スルフェン

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スルフェン
識別情報
CAS登録番号 917-73-7
PubChem 12244237
ChemSpider 10645700 チェック
特性
化学式 CH2SO2
モル質量 78.090 g mol-1
精密質量 77.977549998 g mol-1
構造
分子の形 trigonal planar at C and S
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

スルフェン (: sulfene) は、化学式 H2CSO2 で表される非常に反応性の高い有機硫黄化合物である。チオアルデヒドチオケトンのS,S二酸化物で、R2CSO2 という一般式を持つスルフェン類の中で最も単純な構造である[1][2][3]

生成[編集]

中間生成物としてスルフェンを生成する最初の一般的な方法は、1962年にギルバート・ストーク[4]とギュンター・オプティツ[5]によって同時に発表された、捕獲剤であるエナミンの存在下でトリエチルアミンを用いてメタンスルホニルクロリドから塩化水素を除去する方法である。1,1-二酸化チエタン誘導体の形成は、スルフェンを介在している証拠である。スルフェンは高い求電子性を持つため、アミンはスルフェンが複合体を作るのを妨害し、その利用には困難が伴う。アミンの利用を回避する簡単な製法は、捕獲剤存在下でのフッ化セシウムによるトリメチルシリルメタンスルホニルクロリドの脱シリル化である[6]

(CH3)3SiCH2SO2Cl + CsF → [CH2=SO2] + (CH3)3SiF + CsCl

反応[編集]

スルフェンは、エナミン、イナミン1,3-シクロペンタジエンと反応し、それぞれ、チエタン、チエットディールス・アルダー付加物を生成する。キラルな第三アミン複合体の存在下では、いくつかのスルフェンはトリクロロアセトアルデヒド(クロラール)に捕獲され、β-スルトン不斉合成する[7]。スルフェンは、金属-水素結合の間に挿入することも可能である[8]

出典[編集]

  1. ^ IUPAC, Compendium of Chemical Terminology, 2nd ed. (the "Gold Book") (1997). オンライン版:  (2006-) "sulfenes".
  2. ^ Zwanenburg, B (2004). “S,S-Dioxides of Thioaldehydes and Thioketones (Sulfenes and Derivatives)”. Sci. Synth. 27: 123-134. 
  3. ^ King, JF (1975). “Return of Sulfenes”. Acc. Chem. Res. 8 (1): 10-17. doi:10.1021/ar50085a002. 
  4. ^ Stork, G; Borowitz, IJ (1962). “Four-membered Sulfones from Enamines and Aliphatic Sulfonyl Halides”. J. Am. Chem. Soc. 84 (2): 313. doi:10.1021/ja00861a042. 
  5. ^ Opitz, G; Adolph, H (1962). “Cycloaddition of Sulfenes to Enamines”. Angew. Chem. Int. Edn. 1 (2): 113-114. doi:10.1002/anie.196201133. 
  6. ^ Block, E; Aslam, M (1982). “A New Sulfene Synthesis”. Tet. Lett. 23 (41): 4203-4206. doi:10.1016/S0040-4039(00)88704-3. 
  7. ^ Koch, FM; Peters, R (2011). “Lewis Acid/Base Catalyzed [2+2]-Cycloaddition of Sulfenes and Aldehydes: A Versatile Entry to Chiral Sulfonyl and Sulfinyl Derivatives”. Chem. Eur. J. 17: 3679-3692. doi:10.1002/chem.201003542. 
  8. ^ Ingo-Peter Lorenz (April 1978). “Demonstration of "Sulfene" Insertion into the Metal-Hydrogen Bond”. Angew. Chem. Int. Edn. 17 (4): 285-286. doi:10.1002/anie.197802851.