で生産性も向上させている。
「カブF」の特異だった点は、販売店に外交員を飛び込み営業させる常道を取らず、日本全国の5万軒に及ぶ自転車店に取り扱いを勧める営業ダイレクトメール(DM)を送るという、当時としては画期的な拡販手段を用いたことである。
創業者・本田宗一郎の右腕である営業・経理部門トップの藤沢武夫が自ら勧誘文章を練り、「1台の定価25,000円、卸価格19,000円。代金は前金で願いたい」という内容のDMに、社員・代筆業者・取引銀行の担当者までも総動員して宛名書きした。「ホンダ」の知名度が低かった当時は詐欺とも誤解されかねなかったが、早々に5,000軒もの自転車店から反応を得ることができ、ほどなく注文が殺到した。
その後数年間、カブFはホンダの経営を支える重要製品になると同時に、既存自転車店を自社製品のディーラー網として開拓して行くきっかけともなった。
- 総排気量:49.9cc
- 最大出力:1ps/3,600rpm
[編集] スーパーカブ
2010年現在、日本で一般的に知られているオートバイの「カブ」とは、本田技研工業の「スーパーカブ」を指す。1958年(昭和33年)のC100に始まるスーパーカブ・シリーズは、世界最多量産の二輪車であり、同時に世界最多量産の輸送用機器でもある。
高性能と高い耐久性によって、それ以前に日本の市場に存在していた同クラスの小型オートバイのみならず、簡易な補助エンジン自転車と、上位クラスのスクーター(当時、90cc-200cc級が主流)との双方を、一挙に圧倒する大成功を収めた。エンジンをオーバーヘッドバルブ(OHV)式からオーバーヘッドカムシャフト(OHC)式へ変更するなど、機構の改良は多岐にわたるが、基本設計の多くを半世紀あまり変えていない。それにも拘らず、2010年(平成22年)現在に至るまで販売実績を重ねている。
[編集] 開発および製造立ち上げ
1950年代中期に至ると、初期ホンダの経営を支えた自転車後付け式のエンジンキットも同クラスの類似競合製品が増加し、カブも原動機付自転車業界の先行製品として安穏としていられる状況ではなくなりつつあった。
また戦後復興が進んだ日本の二輪車市場では、簡易な自転車補助エンジン車に不満足なユーザーから、富士重工業の「ラビット」、中日本重工業(のち三菱重工業)の「シルバーピジョン」に代表される125cc-250ccクラスの上級スクーターが、運転しやすさと性能面のゆとりによって支持を得るようになっていた。
藤沢武夫は、このような市場の趨勢をマネジメントの見地から考慮し、カブの後継モデルとなり得る廉価な実用オートバイを市場に送り出すことを考えた。そこで藤沢は「(商品として)カブのような自転車に取り付ける商品ではなく、50ccのボディぐるみのもの(完成車)が欲しい」と本田宗一郎に訴えたが、本田は当初「(50cc完成車として)乗れる(性能の)ものは作れない」と一蹴していた。
本田宗一郎がようやく腰を上げたのは、本田と藤沢が視察のため欧州旅行に赴いた際のことである。当時長時間を要した旅客機での往路機中から、藤沢はかねて提案していた50cc級完成車の件を、またしても本田に持ちかけた。その熱心さに最初はうるさがっていた本田も、ようやく50cc車の件に関心を持ち始め、ヨーロッパでの道中、クライドラーやランブレッタなどの欧州製スクーター・モペッドでそれらしいものをみつけると「これはどうだ」と藤沢に尋ねるようになった。
欧州製小型二輪を見ながら藤沢と問答を重ねるうち、本田は藤沢の求める商品性の高い新製品のイメージを膨らませるようになった。そのコンセプトからは、もはや従来のカブや、欧州製モペッドの多くのような自転車式のペダルは排除されていた。
こうして欧州からの帰国後、本田の陣頭指揮により新型モペッドの開発が開始された。特に、耐久性の高い高回転4ストロークエンジンと、変速を容易化するクラッチシステムの実用化のため、技術陣は苦心を重ねた。その結果、無段変速機付スクーターにこそ及ばないが変速操作を容易にした自動遠心クラッチ式変速機と、50ccクラスでありながら既存の上位クラス排気量車にも比肩する高出力を絞り出せるエンジンが完成した。
旅行から一年ほどの後、藤沢は本田から研究所へ呼び出された。自転車取り付け式エンジンでなく、足漕ぎペダルのないスマートなモペッドの模型とスペックを本田から示された藤沢は、その場で「これなら3万台は売れる」と述べた。本田や開発陣は「年間3万台か」とその見積もりのスケールに感嘆したが、藤沢は「月間で3万台」と真意を補足、一堂をさらに驚嘆させた。
当時のホンダの主力商品だったホンダ・ドリームとホンダ・ベンリィを合わせても月産6,000から7,000台、さらに日本全国の二輪車販売台数が2万台程度だったため、藤沢の目算どおりであれば、競合メーカーの同級車種を圧倒するばかりか、市場そのものを一挙に押し広げてしまうことになる。
藤沢がこの新型モペッド「スーパーカブ」の可能性をいかに高く評価していたかがうかがえる。この予見は事実となった。スーパーカブ発売から数年で、当時大小数十のメーカーが群雄割拠状態だった日本のオートバイ・スクーター市場からは、小型オートバイ・スクーターを生産していた中堅・零細のアッセンブリー・メーカーが一掃され、生き残った大手・中堅メーカーから相次いでスーパーカブ「もどき」の類似モペッドが現れた。
「スーパーカブ月産3万台」を実現するため、藤沢の意見によって、鈴鹿工場が新たに建設された。過剰設備ではないかとの危惧は杞憂に終わり、工場はやがてフル稼働することになった。
カブには発売当時の画期的な試みとしてレッグシールドやカバーなど随所のパーツに大型のプラスチック素材(ポリエステル)が使われ、軽量化や組み立て合理化に役立った。その陰には1954年(昭和29年)にホンダが鳴り物入りで大々的に発表しながら、商業的に大失敗したプラスチック・ボディの大型スクーター、ホンダ・ジュノオの存在があった。当時としては先進的な試みのモデルだったが、冷却不良や重量過大などの問題を抱え、売上不振により早々に生産中止となっていた。プラスチック素材の研究開発部門は直接的な製品開発からはずされており、開発陣の処遇を本田や藤沢は折に触れ気にかけていた。彼らの努力が結実し、スーパーカブが誕生した、と藤沢は述べている。
[編集] 基本構成
基本構成は、太いパイプとプレス鋼板で構築されたフレームに、耐久性に富み低燃費な自然空冷式単気筒OHC(初期はOHV)49cc4ストロークエンジンを水平に近い角度に搭載、独特の遠心式自動クラッチを組み合わせた3段式変速機と、フルカバードされたチェーンドライブで後輪を駆動するものである。なお現行モデルには110ccなど4段変速機の車両もあるが、いずれの変速機もロータリー式(初期は変則リターン式)の変速パターンを採用している。
自動クラッチとロータリー式変速機構を備えた構成は、本田宗一郎が出した「蕎麦屋の出前持ちが片手で運転できるようにせよ」という条件に応え、左手のクラッチレバーを廃した結果である。さらにはウインカースイッチも一般的なオートバイと異なり、スロットルグリップがある右手側に上下動作式のスイッチが装備され、つま先の掻き上げ操作に適さない雪駄などの履物でも変速操作ができるよう、シフトペダルにはかかと用の踏み返しが付けられた。この形式のシフトペダルは競合各社も追随採用し、その形状から日本市場で「シーソーペダル」と呼ばれるようになる。日本において1960年(昭和35年)12月までは50cc以下の原動機付自転車は運転免許が必要なく、片手運転や雪駄履き運転をも想定しなければならない、という設計当時の世情のおおらかさの裏返しといえるが、結果として乗り易さに大きく寄与した。
自然空冷式の単気筒エンジンは、実用型エンジンながら8,000rpm以上の高回転を許容する設計で耐久性が高いだけでなく、経済性にも優れており、定期的なオイル交換のみで長期の使用に耐える。その排気量の割には大容量のマフラーを備えており、オートバイとしてはエンジン騒音が低くなっているのも長所である。エンジン出力は当初、最高4.3ps(≒3.16kW)で、1958年(昭和33年)当時においては競合車種のほぼ2倍という突出した性能である。その後はバルブの改良などで5.5ps(≒4.05kW)まで向上させたこともあったが、後年、環境対策などもあってデチューンが進められ、カタログスペック上の最高出力は低下している。2007年9月以降のモデルは排気ガス対策(低エミッション対策)のためPGM-FI(燃料噴射機構)を採用し、49ccで最高出力3.4ps(≒2.5kW)となっている。
車体には大型レッグシールドが装備されており、風防効果を上げている。レッグシールドの材質は射出成形プラスチック製で、発売当時は非常に画期的な技術だった。このレッグシールドは、専用のシュラウド(冷却用外覆)や強制空冷ファンを持たない自然空冷エンジンを両側から抱え込むような形状をしており、前方からの走行風を冷却のため誘導する役割をも担っている。
車輪は前後とも17インチ径を採用している。それまでのオートバイは主に18インチか16インチを採用しており、イレギュラーな規格ということで開発当時はタイヤメーカーから製造を断られたこともあったが、性能から割り出されたこの車輪径は一時ビジネスバイクのデファクトスタンダードにまでなった。なお、現在はライバル他車だけでなくカブも含め14インチを採用する車種が増えている。
なおハンドレバーによるクラッチ操作を必要としないため、日本の自動車運転免許制度では自動二輪車のAT限定免許でも運転が可能である。
全体に軽量化されているため、例えば商店の玄関などでは、外と土間の間に少々高い敷居があっても、自転車同様に人手で乗り越えさせ、屋内に乗り込ませることができた。
[編集] 日本での市場
日本での主な使われ方としては、郵便配達や新聞配達、出前などの小口配送、電力会社や銀行などの集金・営業用途などのビジネスユースおよび個人の市街地移動が挙げられ、市街地での駐車違反取締強化と石油価格高騰以来使用者が増加している。出前用途においては自転車用として開発された出前機が転用され普及した。また大径タイヤと頑丈な機構とで悪路にも強いことから、農村を中心とした地方の高齢者にも愛用者は多く、田舎に行くと鍬や鎌を荷台にくくりつけて田園地帯や山道を走るスーパーカブ乗りの老人を21世紀初頭の今なお見ることができる。 交番配備のパトロールバイク(いわゆる黒バイ)として長い間使用している地方の警察もあり、それらは透明ハンドル付きのウインドシールド(取り外して簡易盾に出来る)、書類を入れるスチールのボックスを装備している。かつては旧食糧庁(小豆色カブ)や旧電電公社(若竹色カブ)などでも使用されていた。珍しい例としては、種子島で高校生が通学に使うバイクとして指定されている。
趣味的観点からも、様々なドレスアップパーツやチューニングパーツで改造を楽しむほか、その耐久性と低燃費から長距離(長期間)ツーリングやアドベンチャーランにまで使用される。タイではカブが広く普及していることから様々なドレスアップパーツが市販されており、日本でも専門店などで入手できる。またエンジン系はモンキー・ゴリラと共通する部品が多く、それらのパーツを流用できる。
[編集] 超低燃費車
スーパーカブは大変に燃費が良い事でも知られており、かつてのカタログでは180km/Lを謳っていた(50カスタム系)。この数値は30km/h定地走行テスト値に拠るもので、2007年(平成19年)までのキャブレター最終型でも146km/Lを公称していたが、2007年(平成19年)以降の燃料噴射型は排気ガス対策を優先した設定のため110 - 116km/Lに悪化した。
もっともこれらの公称数値は燃費テスト用のベストな条件を整えた場合の非現実的数値で、実際の公道上におけるカブ50の燃費は、法定30km/hを守るゆっくりした操縦で60 - 90km/L、アクセルの全開や高速での走行などラフな使い方で45 - 60km/Lくらいである。それでもなお、世界にあまたある内燃機関動力の陸上車両中、特に燃費効率に優れた存在の一つと見なし得る。
ホンダ主催の低燃費競争(通称・エコラン)では、カブ50を使用する市販車クラスでは最高541.461km/L[3]、カブのエンジンを元にした専用競技用車両では最高3644.869km/Lの燃費が出ている[4]。
[編集] 頑丈さ
エンジンオイルの代わりに天ぷら油や灯油でも問題無く走行するという都市伝説が存在する。ホンダの開発陣の見解としては、「公式に実験や確認を行った訳ではないながらも恐らく事実である」としている。これは、各部が受ける熱や圧力が小さく、エンジンオイルへの負担が少ないという点に起因するものである。ただし植物性油脂は数日で分解(変質)し、流動性も失われるため、各部が固着する(焼きつきを起こす)。
また、その他の部分の頑丈さは、開発当時まだ日本の道路は悪路が多く過積載などの無茶な運転が横行しており、それを考慮して設計・製造が行われているためである。スーパーカブが走行距離にして何十万キロ耐えられるのかは、ホンダでさえも想像が付かないとのことである。[5]。過去にアメリカ合衆国でスーパーカブの耐久性を検証するテレビ番組が放映されたが、エンジンオイルの代わりにハンバーガーショップのフライヤーの油(おそらくショートニング)を使っても問題なく街中を走り、山ほどのスイカとピザを積んで走ってもトラブルを起こさず、あげくビルの屋上から投げ捨てられたあともエンジンがかかり、改めてスーパーカブのタフネスを知らしめる結果となった。ただし、これも一時的な現象に過ぎず、長期間問題なく稼働させるためには、定められた規格(SAE規格やAPI規格)の潤滑油を用いる必要がある。
[編集] 現在販売されている車種
- スーパーカブ50 - スタンダード・デラックス・カスタム仕様
- プレスカブ50 - スタンダード・デラックス仕様
- リトルカブ - スタンダード・セル仕様
- スーパーカブ110 - スタンダード・プロ仕様
デラックスはスタンダードと違い、メタリック塗装で左右にバックミラーが付く。またフロントキャリアと音の出るウインカーリレーも装備されている。
カスタム仕様はセルモーター・角型ヘッドライト・大型メーター、メーター部に燃料計装備(ほかのカブはシート下の給油口に装備されている)などの上級仕様(50ccモデルは4速トランスミッション)。カスタム仕様が追加されたのが1980年代(正確には1982年に発売)のため、オールド&ビンテージバイクの雰囲気を強く求める「カブフリーク」には人気薄である。かつてはこのカスタム仕様をベースにした赤一色の車体色が特徴的な特別仕様の「赤カブ」も販売されていた事もある。なお「赤カブ」仕様は1983年(昭和58年)にバンダイから1/12スケールでプラキット化された事がある。
プレスカブは前照燈つき大容量前カゴ、大型リヤキャリヤ、強力サイドスタンド、強化型スイングアーム、重積載用に250ccクラスのリアブレーキなどを装備した新聞配達仕様。頻繁な発進停止に対応する3速ロータリー式トランスミッション(完全に停止しなくてもニュートラルに入る)装備。デラックス仕様はグリップヒーターなどの豪華装備がついている。それ以前には、ニュースカブシリーズという視認性の良いブライトイエローの車体のカブが存在したが、その後PROが集配業務用として取って代わった。
リトルカブはホンダ・シャリィの販売中止に伴う女性ユーザーの取り込みを意識し、車体を低くすることによる扱い易さを優先して14インチ車輪を採用している。標準モデル(セルモーターなし・3速)とセルモーター付き仕様(4速)がある。排気量は50ccのみ。
2007年(平成19年)9月21日に自動車排出ガス規制強化に伴うマイナーチェンジが行われ、カスタムを含む50ccシリーズ全車に電子制御燃料噴射システム(PGM-FI)を採用し、キャタライザーをエキゾーストパイプ内に装着し、平成18年度排気ガス規制に適合させる。しかし最高出力が3.4ps(≒2.5kW)と従来のキャブレター仕様に比べ0.6ps(≒0.44kW)減少し、燃料消費量はスタンダード・デラックスで110.0km/L、カスタムで116.0km/Lと、マイナーチェンジ前と比べカタログ値の上では数値が大幅に悪化している。またエンジンのクランクケース部分はブラックレイアウト(黒色塗装)される。なおリトルカブは10月5日にエンジン変更のマイナーチェンジを受け、これに伴い共用車体に17インチホイールを装備させていたストリート仕様は生産終了となった。
[編集] スーパーカブ110
| スーパーカブ110 |
|
|---|---|
| 排気量クラス | 小型自動二輪車 |
| 製造期間 | 2009年- |
| 車体型式 | EBJ-JA07 |
| タイプ | ビジネスバイク |
| フレーム | パイプフレーム低床バックボーン式 |
| エンジン | JA07E型 109cc
空冷4ストロークOHC単気筒
|
| 最高出力 | 6.0kw 8.2ps/7,500rpm |
| 最大トルク | 8.4N・m 0.86kgf・m/5,500rpm |
| 燃料供給装置 | フューエルインジェクション (PGM-FI) |
| 変速機 | 常時噛合式4段リターン |
| 駆動方式 | チェーンドライブ |
| サスペンション |
前: テレスコピック式
後: スイングアーム式 |
| ブレーキ |
前: 後: 機械式リーディング・トレーリング
|
| タイヤサイズ |
前: 2.25-17 33L
後: 2.50-17 43L |
| 全長x全幅x全高 | 1,830mm x 710mm x 1,040mm |
| シート高 | 735mm |
| ホイールベース | 1,190mm |
| 車両重量 | 93kg |
| 乗車定員 | 2人 |
| 燃料タンク容量 | 4.3L |
| 燃費 | 63.5km/l |
| 本体価格 | 249,900円(税込) |
| 先代 | スーパーカブ90 |
| ●Template● ●WikiProject● | |
90ccシリーズが2008年(平成20年)9月の自動車排出ガス規制強化に伴い生産終了となったことから後継車種の販売再開が熱望されていた。しかし90ccが日本国内のみの生産だったことと、日本国外で生産されているシリーズ車両(下記)が100-125cc中心だったことから、後継車種はスケールメリットの点から日本国外生産車両と仕様を共通化させる形で開発が行われた。
2009年(平成21年)6月19日、後継車種となるスーパーカブ 110が発売された。車体構成は日本国外車両のドリーム(通称・タイカブ)をベースにしたことから、国内仕様のカブとしては初となるパイプおよびピボットプレートの組み合わせによるフレームとテレスコピックサスペンションを採用しており、外装はプラスチック部品を多用しながらもカブのイメージを最大限に残したデザインとなっている。
エンジンも日本国外車両のウェーブと部品を共通化させた電子制御燃料噴射システム(PGM-FI)搭載の109ccエンジンを採用し、出力は日本国内の規制に適合させながら最高出力を90ccより1.2ps(≒0.88kW)向上させた8.2ps(≒6.03kW)に設定し、クランクケースの塗装は銀色とした。またミッションも日本国外車両同様に2段クラッチの4段変速機を装備している。
その他にもマルチルフレクターヘッドライト・左側プッシュキャンセルウインカー・メインスイッチ一体型ハンドルロックなどがカブシリーズとして初めて装備されている。
なおエンジンおよびパーツの6割は国産ではなく、日本国外シリーズ車種の生産中心地となっているタイホンダなどから輸入されており、全体的な車体の組み立ては熊本製作所で行われている。
10月16日にはバリエーションモデルとしてスーパーカブ 110プロが発売された。この車両は一人乗り専用設計で、大型のフロントバスケットとリアキャリアを搭載し、ヘッドライトとフロントウインカーを前面に移動させている。また通常モデルを14インチの前後ホイールや専用サスペンションに換装しているが、これは郵政仕様のMDシリーズ(下記)と同様の装備となっている。
2012年2月20日、ホンダはスーパーカブ110のフルモデルチェンジを発表[6]。国内生産から中国生産に切り替えたことなどで従来モデルより価格を引き下げた。
[編集] かつて販売されていた車種
- スーパーカブ70 - デラックス・スーパーデラックス・カスタム
- カブ100EX・スーパーカブ100(タイ・ホンダマニュファクチュアリング社製、逆輸入車)
- スーパーカブ50 - ストリート仕様
- ジョルカブ50
- スーパーカブ90 - デラックス・スーパーデラックス・カスタム
- ニュースカブ90
(かつては55ccや65ccの車種も存在した)
[編集] MD50・90・110
1972年8月に当時の郵政省(現日本郵政株式会社)の規格で共同開発した郵便配達用のカブ。MDはメイル・デリバリー(郵便配達)の略称であるが、一般的には郵便カブまたは郵政カブと呼ばれる。車体色は「郵政レッド」という専用色である。
MD採用前に、C50、C90の標準のボトムリンク車をベースに大型特製フロント、リアキャリアを装備し、赤く塗色したものを郵政省向けに納入していた。その後C90と輸出向けトレッキングバイクCT90をベースにフロントテレスコピック式サスペンション、アップハンドル、前後輪17インチタイヤを装着し、フロントに特製キャリヤ、リヤに大型キャリヤを装備したMD90(K0)が生産された。
続いてハンドルをアップハンドル、ステアリングステム上部にメーター内蔵型ヘッドライト、前後輪を小径の14インチに換装し、狭い路地での機動性を高めたMD90(K1)が生産され郵政専用車両としてのMDシリーズが独自の進化を始める。
90cc版に引き続き原付免許所持者でも乗れるようMD50(K0)とそのボアアップ版MD70(K0)が生産され、名称も「スーパーカブ・デリバリー」となる。
集配および貯金保険業務用営業かばんの装着用にフックが着いたフロントキャリア、多くの荷物を積むための大型化された後キャリアや、ハイマウントのヘッドライト・ウインカー、大型強力サイドスタンド、寒冷時に使用するグリップヒーター、寒冷地において始動性の向上およびアイシング防止のためのキャブヒーターなど実用装備に設計し直されている。
民生向けスーパーカブが1980年(昭和55年)には燃料タンクがフレームに内蔵されたDX系新型フレームに統一された後(一時期は併売されていた)も別体タンクの旧フレームが引き続き使用され、90cc版は民生型カブ90のエンジンが1980年にC50をベースとしてボア、ストロークが拡大された新型エンジンを搭載して型式もHA02に変更された後もCS90をベースとした旧C90系のエンジンを引き続き使用している。
その後も細かいマイナーチェンジを重ね1987年(昭和62年)にCDI点火や12V電装システム、MFバッテリーを、1998年(平成10年)に排気ガス規制対策など改良を重ね、2007年(平成19年)にはMD50のエンジンにPGM-FIを搭載する。2009年(平成21年)からは生産が終了したMD90のモデルチェンジとして、先に発売していた 110プロ を郵政専用仕様としたスーパーカブ110MD(MD110)の生産が開始され現在に至る。
郵政民営化以後は郵便事業株式会社が集配業務、郵便局が貯金・保険の外務用として使用しているが、両社は運転者の服装と荷台の箱の識別番号と社名ロゴで識別が可能。
郵政主導での開発のため、一般向けの販売はされていないが、中古車が放出品として一般向けに売り出されることがある。郵政レッドの車体色のまま放出車に乗る事に法的規制は無いが、現在は日本郵政では内規によりそのままの車体色で払い下げることを禁止している。また所持しているユーザーにはなるべく車体色を換えて使用するよう依頼している。
なおホンダが2011年(平成23年)から業務用車両の後継として電動スクーター(EV-neo)を販売し、大口顧客である日本郵政も電気バイク導入を検討していることが報道された[7]が、これには法規制や耐久性などの実用面をクリアする必要があり、その後MDシリーズを国内生産のまま存続させる方針が明らかになっている[2]。
[編集] 姉妹車種
スーパーカブ形の横型単気筒エンジンを搭載している車種を挙げた。
[編集] 現在販売されている姉妹車種
[編集] 過去に販売された姉妹車種(2009年7月現在)
- ゴリラ
- マグナ50
- ベンリイ(Benly50S、CD50、CD90、CL50、CL90、SS50、CS65、CS90、ほか)
- シャリィ(CF50、CF70)
- ダックス(ST50、ST70、ST90)
- ハンターカブ(CT50、CT110)
- ポートカブ(C240)
- ジャズ
- ソロ
- ジョルカブ
- モトラ
- XL70
- ATC70
- スポーツカブ(C110S)
[編集] 日本国外での市場
耐久性・経済性において卓越した実用小型オートバイであることから、世界中への輸出および現地生産がなされてきた。
まず1959年にはアメリカ合衆国に輸出が開始され、「バイクはアウトローの乗り物」という社会的イメージの強かったアメリカにおいて、そのイメージを改良すべく、「良識ある市民の実用的使用」をマーケティングイメージとした「YOU MEET THE NICEST PEOPLE ON A HONDA」というキャッチフレーズで軽便バイクとして人気を得た。その上にアメリカにおけるオートバイのイメージ向上にも貢献し、『HONDA』という企業のアメリカでの認知度と社会的評価を高めた。
このアメリカ市場での成功を受け、続いて1961年より中華民国にて現地生産が開始された。この頃から日本国外のユーザーからも圧倒的な支持を受けて急速に普及する。スーパーカブは1960年代以降の東南アジアで、この種のビジネスバイクを普及させる端緒ともなった存在で、扱いやすさや経済性のみならず、メーカーの想定範囲や先進国の安全常識では到底考えられない異常な酷使、過積載(「100kg 単位」での重貨物搭載や、子供まで含めての3人乗り、4人乗りといった曲乗り状態も珍しくない)にも耐えてしまう高い信頼性によって、オートバイを生活の道具として重要視する発展途上国の大衆ユーザーたちから強い支持を得ている。
なお国内外に類似デザイン・類似設計の後発競合車種(ヤマハのメイト、スズキのバーディーなど)が多数存在するが、知名度の点でも圧倒的に優る。ベトナムではバイクは全て、一般名詞として「ホンダ」と呼ばれており、「ヤマハのホンダ…」といった使われ方がされている。
20世紀末期以降の日本国外における市場では、現地生産車を含めたカブシリーズの中心は実用性向上や税制・運転免許制度などの理由から派生車種であるドリームやウェーブなどの100-125ccクラスへ移行しており、日本の中心である50ccは日本国外では極めて少数で、90ccは日本のみの生産となっていた[8]。またアメリカ向け輸出は終了しており、2008年時点でも対米正規輸出は行われていない。
[編集] 日本国外の車種
- CT110 - オーストラリア国営郵便局Australia POSTで使用しているため、現在も販売されている。通称「ハンターカブ」。
- ドリーム - タイを中心に日本国外で生産された車種。通称「タイカブ」。
- ウェーブ - 上記ドリームの派生車両。いわゆる「スクーター」のデザイン。
[編集] 日本での競合車種
日本の郵便物の集配達などを担ってきた郵政省、郵政公社、日本郵政グループでは、ホンダ・カブと並び下記車種(いわゆる郵政バイク)を調達していた。
[編集] コンセプトモデル
[編集] その他
- 1960年(昭和35年)- 毎日産業デザイン賞を受賞。
- 1961年(昭和36年)- イギリスのモード賞を受賞。
- 2007年(平成19年)- 日本機械学会の機械遺産(14号)に認定(カブF型エンジン)。
- 2008年(平成20年)- グッドデザイン賞のロングライフデザイン賞とライフスケープデザイン賞を受賞。
- 2009年(平成21年)- 発売50年を記念し、著名人がカラーリングなどをデザインしたカブの展示を開催[9]。
- デザインに関しては藤沢武夫の妻がかつて「本田さんの作る製品はどれも素晴らしいけど、エンジンがむき出しなのが鳥の臓物みたいで気持ちが悪い」と言ったことがあり、本田はそれを気にとめていてエンジンなどがカバーにすっぽり収めたデザインとなった。
[編集] 脚注
- ^ http://www.honda.co.jp/news/2008/c080521b.html (この数値にはハンターカブ・ドリーム・ウェーブなどの日本国外シリーズ車両も含まれている)
- ^ a b ホンダ「カブ」国内生産終了へ 熊本製作所、400人配転。 - 西日本新聞2012年1月22日
- ^ 第27回 本田宗一郎杯 Hondaエコノパワー燃費競技 全国大会
- ^ Honda エコ マイレッジ チャレンジ
- ^ 夏目幸明 『ニッポン「もの物語」』 講談社 2009年6月 ISBN 978-4-06-215315-7 その15 スーパーカブ(p.150)
- ^ 「スーパーカブ110」をフルモデルチェンジしお求めやすい価格で発売 - Hondaホームページ:本田技研工業株式会社ニュースリリース 2012年2月20日
- ^ [1]
- ^ http://world.honda.com/news/2002/2021217.html (2002年12月現在の生産国および生産車種の一覧)
- ^ 『東京新聞』2009年(平成21年)6月26日(金) 12版 経済 8面、より。
[編集] 参考文献
[編集] 関連項目
- モペッド
- スーパーカブ (映画)
- 水曜どうでしょう(北海道テレビ放送制作) - 「原付東日本縦断ラリー」「原付西日本制覇」の企画内で登場、それぞれ東京 - 札幌を4日間で、京都 - 指宿温泉をのべ6日間で走破している。その後ベトナムで「ハノイ→ホーチミン 原付ベトナム縦断1800キロ」という企画も放送されたが、こちらはスーパーカブではなくドリームIIが使われた。
- ザ・ビーチ・ボーイズ - 「Little Honda」というスーパーカブを題材とした曲を制作している。
[編集] 外部リンク
- スーパーカブ50
- スーパーカブ110
- ホンダ製品アーカイブ・Super Cub
- ホンダ製品アーカイブ・Press Cub
- ホンダ製品アーカイブ・カブ100EX(スーパーカブ100)
- タイホンダ/製品(タイ語) - タイではスーパーカブ系の派生車種が生産されている。
- Honda エコ マイレッジ チャレンジ 公式HP - カブ50およびエンジンが使用されている。
- 社団法人自動車技術会・ホンダカブF型
- 社団法人自動車技術会・ホンダスーパーカブC100
- 社団法人日本機械学会・機械遺産(カブF型)
- Honda社史・50年史 限りない夢、あふれる情熱
- LOVE CUB 50 プロジェクト